本書は、新しくピアノを始める中高生のための入門書です。
　ピアノを始める年齢はいつでもよく、その内容に関しても年齢は関係ありません。しかし、それぞれの年齢に対して気持ちのよい進み方というのがあるのは確かです。これまで大人と子供の間である中高生のためのテキストは作っていなかったので、この度、新しく中高生の気持ちを意識したテキストを作ってみることにしました。中高生の場合、勉強や部活などで切迫した環境に置かれていることが多く、そしてまた、自分の弾きたい曲などはっきりした目標を持っている場合も多いので、なるべく簡単な方法で速く上達する方法を考えなければなりません。
　この一巻においては右手のあらゆるメロディーが弾けるようになることを目標に、ト音記号の幅広い音域を習います。左手は取りあえず C.F.G の主要三和音から入り、両手のタイミングをつかんだあと、少しずつ単独の音の理解へと進んでいきます。
　後半においては知っている曲も取り入れていますが、本書においてはレパートリーというよりも基本を学ぶための素材として取り組んでいますので、多少原曲とは異なるアレンジとなっています。
　本書の目的は、いろいろな曲を弾くことによって一日も早くピアノの基本を身につけ、自分の弾きたい曲に到達するということです。じっくりと一曲一曲に取り組み、ピアノを弾くことの楽しさを味わえたらと思っています。
　本書が、新しくピアノに取り組む中高生のためにお役に立てば幸いです。

著者 遠藤蓉子