20世紀後半の古楽研究の発展とそれにともなう古楽ブームの結果、古い音楽を演奏するさいには、装飾音、リズム、ダイナミクス、アーティキュレーションなどについて、当時の演奏習慣にもとづいた適切な解釈をすることが常識となった。現在では、古楽器演奏家はもとより、モダン楽器の演奏家のあいだでもこうした考え方が一般的となっている。 本書は、プロ、アマチュアを問わず、バロック音楽から初期古典派までの音楽を演奏する際に留意すべきさまざまな事項を、J. S. バッハ、F. クープラン、ラモー、クヴァンツ、テュルク、C. P. E. バッハ、L. モーツァルトなどの当時の教本(理論書)の記述にもとづきながら、実践的に解説した、わが国でははじめての書。R. カークパトリックの直弟子であり、D. スカルラッティの楽譜の校訂などでも知られるチェンバロ奏者、シンシナティ大学名誉教授の橋本英二が、みずからのバロック音楽研究の集大成として書き下ろした記念碑的労作。
・目次 方針 フランスの代表的なクラヴサン作曲家(シャンボニエール、ダングルベール、 F. クープラン、ラモー)とJ. S. バッハの装飾音図解表 序章 バロックと古典期以前の概観 第1節 バロックの語源 第2節 バロック時代の区分 第3節 代表的な国の内情、変移、音楽展望 第4節 バロック以後