1.三羽のカラス&クルスキーン・ローン The Three Ravens & The Cruiskeen Lawn:〈三羽のカラス〉はイングランドに古くから伝わる哀愁を帯びたバラード(スコットランドにもよく似た歌詞の歌があるらしい)。〈クルスキーン・ローン〉は、活気ある舞曲スタイルのアイルランド民謡。スコットランドの音楽を特徴づける五音音階を用いた印象的な導入部に続き、ユーフォニアムのソロによって軽快に提示された〈クルスキーン・ローン〉の旋律が他の楽器に受け継がれ、〈三羽のカラス〉につなげられた後、〈クルスキーン・ローン〉の再現となる。旋律は主に中音域の楽器が担当し、高音楽器はほぼ装飾的な動きに徹するのが特徴。
2.澄み切った空に歌うヒバリ The Lark in the Clear Air:しみじみとした美しい旋律が印象的な、アイルランドの恋歌。旋律と伴奏という形ではなく、さまざまな声部が美しく絡み合うように作られており、そのポリフォニーの見事さは無類だ。この部分だけ単独で演奏したくなる人も多いに違いない。
3.ダンディーの笛吹き&ハーレックの勇者たちThe Piper o’ Dundee & Men of Harlech:〈ダンディーの笛吹き〉は、北海に面するスコットランドの港町ダンディーにやってきた笛吹き芸人を主役にした陽気な民謡。非常に速いテンポで民謡の旋律が景気よく奏でられ、15世紀半ばの「薔薇戦争」の際の軍歌だったウェールズ民謡〈ハーレックの勇者たち〉がそれに続いて高らかに歌われる。