音楽本大賞2025

 

音楽本大賞

音楽の聴き方や作り方を変えてくれるような、すぐれた音楽本の存在をたくさんの人に届けるため、2023年にスタートした「音楽本大賞」。第3回となる2025年度の大賞が発表されました。話題作をぜひチェックしてください♪

【音楽本大賞】

日韓ポピュラー音楽史 歌謡曲からK-POPの時代まで

日韓ポピュラー音楽史 歌謡曲からK-POPの時代まで

金成玟 著
慶應義塾大学出版会

【選評】
◎横川理彦
1960年代から現在までの、日韓のポピュラー音楽の発展と相互関係を辿る一冊。しっかりとデータを押さえ、読みやすくてわかりやすい、「なるほど」とうなずくこと必至の好著。今すぐ読みたい!

◎松平あかね
歌謡曲から世界の音楽シーンを席巻するK-popまで、大衆音楽を通して戦後の日韓関係を俯瞰できる一冊。韓国の音楽が厳しい社会情勢の中で進化を遂げる様子や、「アイドル」の在り方が日韓で異なる話も興味深い。

◎毛利嘉孝
音楽はたやすく国境を越えるにかかわらず、ポピュラー音楽の多くの歴史はナショナルな境界に閉じ込められてきた。日韓をポピュラー音楽で繋ぐ野心的でトランスナショナルな試みを讃えたい。

◎渡邊未帆
常に変化する近隣国との緊張と緩和の関係。音楽において、国境を軽々と越える要素、どうしても越えられない要素とは何なのか? 今「よく聴く音楽ジャンルはK-POPです♡」という方々にもこの本を勧めたい。

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【個人賞】(一部の商品となります)

キング・タビーダブの創始者、そしてレゲエの中心にいた男

キング・タビーダブの創始者、そしてレゲエの中心にいた男

ティボー・エレンガルト 著/鈴木孝弥 訳
Pヴァイン

【横川理彦選】
選評:ダブを発明し音楽に革命を起こした中心人物、キング・タビーの実像に迫る一冊。関係者への徹底的な取材から浮かび上がるジャマイカの状況が熱く生々しい。著者も納得した日本語版の取り組みも素晴らしい。

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音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで

音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで

白石美雪 著
㈱音楽之友社

【毛利嘉孝選】
選評:音楽評論とは何か。音楽や演奏者、聴衆や読者、そしてジャーナリズムやアカデミズムとどのような関係をもつのか。150年もの歴史を遡り、語られなかった音楽評論の系譜を重層的かつ鮮やかに浮かび上がらせる労作。

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ネイティブス 帝国・人種・階級をめぐるイギリス黒人ラッパーの自伝

ネイティブス 帝国・人種・階級をめぐるイギリス黒人ラッパーの自伝

AKALA(アカーラ)著/感覚社編集部(訳)
感覚社

【渡邊未帆選】
選評:なぜ、いま、ここに自分が存在しているのかを問うことで読み解かれる世界の矛盾と不均衡。カリブ系の父とスコットランド系の母の間に生まれたラッパーによる内省的自伝にして、21世紀ブラック・カルチャーの重要書。祝・日本語訳!

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愛と孤独のフォルクローレーボリビア音楽家と生の人類学

愛と孤独のフォルクローレーボリビア音楽家と生の人類学

相田豊 著
世界思想社

【細馬宏通選】
選評:フォルクローレ音楽に関わる人々のアネクドタ=逸話をたっぷり浴びた著者は、彼らと自身とのやりとりを、あたかもアネクドタを語るように記し、反復するラテンアメリカの孤独を活写する。気鋭の文化人類学者の快著。

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【大賞ノミネート作品】(一部の商品となります) 

大楽必易 わたくしの伊福部昭伝

大楽必易 わたくしの伊福部昭伝

片山杜秀 著
(株)新潮社

『ゴジラ』で音楽革命を起こした作曲家の生涯を直話で辿る決定版評伝! 《ドシラ ドシラ ドシラソラシドシラ》というテーマ曲で怪獣に生命を与えた伊福部昭。原点はアイヌとの深い交流だった。北海道のアマチュア作曲家がチェレプニン賞第1位となり活躍した戦前・戦中から放射線被曝による雌伏を経て、映画で復活。91年の生涯を世界音楽史の中で捉え直し、なぜ幼児の心すら攫うのか、その秘密を探る。

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音響設計家・豊田泰久との対話 コンサートホール×オーケストラ 理想の響きをもとめて

音響設計家・豊田泰久との対話 コンサートホール×オーケストラ 理想の響きをもとめて

豊田泰久、林田直樹、潮 博恵 著
アルテスパブリッシング

ホールの音響設計はサイエンスか、テクノロジーか、それともアートか?
ディズニー、エルプフィル、サントリー、Kitaraなど世界の名だたるホールを手がけ、バレンボイム、サロネン、内田光子、ツィメルマンら巨匠たちが絶大な信頼を寄せる「世界のトヨタ」。その耳がとらえた“音楽の本質”を語り尽くす!

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アイヴズを聴く 自国アメリカを変奏した男

アイヴズを聴く 自国アメリカを変奏した男

J. ピーター・バークホルダー 著/奥田恵二(訳)
アルテスパブリッシング

生誕150年記念出版!アメリカには、ケージよりも、ガーシュウィンよりも前に、チャールズ・アイヴズがいた!異才の生涯と作品を克明に跡づけた決定版評伝!

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三月一一日のシューベルト 音楽批評の試み

三月一一日のシューベルト 音楽批評の試み

舩木篤也 著
㈱音楽之友社

「対旋律が揺さぶる――」。月刊誌『レコード芸術』に2020年1月号から23年7月号(休刊号)まで、22回にわたって連載され圧倒的な支持を得た連載「コントラプンクテ 音楽の日月」に大幅に加筆、書名を変更しての単行本化。「音楽」からの視点と、「音楽とは異なる世界」からの視点を交差させることで、あたかも対旋律が主旋律を引き立てるが如く、音楽の新たな魅力や人生の味わい、世界への問題意識が浮かびあがります。表題タイトルの章の他、「マーラー×緊急事態宣言」、「バッハ×させていただく」、「ワーグナー×川上未映子」等、意外性と刺激に満ちた音楽批評が展開

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2024年 大賞受賞作品

ミュージック・ヒストリオグラフィー ~どうしてこうなった?音楽の歴史~

ミュージック・ヒストリオグラフィー ~どうしてこうなった?音楽の歴史~

松本 直美 著
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス

【選評(抜粋)】
◎横川理彦
文章が読みやすく親近感が持てるところもすばらしい。

◎小室敬幸
想定読者の知性と好奇心を疑わない著者と会話を積み重ねていけば、凝り固まっていた価値観は解きほぐされ、もっと自由に音楽と向き合える。

◎松平あかね
ジェンダーや人種問題、音楽史の未来についても言及がある。

◎毛利嘉孝
とても平易な文体なのに、ところどころ最新の歴史学の知見も盛り込まれていて、深い。

◎渡邊未帆
「音楽史とは何か?」を丁寧に問いなおし、「西洋音楽史」を著者の視点で現代にアップデートして語りなおした挑戦的な一冊。

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