タイトルの「グルーヴ」は、この場合「ノリノリ」と訳すべきだろう。そのタイトルどおり、スピード感とドライヴ感に溢れた、熱くパワフルな１曲。ポップス・コンサートのオープニングやマーチング・バンドのショーに使えば、一気に盛り上がることは確実だ。作曲者自身はこの曲を「さまざまなリズムの組み合わせに焦点を当てた作品」と述べているが、そのとおりで、大きく３つに分けられた曲全体の第１部では２拍３連符や３拍４連符が16分音符の刻みと同時に進行したり、細かいリズムと大きな動きが組み合わされて、あたかも２種類のテンポが同時に存在するような錯覚を引き起こしたり、と非常に手の込んだリズム構成のこころみがなされている。

　さらに、第１部の経過句が第２部のテーマとなり、第３部では先行するふたつの部分のテーマが組み合わされ、コーダではそれまでに出たすべての要素が総動員されるなど、曲全体の音楽構成も非常によく練られており、感嘆すべき見事さ。作曲のお手本を見るようだ。しかし、音楽はそのような手練手管をまったく感じさせず、あくまでも自然に、ノリノリで進む。才人バルメイジスが本領を発揮した注目の１曲である。

　編成はほぼ標準的。技術的には特に困難ではないものの、打楽器（７人が必要）の役割はきわめて重要だ。マリンバとヴィブラフォーンは不可欠。

(解説 後藤洋)



Grade: 4

Performance Time: 4:00

Series: FJH Symphonic Band BALMAGES, BrianGroove Music: Score & PartsThe FJH Music Company INC.