
ミニマル・ミュージックは、1960年代にアメリカで興った音楽の潮流です。反復される短いフレーズや持続的な音を特徴とし、時間的な変化を最小限に抑えることで聴覚的な知覚の変化に焦点を当てます。スティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラス、らが代表的な作曲家として挙げられます。瞑想的な響きや、緻密に構成されたパターンの美しさが魅力です。今回は楽譜入手しやすい作曲家を中心にご紹介致します。
スティーブ・ライヒ
スティーヴ・ライヒは、1936年ニューヨーク生まれのアメリカの作曲家です。ミニマル・ミュージックの代表的人物の一人で、限られた音型の反復と位相のずれを用いた独自の音楽スタイルを確立しました。「現代における最も独創的な音楽思想家」と評され、多くの現代音楽家やテクノアーティストに影響を与えています。代表作に『イッツ・ゴナ・レイン』『ディファレント・トレインズ』などがあります。
フィリップ・グラス
フィリップ・グラスは1937年アメリカ・ボルティモア生まれの作曲家です。ミニマル・ミュージックの代表的な存在として知られ、限られた音の繰り返しと変容による独自の音楽スタイルを確立しました。オペラ、映画音楽、舞台音楽など幅広い分野で活躍し、現代音楽をより多くの聴衆に届けた功績は大きいとされています。「浜辺のアインシュタイン」などが代表作です。
マイケル・ナイマン
マイケル・ナイマンは、1944年ロンドン生まれの作曲家、ピアニスト。英国王立音楽院などで学び、1968年には「ミニマル・ミュージック」という言葉を初めて音楽評論に導入しました。映画『ピアノ・レッスン』の音楽で世界的な評価を確立したほか、『英国式庭園殺人事件』などピーター・グリーナウェイ監督作品の音楽も多く手掛けています。オペラや室内楽など幅広い分野で活躍しています。
アルヴォ・ペルト
エストニアの作曲家アルヴォ・ペルトは、1970年代後半に「ティンティナブリ(鐘の音)様式」と呼ばれる独自のミニマルなスタイルを確立しました。この様式は、シンプルな音形と静謐な響きを特徴とし、精神性や宗教的なテーマを深く探求しています。彼の作品は、少ない音で深い感情を表現し、聴く者に瞑想的な体験をもたらします。
テリー・ライリー
ミニマル・ミュージックの先駆的作曲家。代表作《In C》(1964)は、短い音型を自由に繰り返す革新的手法で知られ、現代音楽に大きな影響を与えました。ジャズや即興、東洋音楽の要素も取り入れ、多彩な作風を展開しています。
久石 譲
久石譲は国立音楽大学在学中からミニマル・ミュージックに傾倒し、現代音楽の作曲家として活動を開始しました。1981年に「MKWAJU」を発表、翌年に初のソロアルバム「Information」をリリースし、ミニマリストとしてのキャリアを確立しました。その後、映画音楽でも世界的評価を得つつも、現代音楽への探求を続けています。
エリック・サティ
エリック・サティは、後のミニマル・ミュージックに通じる先駆的な作曲家です。単純で反復的な音型や静的な時間感覚を重視し、《ジムノペディ》や《グノシエンヌ》にその特徴が表れています。音楽を「家具」として捉えた「家具の音楽」の発想も、環境音楽やミニマル音楽の源流として評価されています。












