いわずと知れたシャンソンの名曲。1945年にハンガリー出身の音楽家コズマがバレエの伴奏音楽のひとつとして作曲、後にジャック・プレヴェールが歌詞をつけた。1940年代末から50年代にかけてシャンソンのスタンダードとして定着。1950年以降はアメリカでも親しまれるようになり、ジャズ・ミュージシャン達にもカバーされ、今日まで数えきれないほどのアーティストによってレコーディングされている。

　アルフレッド・リード（1921-2005）がこのアレンジを完成させたのは1955年。したがって、リードの作曲家としてのキャリアではごく初期の仕事ということになる。当時彼が責任編集者を務めていた出版社、ハンセンから出版されたが、その後絶版となり、永らく埋もれていた。この楽譜は、サザン・ミュージックの主任編集者マーク・ロジャーズがコンデンス・スコアのみだったハンセン版からフル・スコアを新たに作成し、現代のバンドで演奏しやすいようにオリジナルの編成の一部を改めたもの。

　原曲のシャンソンの冒頭に置かれ、語りに近いスタイルの「ヴァース」は、アメリカではほとんど歌われず、このアレンジも主要な部分である「コーラス」を２度繰り返すという構成だが、それぞれは調性もテンポも異なり、オーケストレーションには多様なアイディアが盛り込まれて、実に変化に富んでいる。陰影豊かな響き、濃密な、しかし品のよいロマンティシズム、そしてドラマティックな音楽の展開は、その後に続いたリードの傑作の数々を思い起こさせずにはおくまい。スタンダードと位置づけるに足る名アレンジの復刻を喜びたい。

　今後、秋のコンサートの定番となるだろう。

(解説: 後藤洋)



2017年 HAL新譜

Grade 4

Time 5:00 KOSMA, JosephAutumn Leaves(Les Feuilles Mortes)/Arr. Reed/Ed. Rogers: Score & PartsSouthern Music Company