コンサートピアノライブラリー。 プログレッシブロックやジャズから影響を受けた変拍子のリズムをもとに展開していく2014年に作曲された「Gradation」とJ. S. バッハのコラールが全体に渡って用いられている2020年作曲の「コラール・ファンタジー」の2曲のカップリング。
<まえがき>
Gradation for piano 2014年作曲。プログレッシブロックやジャズから影響を受けた変拍子のリズムをもとに展開していくが、ビートを前面に押し出すよりは、ぼかされ、滲んだ響き(それは曲中の大部分で踏み込まれるソステヌート・ペダルなどによって作り出される)の内側で絶えず音が蠢いているようなイメージで、その音の蠢きが徐々に移り変わって色合いを変えていく様を描いた。 曲の中間部は前後の部分とは対照的にビートは無く、カデンツァ風のかなり自由な展開となっている。
コラール・ファンタジー ~ピアノのための~ 2019年冬~2020年初頭にかけて作曲。J. S. バッハの「マタイ受難曲」で何度となく現れる有名なコラールの旋律を曲全体に渡って用いている。コラール旋律は、音列的に扱われる急速な音型と、原曲を彷彿とさせるゆったりした流れの両方に組み込まれ、その二つが共存しながら曲の山場へと向かって行く。 山場を過ぎて音楽が静まった後、それまでとは違った音組織によるコラール旋律が仄かに聞こえてくる中で、前半に出て来た様々な断片が浮かび上がっては消え、やがてそれらの動きも完全に止まって曲は閉じられる。