カワイ出版
小林秀雄 女声合唱組曲 埴輪のひとびと
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2017年に他界した小林秀雄の遺作。
殉死の風習を絶つために、身代わりとして作られるようになったと日本書紀にも記される埴輪。そこに投影される、人々の時を超えた営みを歌う。
朗読とソプラノ・ソロを取り混ぜた、変化のある組曲である。ピアノ伴奏付き、全4曲。
<まえがき>
合唱組曲「埴輪のひとびと」の初演は2015 年の夏。清友会女声合唱団による魂を揺さぶられる演奏が終った後、何人もの方から「楽譜がありますか」と尋ねられた。うれしい反響だった。小林先生は「そのうち出版しましょう」と答えておられたが、昨年の夏、俄かにあの世に旅立たれ、生前に楽譜を手にしていただくことは叶わなかった。残念でならない。
秀雄先生とのご縁は、私が日本歌曲振興会 波の会に入会し、はじめての定演で拙詩「電話の向こうは」を選んでくださったことから始まる。2年ほど経って「埴輪のひとびと」の詩をお見せする機会があった。先生は作品をじっくり読まれた後、感慨深い批評をくださった。いつかコンビを組むチャンスがありますようにと願いつつ歳月は流れ、2006年、「愛」というテーマの演奏企画に先生は快くご参加くださった。組曲全6編のうち3編が作曲され、さらに数年後「ふたり」の曲が加わった。合唱曲になったのはニュー・ウエイヴ コーラス・フェスティヴァル20周年記念演奏会の折である。あとの2編は、朗読の詩として残された。ソロも交えての変則構成だが、それを個性として演奏していただけたらと望んでいる。
新曲の合わせで仲間たちとよく先生のお宅に伺った。終了後お茶を頂きながらの先生との歓談は、忘れ難い想い出のひとときであった。先生は音楽に抱いておいでの夢や信念を熱く語られ、私たちはその情熱に圧倒されながら、曲創りでご一緒できる喜びにひたった。
あるときふと呟かれた言葉。「いつか、あの沖縄の対馬丸の悲劇を、作品にしたいと思っている」と。先の戦争で敗色が濃くなっていた1944年の夏、沖縄の子ども達は疎開のため、船で本国に向かっていた。途中、船はアメリカの潜水艦の攻撃を受け、800人近い学童が犠牲になった。痛ましい史実である。先生の表情は穏やかだったが、過ぎし日の悲劇をこころに深く受け止めていらっしゃることは明白だった。先生が「埴輪のひとびと」に寄せてくださった想いはこれに通じ、作品の根底にあるものを同じこころで感じてくださっていた。
伝説が伝える生け贄の身代わりとして生まれた埴輪。「ひとの苦しみ負わされて/ひとの哀しみ負わされて」生きたかった人生を断ち切られてしまった人々、赤ん坊や子ども達。対馬丸を想う。広島・長崎を想う。更に時代は驚く速さで変化しているが、収まることのない争いの連鎖。異常な自然災害や事故、犯罪、飢餓なども。これらのニュースに接するたび胸が痛んでならない。手をこまねいている世界の無力な平和。たとえ眼をつむっても、耳をふさいでも、悲劇はなくならない。「もしかしたら/私だったかもしれない/あなただったかもしれない」悲劇は、いつになったら・・・・・・。
木下宣子
木下宣子氏の詩作活動のスタンスは極めて広く、実生活面でも“グローバル”を地で行かれる行動や、芸術的発想のレンジの広さには脱帽するばかりである。かつて同氏の、画家・ゴーギャンを謳った「ノアノアの島」や、浮世絵師・写楽を謳った「写楽の鏡」等の詩による拙作の誕生は、そのような木下氏の行動や芸術からの強烈な触発による所産であることは動かぬ事実である。このたび最初の拝読から十年の時を閲し、木下氏の「埴輪」と再会し、その人生観と信念が深く強くこもる組詩に共に音を編んだ歌曲3曲が、新進気鋭の演奏家、斉藤京子、森 裕子のお二人により初演のステージを迎える喜びに、いま、私は満ちている。
小林秀雄(歌曲版初演のプログラムノートより)
収載曲
[1] 陽だまり
作曲: 小林秀雄
作詞: 木下宣子
グレード: 中級
[2] 明日の海 ? ?
作曲: 小林秀雄
作詞: 木下宣子
編成: 朗読
グレード: 中級
[3] ふたり
作曲: 小林秀雄
作詞: 木下宣子
グレード: 中級
[4] 幸せの実が
作曲: 小林秀雄
作詞: 木下宣子
編成: ソロ
グレード: 中級
[5] 風は帰る
作曲: 小林秀雄
作詞: 木下宣子
編成: 朗読
グレード: 中級
[6] 埴輪のひとびと
作曲: 小林秀雄
作詞: 木下宣子
グレード: 中級
商品詳細
発売日 |
2018/4/1 |
ページ数 |
40 |
JAN |
4962864921838 |
ISBN |
9784760921836 |
楽器 |
合唱 |
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