本書ヒアリング・ザ・チェンジは、コード・プログレッションの決定的な研究書です。
ジャズ・レパートリーから注意深く選ばれた何百もの曲におけるハーモニーをアナライズしています。
それらを比較し、共通項を関連（リンク）させ、ハーモニーの特徴を説明することにより、
あなたは容易に、しかもはっきりとコード・プログレッションを理解できます。
また、プログレッションを耳で認識する技の秘訣を身につけることができます。

本書の特色として、ジャズが始まって以来インプロヴィゼイションを学ぶ人々を悩ましてきた問題、すなわち、耳だけを頼りにコード進行を即座に認識できるようになるにはどうしたらよいか、を解決することに焦点を当てています。

本書は、ジャズ（それに類似したスタイルの他のジャンルを含む）のハーモニーについて書かれています。その主な目的は、他の多くのジャズ関連の本にびっしりと書かれているような、和声の構造やインプロヴィゼイションのためのスケール、練習パターンなどを説明することではありません。ジャズ理論の解釈はある程度含まれますが、それは読者の理解を明確にするために必要な量だけに留めてあります。

ジャズ・ミュージシャンのレパートリーから、100曲を超える例題を慎重に選び出し、それぞれのコード・プログレッションや曲の構成を分析、比較し、それらの共通性を認識することで、さまざまなコード・プログレッションを体系化していきます。これにより、コード・プログレッションがどのように作用して曲が成り立っているかを理解でき､より早く、確実に曲を覚えることができるでしょう。

例えば、ジャム・セッションの場で知らない曲（名前は知っている、または聴いたことはあるが演奏したことはない）を譜面なしでインプロヴァイズやコンピング（伴奏）をしなくてはならないことがありますが、本書で学ぶことにより、他のプレイヤーのベース・ラインやピアノ、ギターなどのコードを聴くことで、次に進むコードが予想できるようになり、コード・プログレッションを丸暗記する必要がなくなるでしょう。

本書用に選ばれた曲は、ほとんどすべて、スタンダード、ビバップ、ポップ、コンテンポラリー系の曲です。ブルースとモーダルな曲はここではほとんど触れません。さまざまなコード・プログレッションの中の共通性を明らかに認識することによって見えてくるある本質は、読者にとって効率良いトレーニングとなります。新しい、なじみのない曲において何が起こりうるかを知り、耳だけを頼りにその知識を認識し、確認するためのトレーニングです。

本書を読むことで、ジャズとポピュラー音楽のハーモニーの言語を作り上げている、多くの要素に関して理解がより深まることを心より願っています。またここでの学習を通じて、内容から実用的なメリットを受け、日常の音楽環境の中でその情報を生かしていけることを望んでいます。


著者:Ｊｅｒｒｙ　ＣｏｋｅｒＢｏｂ　ＫｎａｐｐＬａｒｒｙ　Ｖｉｎｃｅｎｔ