アーサー・バード（1856-1923）はアメリカに生まれ、ベルリンで学んだ作曲家。一時カナダでオルガニストの職を得たが、ベルリンに戻り、没するまでその地で作曲家/ピアニストとして活躍した。19世紀後半に、ヨーロッパの聴衆にアメリカ音楽を紹介した最初の世代のひとりで、リストとも親交を結び、作風は後期ロマン主義の影響を受けている。

　この《ギャロップ》は1908年から10年の間に書かれたと推測される、バードがミリタリー・バンドのために作曲した３つの作品の中のひとつ（他の２曲の楽譜は失われている）。サイラーによって今日のシンフォニック・バンドのために校訂されたこの楽譜により、ほぼ忘れ去られていた作品が100年余りの時を経てよみがえった。

　ドイツで学んだ作曲家とはいえ、この作品はフランスのオペレッタやロシアのバレエ音楽を連想させる軽さとユーモアに溢れており、ハチャトゥリアンを連想させる場面もある。半音の動きを巧みに使った豊かな和声は秀逸で、歴史的のみならず音楽的にもきわめて重要なレパートリーと言えよう。中級～上級バンドのためのすぐれたコンサート・ピースであり、特にアンコールには好適である。

　全体に音域が広く、特にピッコロとフルートにかなり高い音域が要求されているので、音色と音量をコントロールできる上手な奏者が必要。編成はかなり大きく、トランペット、ホルン、トロンボーンはそれぞれ４パート、テューバもふたつに分かれている。しかし打楽器は小太鼓と大太鼓のみ。(解説: 後藤 洋)




Grade: 4

Performance Time: 3:00

Series: FJH Symphonic Band BIRD, ArthurGalop/Ed. James Syler: Score & PartsThe FJH Music Company INC.