バンドの人数が少ないので、早い時期に1年生も加えてコンサートや発表会で演奏したい、コンクールにも全員で出たい、というバンドに注目していただきたいのがこの曲。初級?中級の作品のすぐれた書き手として広く認められている作曲家のひとり、マイケル・スウィーニーが、ウィスコンシン州の中学校バンドのために書き下ろした作品である。 アメリカの詩人、作家、人権運動家であるマヤ・アンジェロウ Maya Angelou(1928-2014)の詩で、1993年にビル・クリントンの大統領就任式でアンジェロウ本人が朗読したことでも知られる『朝の鼓動にOn the Pulse of Morning』からインスピレーションを得ており、タイトルは、その冒頭の一節に由来したもの。スウィーニーは、曲の主要な部分を支配する打楽器のリズム・パターンを「岩」に、序奏に続いて呈示される穏やかに流れるようなテーマを「川」に、そしてリズムが生み出すエネルギーと感情的な高まりが曲の進行にしたがって次第に増大していくプロセスを「樹」に見立ててこの作品を構成した、と述べている。彼はしばしば五音音階やドーリア旋法など、普通の長調、短調とは違う音階を用いることでプリミティブなエネルギーを表現することをこころみているが、この作品も同様。アメリカ先住民族やアンジェロウをはじめとするアフリカ系の人々の文化への敬意がそこに込められている、とみることもできるかもしれない。