㈱音楽之友社
西洋音楽理論にみるラモーの軌跡 数・科学・音楽をめぐる栄光と挫折
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内容紹介
ラモーという人物と、彼の音楽理論への導入となる一冊。『和声論』を完訳した気鋭のラモー理論研究者による書き下ろし。
扱われる内容は、「自身以前の数世紀にわたる西洋音楽理論における“数比の伝統”に則るかたちで理論家としてスタートしたラモーが、西洋近代を画することになる科学革命や18世紀フランス啓蒙主義の只中でいかに“音楽理論と科学”の統合を目指したか(そしてこの試みが必ずしも成功しなかったか)」。
中心となるテーマは「協和的とされる音程はどのように定義されてきたのか」、そして「なぜ“ド・ミ・ソの和音”が西洋音楽において特権視されるのか」。
数比の伝統(ピュタゴラスとザルリーノ)に言及した後、ラモー理論の一大特徴である、中世の伝統から科学への転換を追う。
終盤ではラモーへの批判も取り上げる。ラモー理論の弱点・
欠陥を正確に捉えることは西洋音楽理論が抱え込んでいる諸問題を理解するためにも重要である。
目次
1 序論
ラモーという人物像はどのように捉えられてきたか
ラモーが関係した音楽上の論争
先行研究における対照的なラモー評
本書の概要と方向性
2 ラモーのプロフィールと音楽理論書
ラモーの伝記的情報
ラモーの音楽理論書の概略
3 ラモーに至る数比の伝統/ピュタゴラスとザルリーノ
3-1 音楽理論における数比の論理の大前提
3-2 ピュタゴラスとピュタゴラス派
ピュタゴラス(派)とテトラクテュス
[COLUNM]モノコルドの分割によって協和音程を決める方法
3-3 G.ザルリーノ
ザルリーノの『調和概論』における六数と協和概念
[COLUNM]西洋音楽における3度という問題
4 『和声論』(1722)におけるモノコルド分割の伝統の継承
デカルト著『音楽提要』内のモノコルドの分割
『和声論』内のモノコルドの分割を読み解く
ド・ミ・ソの和音が特権視された理由
5 『和声論』以後の動向/音響物理学の知見と音楽理論
L.B.カステル
J.ソヴールと音響物理学
6 『新体系』(1726)における音響物理学
ラモー理論と倍音現象
ラモー理論における音響体
『和声論』から『新体系』への転換
7 ラモー理論における倍音現象の諸問題/『和声の生成』(1737)以降
短3度と短完全和音
7-1 下方倍音列の問題
下方倍音列とはいかなるものか
下方倍音という虚構
『和声の生成』における最大の誤り/下方倍音問題
『和声原理の証明』(1750)における修正
下方倍音と短3度問題
[COLUNM]ラモーは短3度をいかに正当化しようとしたか
7-2 上方倍音列の問題
問題1 “上方倍音列は協和的である”と言うことはできない
問題2 上方倍音は必ずしも“自然現象”ではない
問題3 第7倍音以降の音の存在
問題4 実験データの恣意的な捨象/なぜ三音だけなのか
問題5 実験データの改ざん処理/オクターヴという謎
[COLUNM]ダランベールによるラモー批判;数比の全否定
[COLUNM]ルソーによるラモー批判;多岐にわたる論争
8 ラモーのこれまでの歩みと晩年の15年
8-1 科学と啓蒙主義の時代におけるラモー
8-2 晩年期のラモーの著作群:
ラモー理論の「神秘論的転回」
1752年刊『ラモー氏の『和声原理の証明』に関する新見解』
1754年刊『音楽のためのわれわれの本能に関する諸観察』
1760年刊『音響原理に関する新見解』
1762年刊『この同一テーマに関する論争から導き出される諸学の起源』
1763-4年執筆『自然の只中から引き出された、いまだ知られておらず、かつ興味深い真実』
9 エピローグ
付録1:抄訳 J.ソヴール「一般体系」(1701)、第9章「倍音son harmoniqueについて」
付録2:ラモーのテクストの影響関係
付録3:ラモー年表
参考資料
あとがき
人名索引
商品詳細
発売日 |
2020/5/10 |
ページ数 |
176 |
ISBN |
9784276102576 |
楽器 |
書籍 |
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