本書和太鼓＆パーカッション・アンサンブルは、既刊の和太鼓アンサンプル導入曲集の続刊として企画されたもので、この導入曲集のレベルをさらにステップ・アップさせた和太鼓とパーカッションのためのアンサンブル曲集です。
古来から日本人に親しまれてきた和太鼓は、日本各地での祭や盆踊りなどで使われ、独自の伝統芸能として育まれ、現在では小・中・高校などの音楽教育にも取り入れられています。一方、パーカッションによるリズムは、アフリカ大陸各地をルーツとして生まれ、アフリカの奴隷たちによってヨーロッパや南北アメリカ大陸などに広まり、その土地のリズムと融合したり、西洋音楽に取り入れられるなど、進化し続けています。

現代の和太鼓は、海外の音楽の要素をかなり多く受け入れ、そして、技術的にもかなり複雑な要素を受け入れています。そして、和太鼓奏者は、和楽器以外のパーカッションを演奏し始め、またパーカッショニストたちも和太鼓を演奏し始めたりして、日本と海外のざまざまなリズムを融合させています。

私は、パーカショニストとして、和太鼓のりずむとパーカションのリズムによるアンサンブルをとおして、日本古来の楽器である和太鼓の可能性をさらに広げたいと考え、本書の掲載曲、和太鼓とパーカッションのコラボレーション作品を作・編曲しました。

和と洋の音楽を融合させた打楽器アンサンブルを学ぶために本書に付属したCDには、標準テンポの模範演奏トラック以外に、個人でも、学校現場でも、サークルでも、郷土芸能を伝承する集団などのグループでも、自主的な練習できるように、ウォームアップ・エクササイズ、スロー・テンポの模範演奏、CDに合わせてパート練習ができるマイナス・ワンなど、さまざまなトラックなどが収録されています。それぞれの練習目的に合わせてCDを活用しましょう。

本書は、新しい和太鼓の感覚を身につけたい人、すでに和太鼓を始めて和太鼓アンサンブル導入曲集を終えた人、さらに和太鼓のアンサンブルを挑戦したい人、学校や団体など大人数で打楽器アンサンブルを楽しみたい人、マーチング・バンドやブラス・バンド、オーケストラの打楽器パートなど、少人数から大人数のさまざまなサイズのグループや和太鼓奏者、パーカッショニストたちにお勧めしたい１冊です。

本書と付属のCDを活用して、和太鼓のアンサンブルを、そして和太鼓とパーカッションのアンサンブルを楽しみながら演奏していただけることを願っています。



著者：大久保宙