今から約20年前のこと、私のピアノ教室に1人の小さな男の子がお母様に手をひかれてやってきました。彼は全盲の小学1年生。この出会いが障がいを持つた子ども達と私とで音楽を共に歩むきっかけになりました。
適切なテキストも見当たらず、コミュ二ケーションをとるにも四苦八苦。なんとか自己流でピアノレッスンを進めるうちに、いつしか様々な障がいを持った子ども達が私の教室に通うようになりました。
しッスンでは信頼関係を築くことに時間をかけ、また自分の頑張りを教室で表現することにとどまらず、発表会のステージで演奏することにより、自己表現の幅をひろげ、その体験が喜びにつながることを願って指導してきました。
その結果、たとえ目が見えなくても体が思うように動かなくても、もっともっと何かに挑戦 してみたい・・・そんな気持ちがどの子にも芽生えはじめました。
そんなある日、私はミュージックベルの講習会に参加する機会がありました。今まで教えてきたピアノの演奏とは異なり、みんなで音を分けて1つの曲を完成させる音楽に感動し、そこで障がいの子ども達への指導のヒントを得ました。そして数年後ミュージックベルの指導を始めることになったのです。
ある年の発表会。ピアノやベルの演奏を終えた子ども達や保護者の方から、「もっとたくさんの人にベルの演奏を聴いてもらいたい!！」という声があがりました。その声が現在も活動を続けている保育園や地域のイベント、クリスマス・コンサート等につながっているのです。
年々活動も増え、子ども達が意欲的に曲について考えるようになってきたことで、嬉しいことにレパートリーもかなり増えてきました。
ミュージックベルを指導して10年が経ちます。障がいの子ども達が取り組める工夫も私なりに考え編曲してきた曲。保育の場でも楽しめるピアノの伴奏の工夫。今回これらを1冊の本にまとめました。気軽に皆さんで楽しめる作品ばかりです。ベルの音色だけで演奏するのも良いし、この楽譜をもとに他の楽器も加えアレンジを自由に楽しんで頂ければ幸いです。
色々なスタイルでベルの演奏にチャレンジしてみてください。
※1音打ちの場合、混乱を避けるために、あえて?(タイ)を使用せず表記している部分があります。