人はTPOに合わせて服装を選択する。仕事用のスーツ、友人に会う時のカジュアルなコーディネート、自宅でくつろぐ時のパジャマ、あるいは制服、スポーツウェア、着物・・・・・・など、状況によって選択は大きく変化する。

少し大げさに言うと、服を選ぶということは、事前に購入などして手元に準備し、そして目的に合わせて自分の意志で決定するということである。そうして準備と選択を経て決定した服は、その人の内なる心境を表現するだけでなく、気持ちを引き出すための手段としても機能する、と言えるのではないだろうか。

本作品《新しい服を着て》は、服の選択とそれによる心情に焦点を当てた作品である。
わざわざ新しい服を選択するような時、そこには思い入れのある出来事、大切な日、多かれ少なかれ、特別な心境があるのではないだろうか。高揚感を得たり、あるいは心機一転の新たな気持ちで臨んだり、目的に応じた想いを服装にも込めてみたりはしないだろうか。
「新調された服」という特別感と、新品の服でその日に臨む特別な心境を、この作品を通じて共感いただければ幸いである。

1.週末の小旅行のために
休日を迎える高揚感、旅行という非日常への期待と少しの不安。新たな場所で新たな自分を表現するための服。

2.式典のために
心機一転、気持ちを新たに。厳か、感謝の気持ちを持った正装。

3.普段着に（自分のために）
特定の予定のためではなく購入した新品の服を、どこで最初に着ようかと悩むワクワク感。コーディネートを考えながら自宅でファッションショー。(得本和音)

Fl./Pf.