今日からあなたも音楽業界人!知ってると便利!音楽ギョーカイ用語辞典「一般用語編」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


ミュージシャンのインタビューやSNSで見かけるものの、意味が知られていなさそうな音楽業界用語をピックアップ。読めば業界人の世界に足を踏み入れられる…かも!? ※編集部の恣意的な解釈も若干含まれますが、ご了承ください!


 楽曲制作やプレイに関する用語 

■あ行 ■か行 ■さ行
■た行  ■は行 ■ま行
■や行  ■ら行


 

■あ行


【アレンジ(編曲)】
主旋律(歌のメロディー)やコード進行など、楽曲の中核を作る“作曲’'に対して、その他の部分に手を加えて、楽曲の構成や雰囲気を決める作業。ギター/ベース/ドラム/キーボードなど他の楽器のフレーズを作る。曲によって作業は異なるが、楽曲の魅力を最大限に引き出すために欠かせない。

【アン直】

エフェクターなどを通さず、 アンプに直接ギターを接続し音を出すこと。いろんな機材を使っていると‘‘アン直が一番なのでは?”という結論に行きつく人もいるとかいないとか。

【インスト】

インストウルメンタル(instrumental)の略。歌のない、楽器だけで演奏された曲を意味する。
用例:インストバンド、インスト曲(=器楽曲)。

【歌モノ】
歌のメロディーが際立つ、メロディアスな楽曲。どのような楽曲が歌モノを指すのかは、人それぞれの解釈に委ねられる。インスト曲に対し、単にボーカルの入った楽曲を指す場合も。

【打ち込み(同期)】
ドラムマシンやシーケンサーなどでプログラミングした(打ち込んだ)音源。そうした、あらかじめ作成しておいた打ち込みデータや録音しておいた音源を流し、プレイヤーが一緒に演奏する。この打ち込み音源を“同期音源”と呼ぶ。同期と打ち込みを同じ意味で使用することも多い。
用例:明後日のライブ、ドラムが風邪で来られないらしい。同期を流そう。

【エンジニア】
レコーディングやTD(後述)に携わる技術者。どちらも兼任する場合が多いが、分業する場合も。ライブの現場においては、PAエンジニアを指す。

【オカズ(フィルイン)】
メロディーやフレーズの空白を埋める、曲のスパイスとなるような短いフレーズ。あらかじめ譜面に書かれている場合や、アドリブ(即興)で演奏することも。特にドラム用語ではフィルイン(Fill In=埋める)とも言い、定型パターンの中に挟むイレギュラーなパターンを指す。

【オケ、バッキング、オフボーカル】
ある楽曲からボーカルを除いた音源。オケはオーケストラの略で、バッキングトラックやインストとも呼ぶ。なお、カラオケは“空のオケ”に由来する。

【OP/ED】
オ ープニング(OPening)曲、エンデイング(EnDing)曲の略称。
用例:あのドラマのOP、最高だよね!


 

■か行

 

【仮歌】
レコーデイング前、本番のボーカルを録る前に仮でレコーディングされた歌のこと。作曲者がバンドメンバーや編曲家に楽曲を聴かせる際に仮で歌を入れたり、楽曲提供の場合は歌い手が録音前に曲を覚えるためのガイドとして入れる歌も意味する。なお、仮歌を専門とした“仮歌シンガー”という職業もある。

【GarageBand / Pro Tools】
音楽制作ソフトで、DAW(ダウ/Digital Audio Workstation)の一種。録音、打ち込み、編集など、作曲に必要な機能を備え、DTM(後述)などで使用。「GarageBand」(ガレバンとも)はMacパソコンやiPhoneに搭載されていて、使いやすく、プロも利用する。「Pro Tools」はRECの現場でもよく使われる本格仕様。その他、CUBASEやLogic Proも使用者が多い。

【完パケ】
「完全(完成)パッケージ」の略。録音からマスタリング(後述)まで完了し、CDにプレスできる状態の音源を指す。あるいは、CDの盤面やジャケット印刷などすべてが完了した完成品を指す。
用例:納品日までに、何とか完パケて良かった~。

【キー(調)】
理論的な説明を割愛してかなり端的に説明すると、曲を演奏する音の高さ。楽曲のメロデイーやコードの基準となる音階。カラオケで歌いにくいときに、上げ下げする。
用例:この曲が歌いにくいので、キーを1個下げて(-1=半音)ください。

【ギソロ(ギーソロ)】
ギターソロの略。ギタリストがもっとも目立つことができる、ここ一番の瞬間。

【キメ】
曲中で一瞬ブレイク(音を止めること)したり、全員で同じフレーズを弾くなど、曲にアクセントを付けるフレーズ。バンドで演奏する際には絶対に外さないようにしたい。

【クう】
シンコペーションの一種。アクセントを前の拍のウラに置くこと。“リズムが食い込むように始まる”ことに由来する。
用例:Bメロのリズムがクってるから気を付けてね。

【グルーヴ】
演奏においてノリやリズム、アンサンブルなどが生み出す一体感や高揚感。考えるのではなく、感じるもの。グルーヴとは何か、それは演奏者が永遠に追い求めるべきテーマである。
用例:「今日の演奏、グルーヴィだったね 」「うん、ハンパないグルーヴ感だわ」


 

■さ行

 

【詞先(しせん)/曲先(きょくせん)】
作曲の際、歌詞から先に作ることを‘‘詞先”、曲(メロデイーやコード進行) から作ることを “曲先” と呼ぶ。

【白盤】
CDの試聴用サンプルやプロモーション盤。盤面印刷もされていない状態を指し(CD-Rのことも多い)、ラジオや雑誌などの媒体、関係各所に配布する。

【ストリングス(弦)】
バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスなどの弦楽器のサウンドや、その演奏者のこと。複数構成のチームを「◯◯(リーダーの名前)ストリングス」と呼ぶことも。なお、“ギターとベースも弦楽器じゃん”と思うだろうが、これらは含まない。

【せーの(一発録り)】
レコーディングは、パートごとにバラバラに録音して重ねていくのが一般的だが、一発録りは全員で“せーの!”で演奏して同時に録る方法。別録りでは出せない一体感が表現できるが、一人が失敗するとNGテイクになるというリスクも。一人ずつ別のブースに入って演奏したり、同じ部屋で録音する場合もある。

【セッション(ジャムセッション)】
その場に居合わせたミュージシャンたちが、楽譜などの準備はせずに即興で演奏すること。ジャムとも言う。グレイトフル・デッドやオールマン・ブラザーズ・バンドといった即興演奏を重視するバンドをジャムバンドと呼ぶ。
[類語]インプロビゼーション、アドリプ


 

■た行

 

【DTM】
デスクトップミュージック(DeskTop Music/和製英語)の略。コンピューターミュージックとも。パソコンを使って作曲や編曲を行うこと、またその楽曲。かつてデモ音源などはMTR(マルチトラックレコーダー)を使って制作していたが、昨今は前述のDAWが主流。

【ディレクター】
音楽制作の現場監督、プロジェクトリーダー。作品の収録曲や参加ミュージシャンの選定、レコーディングの進め方などを、アーティストの意志を汲んで決め、進行管理を行う。下記で紹介する「プロデューサー」「A&R」と兼任することも。
[関連用語1]
プロデューサー…音楽制作の総監督。アーティストの才能や魅力を見極め、音楽性や宣伝方法など、どのように売り出せば商業的に成功できるのかも含め計画を練る。
[関連用語2]
A&R…Artist &Repertoire(アーティスト&レパートリー)の略。アーティストを発掘・育成し、宜伝や営業スタッフと連携する現場責任者。レコード会社の社員が行うのが一般的。

【デモテープ】
デモ音源、デモとも。
①曲の概要をつかむために録音する、制作途中の音源。レコーデイング前にメンバーやスタッフと共有したり、アレンジャーに編曲を依頼する際に使用する。
②オーデイションの音源審査や、ライブハウス、レコード会社に売り込む際に使用する、宜伝用の音源。

【TD(トラックダウン、ミックスダウン)】
レコーディングの際、複数のチャンネル(トラック)に分けて録音したものを混ぜ合わせ(=ミキシングし)、音量や音質、各パートのバランスを調整、L/Rの2トラックにまとめ上げる工程。

【ドンシャリ】
低音域と高音域を強調し、中音域を抑えたサウンドセッティング(イコライジング)。ドン=低音、シャリ=高音。音抜けが良く心地よいが、やりすぎるとコシがなくなってしまう。イコライザーで極端なドンシャリにすると「V」の形になることから、“V サウンド” という異名もあるようなないような。


 

■は行

 

【ハシる/モタる】
ハシるは、決められたテンポよりも速いテンポで演奏している状態。一方、モタるは遅いテンポで演奏している状態。
用例:今の演奏、ギターがモタってなかった?

【パンチイン/パンチアウト】
レコーディングの際、一部分を別録りして差し替える手法。かつては、録音したテープを再生して音を流しながら、差し替えたい部分で録音状態に切り替え(パンチイン)、完了後に再生状態に戻し(パンチアウト)、上書きしていた。昨今では、別録りしたデータを切り貼りできる。

【プリプロ】
プリプロダクション(Pre-production)の略。レコーデイング前、事前にキーや構成、フレーズのイメージなど、楽曲の骨組みをある程度決めるため簡易的に録音を行う。プリプロ通りにレコーディングすることもあれば、大きく変更することもしばしば。

【フルテン】
アンプのツマミをすべて最大値(10)にセッティングした状態。‘‘Full ten" に由来。真面目な話をすると、会場の広さや他のパートとの兼ね合いを考えて音作りをしたほうが良いので、あまりオススメしない。


 

■ま行

 

【マスタリング】
トラックダウンした音源をCDなどの記録媒体に書き出すため、レベル(音量)・音質・音圧・曲間などを調整する作業。リマスタリングは、より良い音質にするべくマスタリングをやり直すことを指す。


 

■や行

 

【ユニゾン】
2つ以上の音程が同一で重なること、あるいは複数の楽器で同じフレーズを弾くこと。オクターブが違っていてもユニゾンと呼ぶことが多い。


 

■ら行

 

【ライン録り】
アンプの前にマイクを立て、アンプから出た音を録音する手法(=オンマイク)に対し、アンプを通さずにケーブルで直接、音の信号をミキサーや録音機器に入力する手法。マイク録音と異なり、余分な音やノイズが入ったり、マイクの位置に左右されず安定した音が取れる。一方、立体感のない音になるという意見も。

【リアンプ】
ギターサウンドをアンプに通さずに録音したのち、パソコンとアンプを接続、そのデータをアンプで鳴らしてマイクで録音し直すという手法(Reアンプ)。アンプに接続せず、シミュレーターを使用する場合も。音作りの後で行うので、“せっかく上手に弾けたのに音色が…うわあああ!”といった悲劇も起きず、後からさまざまな音作りを試すことができるなど、非常に便利。

【リミックス】
①既存の楽曲を加工・再構成したり、新たなアレンジを加えるなどして、新たなバージョンとして作り変えること。原曲と大きく異なることもある。原則、再RECは行わず、元の音源を加工する。
②既存の楽曲をミキシングし直すこと。

【REC(レック)】
レコーディング(RECording)の略。業界人っぽく聞こえて非常にカッコいい。
用例:次のRECいつだっけ?

【ロックアウト】
リハーサルやレコーディングなどで、スタジオを丸一日あるいは深夜から朝まで抑えること。5分前退室などの制限がないため、余裕をもって利用できる。
用例:明日もロックアウトしているから、荷物は起きっぱなしで大丈夫だよ。


   アーティストに関する用語 

■あ行 ■か行 ■さ行
■た行  ■は行
■や行 ■ら行


 

■あ行

 

【アー写】
アーティスト写真の略。マネージメント事務所やレコード会社が各メデイアに提供する公式写真で、宜伝材料写真(宜材写真)やビジュアルとも呼ぶ。
[関連用語]ジャケ写(ジャケット写真)

【アゴ、アシ、マクラ】
ライブにかかる費用を考える際に使用する用語。アゴは食事代、アシは交通費、マクラは宿泊費を指す。
用例:今回の出演料は、アゴ・アシ・マクラ込みですか?

【インディーズ/メジャー】
大手レコード会社を「メジャー」、その他を「インディーズ」と呼ぶ。日本の場合、日本レコード協会に認可されたレーベルはすべてメジャーとなる(流通網の違い)。一概には言えないが、メジャーに所属すると宜伝活動に力を入れることができ、メデイアヘの露出が多くなり、より多くの人に作品を手に取ってもらいやすくなる。インディーズは自主的な活動のため自由度が高く、売り上げの取り分も多い。

【a.k.a.】
also known asの略。“別名”“またの名を”の意味。自分の名前を記載する際に使うと、ちょっとカッコいい感じになる。

【エモい】
言葉にできないほどのエモーショナルな感情。大人になってから、10 代の頃によく聴いていた音楽を聴くと沸き上がりやすい。
用例:今日のライブ、最後の曲がめっちゃエモかったね。

【押す/巻く】
時間の進み具合を示す用語。押すは予定時間より遅くなること、巻くは予定より早くなること。撮影や取材、ライブでも頻繁に使われる。

【おはようございます】
オールマイティに使用できる挨拶。時間帯問わず活動しがちなギョーカイでは、常に“おはようございます”と言えばOK。疲れていないのに‘‘お疲れさまです”も使いがち。


 

■か行

 

【楽器隊】
ボーカリスト以外の楽器パートを指す。
用例:あのバンド、楽器隊のメンバーがイケメンだよね。


 

■さ行


【スリーピース(トリオ)】
3人組編成の音楽形態。UNISON SQUARE GARDEN、SHISHAMO、ヤバイTシャツ屋さん、リーガルリリーなど、現在も数多くの若手スリーピースバンドが活躍。構成人数によりツーピース(2人組)、フォーピース(カルテット)という呼称も存在。

【世界観】
楽曲やアーティストの音楽性・個性を総称したものを指す。使用者に対して “具体的にどういうことか” と尋ねると、回答できない場合が多い。クリープハイプの尾崎世界観が〈多くの人から言われる「世界観が」という曖昧な評価に疑問を感じ、自ら尾崎泄界観と名乗るように〉なったことは有名な話。


 

■た行


【タイコ、ターギ、スーベ】
シースー(寿司)など、何でもひっくり返しがちのギョーカイ用語。ターギはギター、スーべはベースだが、なぜかドラムは太鼓。
用例:僕のドンバは、ターギとスーべとタイコ、ターウがいます。あ、キーガとメンフ忘れちゃった。ジャーマネ、よろ!(訳:僕のバンドはギターとベースとドラム、歌がいます。あ、楽器と譜面忘れちゃった。マネージャー、よろしく!)

【チルアウト】
落ち着く、くつろぐを意味する。英語のスラングに由来し、テクノの系譜のゆったりとしたテンポの音楽を指すことも。
[派生]チルってる
用例:「明日、何するの?」「外出するのが面倒だから、家でチルってようかな」「私はシモキタでチルアウト」


 

■は行


【バイブス】
ノリ、雰囲気、気合い、フィーリング、テンションなど、幅広い意味で使用される。言葉にできない感情を表し、第六感で感じ取るものである。
用例:「この曲すごく好き!」「いいバイブスだね!」「めっちゃバイブス上がる!」

【バラシ】
①ライブや撮影などの終了後、機材を片づけること。撤収作業。
用例:撮影が終わったから、もうバラしちゃって。
② 予定されていた行事が、都合により実施できなくなり、中止すること。
用例:アーティストの都合が悪くなったので、来週の取材はバラシでお願いします。


 

■や行


【ユニット】
主に複数のメンバーで構成される集団を指すが、1人でも使われることもあり、広義に解釈されている。


 

■ら行


【リードギター】
主旋律を担当するギター。“リード” と略すことも。楽器隊にギタリストが2名以上いる場合に使用することが多い。かつてはリードギターとリズムギターがはっきり役割分担されていたが、近年では曲に応じて役割を変えるなど一概には言えず、“ボーカル&ギター”の対義語として使用することも多い。

【リズムギター、サイドギター、バッキングギター】
リードギターに対し、伴奏を担当するギター。コード弾きを中心に行うことが多い。ドン・ウィルソン(ザ・ベンチャーズ)などが代表的。

【リズム隊】
バンドにおけるリズムパートを意味する。ドラムとベースを指すことが大半だが、ピアノやリズムギターを含むことも。
用例:あのバンド、リズム隊のグルーヴが最高なんだよね。

【レコ発】
CDの発売を記念したライブ、ツアー、イベントなどで使用される。“レコード発売” に由来する。
用例:今度のレコ発ツアー、行く?


(Go!Go! GUITAR 2017年12月号に掲載した内容を再編集したものです)

 

Edit:溝口元海

 

【関連記事】

TOP_980.png
今日からあなたも音楽業界人!知ってると便利!音楽ギョーカイ用語辞典「ライブ用語編」【Go!Go! GUITAR プレイバック】
 

 

【ギター講座】をもっと見る →


この記事を読んだ人におすすめの商品