スタイルノート

ノート・グルーピング オーボエ奏者マルセル・タビュトーに学ぶ

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ノート・グルーピング オーボエ奏者マルセル・タビュトーに学ぶ

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解説
複数の音符を1つのまとまりとして捉えて音楽表現を作っていくことをノート・グルーピングという。この手法を学ぶことで豊かな音楽表現が可能となる。オーケストラや吹奏楽で実践的に役立つ内容。ノート・グルーピングの実践と理論の集大成。

紹介
ノート・グルーピングとは、言い替えれば「音符グルーピング」ということになる。すなわち、複数の音符を1つのまとまりとして捉えて、音楽表現を作っていくことだ。ノート・グルーピングを実践することで、より豊かな音楽表現が可能となる。本書は、フィラデルフィア管弦楽団で長年首席オーボエ奏者を務めるとともにカーティス音楽院でも教鞭を執ったマルセル・タビュトーが提唱した「音符グルーピング」を、その孫弟子にあたるデイビッド・マクギル氏が、その概念から実践まで体系的にまとめたもの。ワーグナーの《ワルキューレの騎行》やベートーヴェンの交響曲第5番第1楽章、交響曲第7番第1楽章など、有名な作品を例に興味深い分析がなされている。また、「呼吸法」「運指」といった楽器演奏の基本や、「調律」「ヴィブラート」「修飾」「バロック・スタイル」など多岐にわたるテーマを取り上げている。音楽表現法の重要性の認識が近年急速に高まっており、この「音符グルーピング」=「ノート・グルーピング」も注目されている。本書は、その集大成とも言える。

目次
 訳者前書き
 日本語版への序文
 序文
 謝辞

第1部:ひとつのスタイルが生まれた

第2部:音楽とは何か?
 楽しみ?
 魔法?
 感情?
 才能?
 無私無欲?
 プロ意識
 動き

第3部:音符グルーピング
 音を書く(?)
 音符グルーピングとは何か
 グルーピングの基本
 和声グルーピング
 リズムのグルーピング
 モチーフのグルーピング
 ダイナミック・レンジと数字
 タビュトーのナンバー・システム
 音符グルーピングが自然に聞こえるわけ

第4部:全体像を見る
 音のつながり
 音符の種類と働き
 骨格構造
 フレージングとは何か
 繰り返し
 音楽の流れとは何か
 音楽の四要素

第5部:息の使い方
 呼吸
 ロング・トーン
 音程を歌う
 運指
 音階
 息を使う
 アーティキュレーション

第6部:論争
 音
 調律
 ヴィブラート
 修飾
 バロック様式という演奏スタイルはあるのか?
 音楽は話す
 ポルタート:新ロマン主義の先駆け
 「技術」対「音楽性」

第7部:職業
 練習
 オーディション
 オーケストラの作法
 演奏
 伴奏
 教育

第8部:探求

あとがき
付録1・推奨録音
付録2・研究資料
付録3・切るべきか切らざるべきか?
索引

前書きなど
 みなさん、こんにちは。本書を手に取っていただきありがとうございます。
 本書は、フィラデルフィア管弦楽団で長年首席オーボエ奏者を務めるとともにカーティス音楽院でも教鞭を執ったマルセル・タビュトーが提唱した「音符グルーピング」を、その孫弟子にあたるデイビッド・マクギル氏が、その概念から実践まで体系的にまとめたものです。
 2018年5月に出版された拙訳書『豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門』(ジェームズ・サーモンド著、アルテスパブリッシング)は、本書の前編ともいえる書籍で、「音符グルーピング」の基本理論を簡潔にまとめたものでした。同書をすでにお読みいただいた方々にとって、本書は「音符グルーピング」という概念をさらに深く理解し、より具体的に演奏に生かしていただけるものになると思います。また、最初に本書を手に取られた方は、前書も併せてお読みいただくことによって、本書が展開する内容の理論的・歴史的な基本概念をご理解いただけるものと思います。
 いうなれば、前書『豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門』が「音符グルーピング・メソッド」の基本編、本書がその発展編・応用編といえます。本書の筆者であるマクギル氏も、サーモンド氏の書籍について、「この著作は、音符グルーピングの基本テクニックの必要不可欠な手引きであり・・・・・・」と述べています(本書p.440)。異なる年代に異なる筆者によって書かれた両書ですが、マルセル・タビュトー、「音符グルーピング」という共通項でつながり、補完しあっています。
 前書の著者である故ジェームズ・サーモンド氏はマルセル・タビュトーから直接の薫陶を受けた世代でしたが、本書の著者、デイビッド・マクギル氏はそうした世代に教わった音楽家のひとりであり、マルセル・タビュトーの孫弟子といえます。したがって、本書にはタビュトーの教えがいっそうまとまった形でわかりやすく展開されています。

* * *

 本書は8つの部から成る「本文」と3つの「付録」で構成されています。本文は、「音符グルーピング」について詳述する前半(第4部まで)と「演奏上の諸問題」について取り上げた後半(第5部以降)とに分かれ、そのあとに70ページ近い付録がついています。
 第1部は、フランスからアメリカへやってきたマルセル・タビュトーが「音符グルーピング」という概念に到達した当時の状況など、本書を読むうえでの前提ともいうべきことを簡単に説明しています。
 第2部は、音楽に対する心構えについて、筆者の経験も交えながらさまざまな観点からエッセイ風に書かれています。さりげない言葉やエピソードのなかに、音楽表現に関する真実が埋め込まれており、第3部以降で展開される音楽的思考に向けて、読者の頭のなかを整理してくれます。
 第3部と第4部に入るといよいよ「音符グルーピング」について展開されます。第3部の「モチーフのグルーピング」の項では、ワーグナーの《ワルキューレの騎行》やベートーヴェンの交響曲第5番第1楽章、交響曲第7番第1楽章など、有名なテーマについて興味深い分析がなされています。
 後半に入り、第5部と第6部では「呼吸法」「運指」といった楽器演奏の基本から、「調律」「ヴィブラート」「修飾」「バロック・スタイル」など多岐にわたるテーマを取り上げています。いくつかの国の言語と音楽について書かれた項(「音楽は話す」)も演奏にヒントを与えてくれるでしょう。
 第7部では、プロの演奏家としての筆者の経験から、音楽家としての心構えが具体的に書かれています。第8部はまとめの部です。
 付録も充実しており、「付録1推奨録音」だけで60ページ余りと、他のどの項よりも多くのページを割いています。多くの譜例を示すことによって、マリア・カラスをはじめとする優れた演奏家が「音符グルーピング」をいかに意識して演奏していたかを説得力をもって示しています。本文を読むだけではなく、示された推奨録音を(楽譜片手に)聴くことによって、本文で展開されている理論をより具体的に理解することができるでしょう。ロッシーニの《セヴィリアの理髪師》序曲について書かれた「付録3」も、フィラデルフィア管弦楽団で首席ファゴット奏者を長年務めた筆者ならではの興味深い問題提起といえるでしょう。

* * *

 実は、「音符グルーピング」という概念は日本でも提唱されています。たとえば、熊田為宏氏(191301993年)の2冊の書籍『演奏のための楽曲分析法』(1974年、音楽之友社)と『旋律法入門』(1986年、春秋社)では、前書および本書で提唱されているのと同じ概念が述べられています。
 熊田氏はそれぞれの書籍で次のように述べています。「楽曲分析の実際はグルーピングに終始するといっても過言ではない」(『演奏のための楽曲分析法』p.74)、「一音一音がどんなに美しく明瞭であっても、グルーピングやフレージングに関する配慮がなかったり、強調すべきアクセントがなく、単なる音の羅列に過ぎないのでは意味が不明であり、とてもすぐれた演奏という訳にはいかない」(同書「前書き」)、「世に多くの和声学書が出されているが、旋律に関するものは少ない。音楽専門教育の大学でさえ、和声学を課しているものの、旋律学、とりわけ演奏学を正式に教えているところはほとんど見当たらないといってよい。ところが、演奏の側から見ると、和声に関するよりも旋律のほうに、はるかに多くの実際的な問題があり、旋律表現へのアプローチこそ急務であるといわなければならない」(『旋律法入門』「序論」)。これらの問題意識は前書、本書の両著者とまったく同じであり、熊田氏の著書も併せてお読みいただけば「音符グルーピング」という概念を一層深く理解していただけるのではないでしょうか。

* * *

 冒頭に触れました前書『豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門』は、おかげさまでプロの音楽家の方々やアマチュア音楽愛好家の方々からもご好評をいただき、管楽器専門誌が特集を組んでくださるなど、注目を集めました。また、前書を読んで、「音符グルーピング」を演奏に生かそうとするアマチュア吹奏楽団が全国で増えつつあります。
 さらに多くの方々が「豊かな音楽表現」を追求されるに当たって、本書がお役に立てば、訳者としてたいへん嬉しく思います。

版元から一言
●守山俊吾先生(ソフィア・フィル常任客演指揮者[2006016])からの推薦の言葉
「音楽の道に迷い、出口が分からなくなった時、光が射し込んだように音楽の道をこの本が開いてくれる。」
●天野正道先生(作曲家)からの推薦の言葉
「前訳書と本訳書の著者は別人だが杉江氏の名訳によってお互い補完し合う内容となっている。両書を熟読することによって一層グルーピング概念が明確になる。」

本書は、20世紀初頭の伝説のオーボエ奏者、マルセル・タビュトー(パリ音楽院首席卒業、元フィラデルフィア管弦楽団首席オーボエ奏者)が実践し指導した音楽表現法“ノート・グルーピング”を実践的に解説した集大成と言える本です。
2018年にアルテスパブリッシングより刊行された『豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門』は、その歴史と基本理念を初歩的に解説した入門書でした。一方本書は、タビュトーの孫弟子に当たるデイヴィッド・マクギル(カーティス音楽院卒業、元シカゴ交響楽団首席バスーン奏者)が、さらに発展した“ノート・グルーピング”の概念と指導法を詳しく解説したもので、前「入門書」に続く「応用編」といえます。
現在はアメリカの音楽大学で教鞭を執る著者が、カーティス音楽院とシカゴ交響楽団在籍時の経験をふまえて語るエピソードや、豊富な譜例を使って示す解説は、読者の理解を深め、表現豊かで感動的な演奏を生みだすのに役立つことでしょう。

著者プロフィール
デイビッド・マクギル(デイビッド マクギル)
グラミー賞を受賞したバスーン奏者で、北米メジャー・オーケストラに数えられる3つの交響楽団―シカゴ交響楽団(199702014年)、クリーヴランド管弦楽団(198801997年)、トロント交響楽団(198501988年)―で首席バスーン奏者を務めた。2014年以降はアメリカ合衆国イリノイ州にあるノースウエスタン大学でバスーンを教えている。フィラデルフィアの名門カーティス音楽院でソル・シェーンバックにバスーンを、ジョン・デ・ランシー(オーボエ)とジョン・ミンスカー(イングリッシュ・ホルン)に音楽のフレージングを学び、学士号を取得(1985年)。ソロと室内楽の録音が多数あり、とりわけ、クリストファー・フォン・ドホナーニ指揮クリーヴランド管弦楽団と共演したモーツアルト「バスーン協奏曲」(K.191)、ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団と共演したリヒャルト・シュトラウス「クラリネットとバスーンのための二重協奏曲」、ピーター・ゼルキン(ピアノ)と共演したサン=サーンス「バスーンとピアノのためのソナタ」が有名。また、ジョン・ウィリアムズのバスーン協奏曲「TheFiveSacredTrees」を作曲者自身の指揮でシカゴ交響楽団と共演した。
杉江 光平(スギエ コウヘイ)
1975年、神戸市外国語大学(外国語学部英米学科)卒業。
197502018年、園田学園中学校高等学校に英語科教員・吹奏楽部顧問として勤務。
1984年より現代指揮法を青木邦雄氏に師事。
2010年より指揮者・守山俊吾氏の薫陶を得る。
2011年7月、ブルガリア国立ソフィアフィルハーモニー管弦楽団ワークショップに参加、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を指揮(ブルガリア・ホール)してデュプロマ取得。国内ではウィンドオーケストラ「エスペランサ」(2011年)、ウィンド・アンサンブル奏(2013年、2016年、2018年)を指揮。
201102013年、サイマル・アカデミー大阪校で英日翻訳を学ぶ。
2015年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席トンラペット奏者、ガボール・タルケヴィ氏による金管アンサンブル・クリニックの通訳を務める。
訳書に『豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門』(ジェームズ・サーモンド著、2018年、アルテスパブリッシング刊)がある。
上記内容は本書刊行時のものです。

商品詳細

発売日 2019/11/27
サイズ A5
ページ数 472
ISBN 9784799801796
楽器 書籍
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