河出書房新社

音楽は絶望に寄り添う ショスタコーヴィチはなぜ人の心を救うのか

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音楽は絶望に寄り添う ショスタコーヴィチはなぜ人の心を救うのか

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スターリン体制下の抵抗と絶望のもと生まれた楽曲が、孤独に沈む人を癒し、回復へ導くのはなぜか? 自身も双極性障害に苦しむ音楽番組プロデューサーが音楽の普遍的な力を鮮やかに描く。 

【頭木弘樹氏 推薦!!】

「“ケアの時代”と音楽の出会い。
 実体験からくる切実さに圧倒され、自分が音楽に救われたときを思い出したーー」


抑圧の中で生まれた楽曲が、孤独に沈む人を癒し、回復へみちびくのはなぜか?
自身も心の病を抱え、精神疾患をもつ母との葛藤を背負ったBBCの音楽番組プロデューサーが、ショスタコーヴィチの特番製作の過程で自らが回復していく体験を通し、音楽のもつ普遍的な力をゆるやかに紐解いていく。
ショスタコーヴィチを知る人へのインタビューに始まり、古今の哲学者、劇作家、神経科学者などによる知見、人を絶望から救う方法への鋭い考察までが綴られ、言語化しづらい「音楽の力」に具体的で精緻な言葉を与える希望の書。

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訳者まえがき
序章

I
奇跡的に実現した『レニングラード交響曲』初演
ショスタコーヴィチは抵抗者だったのだろうか?
音楽が生む「私」から「われわれ」へという感覚
共感を感じる脳
スターリンによる「大粛清」
一夜にして凋落を招いた『マクベス夫人』
失地回復と芸術的誠実さを同時に成し遂げた『交響曲第5番』


音楽を聴くことは、その音楽と関係を結ぶことだ
四半世紀沈黙を続けた『交響曲第4番』の圧倒的な魅力
音楽の中で情熱は羽をのばす
敏感で気難しい母との葛藤
アリストテレスの「悲劇がもたらすカタルシス」
「あふれる悲しみが笑い、あふれる喜びが泣く」双極性障害の芸術的気質
なぜ悲しい物語は心の痛みを和らげるのか


悪戯っぽいユーモアあふれるショスタコーヴィチ
期待を裏切る『交響曲第9番』の真意
『交響曲第10番』に秘められた、スターリンへの痛烈なメッセージ
「凍結された悲しみ」が流れ出すまで
ショスタコーヴィチの音楽署名D-S-C-H
ネガティブ・ケイパビリティ『ミケランジェロ組曲』
『交響曲第8番』が呼んだ酷評と自己肯定感


「ムーミントロール」が教える見つめることの大切さ
溶岩をも凍らす母の言葉
ワーグナーが描いた究極の愛『トリスタンとイゾルデ』
ショスタコーヴィチ精神破綻す
自身のレクイエム『弦楽四重奏曲第8番』が魂を救う
DSCHが誘う人生回顧の旅
ベートーベンの音楽セラピー


規律のアポロ神と情熱のディオニュソス神の調和
ネアンデルタール人の「音楽言語」
自死願望からいかにして救われたか
音楽はうつの孤独の伴走者
ショスタコーヴィチの天才と、物語の重要性
「感情の相互作用」を生む脳の構造
心理療法と音楽療法
「それはあなたのせいじゃない」


広大なロシアは自我をくじく
芸術家は、現実が持つ意味に姿・形を与える
音楽がもたらす「帰属感」と「つながり」の感覚
たとえ引きこもっても、永遠に一人ということはない
もし音楽が私をこのような気持ちにさせるのなら、私はどうして耳を傾けるに値しない存在などであろうか?

訳者あとがき

スティーブン・ジョンソン/著 吉成 真由美/訳

商品詳細

発売日 2022/10/20
サイズ 四六変
ISBN 9784309256863