高校の（あるいは一般の）バンドが小学校や中学校のバンドと一緒に演奏する、という機会に、また上級生と初級メンバーが一緒に合奏をする機会に、ぜひおすすめしたいのが、「異なるレベルの合同バンドのための」と付記されたこの《ショアウッド序曲》。ウィスコンシン州の大西洋に面した町ショアウッドにある、地域のスクール・バンドの保護者会が、地域の生徒たちがみんなで演奏できる曲を、と委嘱した作品である。

　異なるレベルのバンドが合同で演奏する場合、あまり難しくない曲をそのまま一緒に演奏してもよいのだが、この曲のユニークな点は、「レベル３」「レベル２」「レベル１」の楽譜が別々で、それぞれの奏者が各自のレベルに合わせて演奏に参加できること。全体の演奏は「レベル３」のメンバーが中心だが、上級生の陰に隠れてばかりはいられない、というわけで、時おり「レベル２」と「レベル１」のメンバーのみの演奏もフィーチャーされ、最後は全員が一緒になる、という仕掛けである。「レベル３」の楽譜には「レベル２」「レベル１」が単独で演奏する場合の音も書かれているので、コンクールや単独のバンドのコンサートで「レベル３」のパートのみを演奏することもできる。実際「レベル３」は、普通の中学校バンドがあまり無理をせずに演奏できる程度の難しさである。
　堂々としたヒロイックな雰囲気の曲想で、映画音楽のような華やかさがあるが、勢いにまかせて突っ走るような場面はなく、全体的に格調が高い。式典などでの演奏もおすすめである。(解説: 後藤洋)

Grade 3
Time 4:20 SWEENEY, MichaelShorewood Overture: Full Score & PartsHal Leonard Corporation