音楽療法の現場（施設）におけるセッションは定型というものがなく、セラピストには常に即興性が求められ、かつ臨機応変でなければならない。そのようなセッションに役立つ“ちょっとした小技”の数々を紹介するのが本書。楽器へのひと工夫・ひと手間から、実際に使える小曲、クライエントと関わる際の細やかな心配りなどを、簡潔に掲載する。これらのネタを消化しつつ、自分でもさまざまな工夫が重ねられるようになれば占めたもの。執筆者陣はいずれも全国的に活躍するフリーの音楽療法士で現場経験も長く豊富である。

[目次]

◎都築裕治――発想の生まれる時
・スズ輪でオーケストラ
・二人羽織技法　リコーダーその１
・穴ふさぎ笛　リコーダーその２
・大ピック　２種類
・エレキベース
・ウクレレとギター
・ポール
・ポールベル
・吊りふうせん
・『吊り』シリーズ
・キーボード
・補助鍵盤　ペタット・キー
・変身の小道具
・板ダイコ・歩行板
・都々逸式、替え歌づくり

◎下川英子――「本当にこれで良いのか」を常に問いながら
・おはじきポップコーン
・ボールマレット
・カエルさんがポン
・ストローフォーン
・時計タンバリン
・新体操リボン
・型抜き色あそび
・七色キーボード
・おなかのすいたうさちゃん
・ボタンゴム鈴

◎根岸由香――世界にひとつだけの○○さんの楽器
・鈴シリーズ
・リボンシリーズ
・マラカスシリーズ
・洗濯板シリーズ
・ふえシリーズ

◎田中美歌――音楽で心の交流を図りたい
・音のシャワー
・大発明！大太鼓叩きマシーン
・トントントン、何の音？

◎智田邦徳――お笑い芸人のネタにヒントあり
・回文（面白逆さ言葉）
・発音練習　いろんな「あ」

◎平田紀子――「ちょっと嬉しい伴奏」が弾きたい
・黄門様が、ゆく：「水戸黄門」風ボレロの弾き方
・平次が銭、投げる：「銭形平次」一気呵成のリズミカルなイントロ
・あなたと二人で来たい丘・其の一：「港が見える丘」ムーディーなイントロ
・あなたと二人で来たい丘・其の二：「港が見える丘」ムーディーなエンディング
・ああ、連絡船のひとり旅：「津軽海峡・冬景色」三連スローロックの秘訣

◎よしだじゅんこ――自由な音楽のよろこびを伝えるために
・宇宙語で話そう
・ハンドベルで乾杯
・ぼくのすきなうた
・お友だちを眠らせよう
・オリジナルカラオケテープを作ろう
・さようならのうた

◎二俣泉――対象児の望ましい行動を引き出すために
・字を書くことを練習する音楽活動
・カバサを使って、笑顔を引き出す
・カバサを使った「発音」の練習
・楽器呈示における「焦らし」

[付録]　平田紀子、智田邦徳のパラパラまんが・あてふり5題
　365歩のマーチ／命くれない／青い山脈／アンコ椿は恋の花／世界は二人のために