2018年2月8日、日本現代音楽協会主催『NEW CHAMBER MUSIC 2018』にて３曲からなるピアノ連弾作品として全曲初演。第１曲目は作曲者が二人の娘のために書いた作品で、プリモにユニゾンが多く、取り組みやすい。他の２曲もグレードは高いが、明るく軽快で親しみやすく、また華やかな印象を醸し出している。

＜まえがき＞
　「誕生」は当時小学3年生と中学3年生だった二人の娘から「ピアノの発表会で連弾をやりたいから何か作って」と頼まれたことに応えたものです。primoは平易な書法で、反対にsecondoはわりと難易度が高いものとなっております。「おねえちゃんのパートはうんとむずかしくネ」と悪戯っぽくつぶやいた次女の求めに応えた結果です。

　「誕生」初演の後、いろいろなピアノデュオの作品を眺めてみたのですが、2台ピアノの作品ではかなりピアニスティックなものが多いのに比べて、連弾はわりと平易なものが多いな、と感じました。そこで連弾でもピアニスティックなものを作ってみよう、きっと需要はあるはずだ、と思いたち、できたのが「夢」と「飛翔」です。

　3曲は続けて演奏していただいても、それぞれを単独で演奏していただいてもかまいません。これらの曲を通じて、連弾の面白さを楽しんでいただけたら作曲者として嬉しい限りです。

久行敏彦



【著者略歴】

東京生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。同大学院音楽研究科修士課程修了。
神奈川県芸術祭合唱曲作曲コンクール第3位入賞。日本交響楽振興財団作曲賞入選。
日本音楽コンクール第2位入賞。1995年朝日作曲賞（合唱）佳作入選。
洗足学園音楽大学教授、東京音楽大学、ヤマハマスタークラス講師。