今も昔も、初心者の前に立ちはだかる最大の壁と言えば“バレーコード”だ。本講座では、ギターインストゥルメンタルユニットのDEPAPEPE を迎え、正しいフォームをあらゆる視点から検証しつつ、絶対に押さえられるようになるコツを伝授してもらった!
PROFILE
デパペペ/徳岡慶也と三浦拓也によるギターインストゥルメンタルユニット。02年11月結成。05年、アルバム『Let'sGo!!!』でメジャーデビュー。5/10(日)TOKYO DOME CITY HALLにて〈DEPAPEPE メジャーデビュー15周年!これからもよろしく 大感謝祭!!!〉を開催。詳しくはオフィシャルサイトにて。
https://rainbow-e.co.jp/depapepe/
バレーコードとは、人差指などで複数の弦を押さえる(これをセーハと言う)コードのこと。人差指がカポの役割を果たしているので、ローコードを平行移動したものと言うとわかりやすいかもしれないね。その中で、初心者の壁として挙げられるのが“Fコード”だ。バレーコードが難関と言われる理由、それは1本の指で複数の弦を押さえる“セーハ”に他ならない。言い換えれば、このセーハさえ攻略できれば成功も目前だぞ!
×ギターと体が離れている
▲腕が伸びると手首の角度がきつくなり、弦を押さえる指に力が入りにくくなる。
×指のハラで押さえている
▲人差指のハラ全体で押さえると、押弦に力が必要になり音を鳴らしにくくなってしまう。
×他の指が寝ている
▲人差指以外の指が寝ると、他の弦をミュート(触れる)してしまい音が鳴らないという事態に!
×脇が空きすぎ
▲腕が伸びてしまっている証拠。手首の角度にも無理があるので、手首を痛めてしまう原因にも。
正面 指の角度や押弦する場所など細かいところにポイントが!
バレーコードが上手く押さえられない場合は、フォームの悪さに原因があることが多い。DEPAPEPE の2人を参考に、それぞれの視点から正しいフォームを検証していこう。若干フォームの違いはあれど、押さえておきたいポイントは共通しているぞ。まず、セーハする指(写真は人差指)は、かならずフレット寄りを押さえる。そうすることで、最小限の力で澄んだ音を出すことができる。他、大きなポイントとしては、セーハする指以外はしっかり立てる、人差指の外側で押さえる、親指はネック裏の中央付近に添えるなど。
ヘッド側 セーハの指以外は立てる
人差指はフレット寄りを押さえる。これはバレーコードに限らず、押弦の基本なので覚えておこう。人差指以外の中指・薬指・小指はしっかり立てよう。
真上 人差指を弓なりにして外側で押さえるのがポイント!
ここもやっぱり人差指がポイント。手のひらの面ではなく、やや傾けて人差指の外側で押さえると音が鳴りやすい。また、人差指は真っ直ぐ伸ばすのではなく、やや弓なりにするとムダなく力を入れることができる。人差指を傾けることで、他の指も自然と傾いているのにも注目。
斜め後ろ 手首の角度に注目!
手首を適度に曲げることで、弦をセーハしやすくなる。上の「ギターと体が離れている」の左手と比べて、肘を自然に曲げてギターを体に引き寄せている点にも注目。
真後ろ 人差指と親指でネックを挟むイメージで押さえよう
親指の位置は、ネック裏の中央付近に添えるようにしよう。そうすると手首が前方向に出るので、人差指でのセーハがより押さえやすくなる。イメージとしては、人差指と親指がカポタストのようにネックをしっかりと挟んでいるイメージ。くれぐれもネックを握り込むように持たないように。
姿勢も大事だけど、まずは構え方をあらためる!
「実は僕、バレーコードはすぐに弾けました(笑)。バレーコードって人差指を伸ばして押さえるんですけど、最初はみんな力任せに押さえようとしちゃうんですよね。でも本当は握力ではないんです。僕はたまたまパッと持ったときに、ネックを自分の体のほうに引きつけたんですね。そうすると自然と手首が返って、力を入れずに鳴らすことができたんです。父親がギターの講師やったので、いつも“ お前はまだまだだ!”って言われるんですけど、バレーコードだけはいきなり押さえられたので褒められましたね(笑)。今思えば、それは押さえ方の問題だったんだなって。バレーコードにつまずく人は、姿勢も気をつけつつ、まずは構え方をあらためる。プロギタリストの姿勢を真似て弾いてみると、いきなり克服できる可能性はあると思います」(三浦)
人差指の外側で押さえると、弦を押さえやすいし音も変わる
「僕も三浦と同じで、バレーコードでつまずかなかった組です(笑)。それまでエレキで1 年くらいパワーコードを押さえていたので、握力がついていたのかも。そういう意味では、バレーコードの前段階としてパワーコードを押さえられるようになるといいかも。最初は人差指のハラ全体で弦を押さえてしまいがちなんですけど、そうすると指の関節に弦がハマったりして、音が鳴らなかったりビビったりすると思うんです。なので、人差指の外側で押さえると弦を押さえやすいし、音もだいぶ変わると思う。響き的には、人差指だけでちゃんと全部の弦が鳴っているのが理想ですよね。あとは、人差指以外の指は、極力他の弦に触れない。中指が寝ちゃって、1弦に当たっている人が多いと思うので。セーハする以外の指をしっかり立てるイメージです」(徳岡)
スライドさせるだけでいろんなコードに対応!
バレーコードは、同じフォームのままローポジション/ハイポジションに移動するだけで、いろんなコードに対応できるのが特徴だ! 覚えられるコードが一気に増えるので、必ずモノにしよう!
まず覚えるべきバレーコードの種類は2つ!
代表的なバレーコードとして、Eコードフォームと同じ“6弦ルートのバレーコード”と、Aコードフォームと同じ“5弦ルートのバレーコード”がある。これをずらすだけでかなりの数のコードが弾けるぞ!
●6弦ルートのバレーコード
▲Eのコードフォームをそのまま1フレットずらすと、Fのバレーコードになる。
●5弦ルートのバレーコード
▲Aのコードフォームをそのまま1フレットずらすと、B♭のバレーコードになる。
「僕らでも弦高の高いギターだとバレーコードはしんどいです。押さえやすさが全然違うと思うので、まずは自分のギターの弦高を確認してみてもいいかもしれないですね」(三浦)
「初心者だと悪い状態のギターだと気づかないことも多いからね」(徳岡)
コツ1 弦のテンションが弱いポジションで慣れる!
「Fのバレーコードって弦のテンション(張力)が強いから、押さえるのに力が要るんですよね。Fから弾こうとするからみんな挫折するわけで、まずは弾きやすいAのバレーコードから練習して、どこにどう力が入っているのかを意識すると、自ずとFも押さえられるようになると思います」(三浦)
FではなくAのバレーコードからトライ!
▲ナットに近いFコードは、押弦するために力が必要。Aコードはテンションが弱く、フレットの間隔も狭いため押さえやすい。
コツ2 手首の“返し”が肝!
「ネックを自分のほうに引き寄せると、手首の角度が90度くらいになる。すると効率良く押さえられるので、鳴りやすくなります」(三浦)
手首の角度は90度くらい!
▲ギターを構えないと、手首の角度は写真のような状態。無理に手首を曲げないよう注意!
コツ3 パワーコードで慣れてからバレーコードにトライする
「僕はエレキからギターを始めて、ずっとパワーコードを練習していたので、すんなりバレーコードを押さえられたのはそのおかげだと思います。なぜなら、左手のフォームや手首の返しなど共通している部分があるので。あと、アコギじゃなくてエレキで練習したほうが早く押さえられるかも」(三浦)
Fのパワーコードで慣れて…
Fのバレーコードに置き換える
▲人差指の伸ばし具合や手首の返しなど、パワーコードとバレーコードには共通点が多い。パワーコードで慣れると近道だ!
コツ1 人差指は1弦側に力を入れる
「みんなルート(6弦や5弦)に力を入れてしまいがちなんですけど、1弦側に力を入れたほうがバレーコードはクリアに鳴ります」(徳岡)
高音弦側に力を入れる意識
▲ルートに意識を向けすぎると、高音弦側の押弦がおろそかになってしまうので注意しよう。
コツ2 少ない弦から徐々に押さえる弦を増やす
「セーハで音が鳴らなければ、押さえる弦を1本ずつ増やしていったらいいんじゃないかな。まずは1弦だけ押さえて、音が出れば1弦と2弦を押さえる。そうやって弦を増やしていくと、どのタイミングで音が鳴らなくなるのか、押弦のどこに問題があるのかわかるので」(徳岡)
1本ずつ押さえる弦を足していって自分の弱点を知ろう
▲1本1本、音が出るようになったら押さえる弦を足していく。音が鳴らなかったら、押さえ方を微調整して鳴るポジションを探そう。
コツ3 中指を使わないときは添える
「一部のオンコードやFmなどのコードは中指を使わないので、そういう場合は人差指に中指を添えるとセーハが鳴りやすいです」(徳岡)
中指を添えるとセーハしやすい!
▲中指を加えることで押弦力がアップ! 自然と人差指も傾くので、フォームの矯正にも効果的。
コツ4 指先についた弦の跡を見てフォームを確認
「どんなコードを押さえても、指先につく弦の跡の場所や方向が同じになるように押さえるといいです。弦の跡がバラバラになっていたら、たぶん押さえ方がおかしいし、押弦の力が分散されているのでバレーコードを押さえるのはしんどいと思う」(徳岡)
セーハしたあとの人差指
▲1弦から6弦までをセーハしたあとの指先。人差指の外側に跡がついている点もポイントだ。
人差指以外の指先
▲正しいフォームであれば、人差指以外の指先はこのように斜めに跡が残るはず。
同じコード進行でもポジションを変えることで広がりを演出
同じコード進行でも、ポジションを変えることでサウンドに広がりを与えている。3コードでかつ押さえやすいバレーコードなので、取り組みやすいフレーズとなっている。雰囲気がガラリと変わるので、ぜひチェックを!
(Go!Go!GUITAR 2017年6月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
この記事を読んだ人におすすめの商品