
クラシック音楽の名作を生み出した作曲家たちを、3分程度で読み切れる短い伝記としてご紹介します。しかし、どの人物もその人生を3分で語り尽くすことはできません。今回は代表的な9つの視点に絞ってご紹介しますが、より深く知ることで演奏にも大きな違いが生まれる瞬間があるでしょう。もしこの記事に物足りなさを感じたり、さらなる背景が知りたいと感じた場合、それは「学びの扉が開いた瞬間」とも言えます。ぜひご自身でさらに深く追求してみてください。
本シリーズでは、選曲や演奏に役立つ小さな手掛かりとなるように、そしてご自身の深い学びのきっかけとなるようご紹介していきます。
第9回目で取り上げる作曲家は「ルロイ・アンダーソン」です。
1.ハーバード大卒の秀才音楽家
ルロイ・アンダーソン (1908-75)は、マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。ハーバード大学で、楽理や作曲等を学び、1929年に学士号、翌年には修士号を取得。ニューイングランド音楽院にも通っており、そこではピアノ・コントラバスを学びました。
2.ユーモアと描写の天才
アンダーソンの作品は、その軽やかで親しみやすい曲調、大衆音楽やジャズの影響を受けたリズム、日常生活の音や情景を巧みに音楽で表現する描写力が特徴です。タイプライターやサンドペーパーなど、普通は楽器として使わないものを積極的に取り入れ、聴衆を驚かせ楽しませました。
3.異色のキャリア
音楽家の道を進むと決意するまで、1931~35年までハーバード大学で言語学の研究員となり、1935年にはゲルマン語とスカンジナビア諸語の研究により博士号を授与されています。その後、第二次世界大戦中は米軍に入隊し、スカンジナビア語担当の情報将校としてペンタゴンで働きました。
4.ボストン・ポップスとの出会い
「音楽にも詳しい言語学者」だったアンダーソンの転機は、ボストン・ポップス・オーケストラとの出会いです。ボストン交響楽団のマネージャーから学生歌の編曲を依頼され、提出した楽譜が、当時絶大な人気を誇った指揮者アーサー・フィードラーの目にとまり、才能を激賞されました。
5.代表作「そりすべり」
冬の情景を鮮やかに描き出した「そりすべり」は、代表作の1つです。馬のいななきやそりの鈴の音など、聴いているだけで目の前に情景が浮かんでくるような描写力は、アンダーソンの真骨頂。いまでもクリスマスの定番曲として世界中で愛されています。
6.タイプライターが楽器に?
代表作「タイプライター」では、本物のタイプライターを打つ音を楽器として使っています。タイプする音、改行する音、ベルの音など、オフィスでの日常的な音をリズミカルな音楽に仕立て上げました。これらは、聴き手に意外な驚きと楽しさを与えています。
7.サンドペーパーが奏でる音楽
「サンドペーパー・バレエ」では、サンドペーパー(紙やすり)をこすり合わせる音を楽器として取り入れました。ユニークな発想が光るこの曲は、彼のユーモアあふれる作曲スタイルをよく示しています。楽器として使えるものは、彼の創造力次第で無限大でした。
8.「トランペット吹きの休日」
この曲は、3人のトランペット奏者がそれぞれのパートを交互に演奏し、まるで会話をしているかのようにユーモラスに展開します。演奏会でも人気の高い一曲で、日本では運動会のBGMとしても知られています。
9.世界中で愛されるメロディ
アンダーソンの作品は、クラシック音楽でありながらもポップスのように聴きやすく、一度聴いたら忘れられないメロディが特徴です。彼の作品はオーケストラのレパートリーとしてだけでなく、CMやテレビ番組など様々な場所で使われ、今もなお多くの人々に親しまれています。
ルロイ・アンダーソンは2025年に没後50年を迎えます。サイト内【作曲家 アニバーサリー 2025】では代表作のおすすめ商品をご覧いただけます。その他アニバーサリーを迎える作曲家もご紹介していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
(※この記事は『Sheet Music Store』のInstagramアカウントで投稿された内容を記事形式で掲載しています。)
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