急～緩～急の構成による、「よくありがちな」作品にみえるが、教育的なアイディアの豊かさで定評のあるクラークらしく、非常にうまく構成され、取り組む側にとってよい勉強にもなる秀作である。

　クラーク自身が解説で述べているように、この作品の表現上のポイントはアーティキュレーションの使い分けと音楽的なコントラスト。アレグロ・コン・ブリオの爽やかな主部では、８分音符の刻みに乗って４分音符と８分音符を組み合わせた印象的なテーマがさまざまな楽器に受け渡されるが、伴奏は終始スタッカートで演奏するよう指示されており、一方スタッカートの指示のないテーマとベース・ラインはマルカートで演奏する。それとは対照的に、テンポを落とした中間部はほとんどの動きをレガートで演奏することで、柔和なキャラクターを生かすことが求められている。これらのアーティキュレーションの指示は非常に綿密で、打楽器を除くすべての楽器がスタッカート、マルカート、レガートを使い分けることになり、その多様な組合わせとそれらのコントラストが、シンプルながら変化に富んだこの作品の最大の魅力となっている。経過的な部分にテーマの反行形の旋律が使われたり、コーダで一瞬中間部が回想されたりと、音楽の組立てに工夫が凝らされ、転調も実に巧み。随所に作曲者の実力が示された作品だ。発展途上の中学校や小学校のバンドのコンクール／コンサート用レパートリーとしておすすめ。実力のあるバンドが練習曲として取り組んでもよいだろう。

　クラリネットとトランペットが２パートずつで、他の各楽器は１パート。打楽器は６人で演奏できる。

(解説: 後藤洋)



2017年CF新譜

Grade 2.5

Time 4:08 CLARK, LarryDream Engine: Score & PartsCarl Fischer, Llc.