
クラシック音楽の名作を生み出した作曲家たちを、3分程度で読み切れる短い伝記としてご紹介します。しかし、どの人物もその人生を3分で語り尽くすことはできません。今回は代表的な9つの視点に絞ってご紹介しますが、より深く知ることで演奏にも大きな違いが生まれる瞬間があるでしょう。もしこの記事に物足りなさを感じたり、さらなる背景が知りたいと感じた場合、それは「学びの扉が開いた瞬間」とも言えます。ぜひご自身でさらに深く追求してみてください。
本シリーズでは、選曲や演奏に役立つ小さな手掛かりとなるように、そしてご自身の深い学びのきっかけとなるようご紹介していきます。
第8回目で取り上げる作曲家は「ルチアーノ・ベリオ」です。
1.音楽家の家系に生まれる
ルチアーノ・ベリオ(1925-2003)はイタリアの作曲家。オネリアの音楽家の家系に生まれ、祖父と父(ともに作曲家・オルガニスト)から幼い頃に音楽教育の手ほどきを受けました。
2.ピアニストの道を断念
ベリオは若いころピアニストを志していましたが、第二次世界大戦中に徴兵され、銃の暴発により右手を負傷。この出来事をきっかけにピアニストの道を断念し、作曲の道へと大きく舵を切ることとなりました。
3.イタリア電子音楽の先駆者
1952年、渡航先のアメリカで電子音楽に触発され、《テーマ ジョイス賛》などの電子音楽史に残る画期的な作品を発表。1955年には、ミラノのイタリア国立放送局(RAI)に電子音楽のスタジオを設立に携わり、初代所長も務めました。
4.新たな表現
1950年、声楽家のキャシー・バーベリアンと結婚。彼女の協力も得て、言葉や声による新たな表現を開拓しました。《作品番号第獣番》(1951)、《室内楽》(1953)、《フォークソングズ》(1964)など声のための傑作も生み出しています。
5.代表作「シンフォニア」
1960年代に発表した《シンフォニア》は、マーラーの交響曲第2番「復活」の第3楽章をベースにしたコラージュ技法が用いられ、大きな注目を浴びました。この作品で彼の国際的な評価は確固たるものになりました。
6.「セクエンツァ」シリーズ
《セクエンツィア》シリーズも代表作の1つです。14曲からなる連作で、1958年から2002年までベリオの半生を通じて作曲されました。(女声を含む)種々の楽器において意図的に超絶技巧を追求しており、ベリオらしさが詰まった作品です。
7.「注釈技法」を提唱
ベリオは、作曲を「過去の作品に対する注釈」と捉え、自作や他者の作品に彼自らの解釈を加えて新たな作品を生み出す「注釈技法 Commentary Technic」を提唱しました。これは創造性の概念を問い直すものでした。
8.伝統と前衛の融合
ベリオは、80年代後半から編曲や補作の仕事によっても世に知られていきます。それまでにもいくつかの作品を手掛けていましたが、シューベルトの未完成交響曲を補筆した「レンダリング」の成功など、過去の作品を現代に蘇らせる編曲が高く評価されました。
9.現代音楽界の牽引者
ベリオは、ブーレーズ、シュトックハウゼンと並び、戦後の現代音楽を牽引しました。パリのIRCAM(音響・音楽の探求と調整の研究所)で80年まで電子音響部門の責任者を務め、フィレンツェの「テンポ・レアーレ」といった研究機関の創設にも尽力しました。
ルチアーノ・ベリオは2025年に生誕100年を迎えます。サイト内【作曲家 アニバーサリー 2025】では代表作のおすすめ商品をご覧いただけます。その他アニバーサリーを迎える作曲家もご紹介していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
次回は「ルロイ・アンダーソン」を取り上げます。
(※この記事は『Sheet Music Store』のInstagramアカウントで投稿された内容を記事形式で掲載しています。)
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