音作りの“基礎”はココから始まる! 理想のクリーントーンを作り隊【Go!Go! GUITAR プレイバック】


楽器本来の“すっぴん”とも言えるクリーントーン作りをないがしろにすると、いかに高価な機材を使ってもイマイチな音に…。本講座では、音作りの基礎である“クリーントーン”の作り方を徹底解説します!

 クリーントーンを作るための動画はコチラ! 

 

クリーントーン(1)

エフェクターで歪ませたサウンドは弾いていて気持ちがいいし、多少ラフなプレイでも気にはならないけど、クリーントーンは弾き手の技量によって音色に大きな差が生まれる。一切のごまかしが効かないので、クリーントーンでの練習や、理想のクリーントーンを作ることはスキルアップだけでなくバンドアンサンブルの向上にもつながるのだ。理想とするクリーントーンは人それぞれ。プレイスタイルや好きな音像をイメージしながら、自分だけのクリーントーンを手に入れよう!

 

クリーントーン(2)

クリーン/歪みを左右するのはボリュームとゲインツマミ
歪みサウンドとは、アンプのゲインやボリュームを上げることで信号を増幅させて“潰れた”状態にある音のこと。一方のクリーントーンは、信号を過剰に増幅させていない透き通った音。ボリュームとゲインツマミがあるアンプでは、ゲインを上げるほど歪みの量が増していく。

 

クリーントーン(3)

ゲインを上げると歪みサウンドへと変化。ゲインは歪みと同時に音量も上がる。

 

クリーントーン(4)

ゲインを抑えつつボリュームを上げていくと、クリーンのまま音量が上がる。ゲインツマミのないアンプはボリュームを上げて調節しよう。
 

クリーントーン(5)

自分のプレイに合うクリーンを作ることで表現の幅が断然広がる!
音作りにはセオリーや最低限のルールが存在するので、どのようなジャンルをプレイしたいのか考えながら、自分に合ったクリーンをモノにしよう。基本は各EQを12時方向を目安にして、好みの音色になるように上げ下げして調整。使用アンプの各EQをゼロ〜全開までいじってみて、どう音が変化するのか自分の耳で覚えることが大切だ。
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 まずはココを基準に!フラットなクリーン 
ゲインや各EQを12時方向(目盛りを真上)に設定した汎用性の高いクリーン。これを目安に、各EQを微調整していこう。

 ギタボにオススメ!歌に馴染むクリーン 
ミドルを下げ目にすることで歌に馴染むクリーンに。ビギナーは強く弾いてしまいがちなので、トレブルも若干下げ目を意識しよう。

 カッティング向け!歯切れの良いクリーン 
ミドルとベースを下げ目にすることで、カッティングに合う歯切れの良いクリーンに。音が細くなりすぎないように調整しよう。

 温かい雰囲気!ウォームなクリーン 
トレブルを下げ目にして、ミドルとベースはやや上げ目に設定。フロントピックアップで弾くと、ジャズっぽいウォームなトーンに。
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クリーントーン(6)

アンプによってクリーンのキャラは異なる特性を知って自分だけのクリーンをGET
アンプの選択はクリーントーンに多大な影響を与える。ここでは、多くの音楽スタジオに常備されているフェンダー ツインリバーブ/マーシャルJCM2000/ローランドJC-120ジャズコーラスについて解説。傾向として、ツインリバーブは“ ベルトーン” と形容される透き通るような美しいクリーントーンが身上。ロック系や厚みのある音を求めるならJCM2000。ジャズコーラスは硬質な音で、どの会場にも置いてあるという利便性の高さ、そして1ボリュームという音作りのわかりやすさが魅力。

フェンダー ツインリバーブ
クリーントーン(7)
真空管アンプで、鐘の音のように美しく澄んだクリーントーンは“ベルトーン”とも言われる。ウォームなアナログリバーブも魅力。

マーシャル JCM2000
クリーントーン(8)

真空管アンプで、クリーン/歪みの音色を切り替えられる2チャンネル仕様。ロックなトーンを出したいならコレ!

ローランドJC-120 ジャズコーラス

クリーントーン(9)

トランジスタアンプで、由緒正しき硬質なクリーンは“JCクリーン”とも称される。内蔵コーラスはクリーンとの相性も抜群!
 

クリーントーン(10)
 

クリーントーン(11)

シングルコイル(フェンダー ストラトキャスター使用)

クリーントーン(12)

音にコシが出るようMIDDLEを上げ目に設定。全体的にEQはフラット(12時方向)から微調整する流れで設定するようにしよう。

ハムバッカー(ギブソン レスポール使用)

クリーントーン(13)

音を引き締めるためにMIDDLEを下げ目に設定。ハムバッカーは低音も出やすいため、BASSもやや下げ目に設定しよう。

▼ワンポイントMEMO▼
通常はHIGH INPUTに接続。小音量でプレイするときはLOWに接続すると音量調節がしやすい。ブライトスイッチを入れるときらびやかな音になるので、ジャキジャキなトーンが欲しければオンにしよう。

ディストーションツマミ

クリーントーン(14)

ディストーションツマミをカチッとオンにするとハリのある音が得られる。
 

クリーントーン(15)

シングルコイル(フェンダー ストラトキャスター使用)

クリーントーン(16)

ツマミはすべて12時方向を基本に、BASSを上げてTREBLEをやや下げ目に。PRESENCEは音にハリが出るので適宜調整。

ハムバッカー(ギブソン レスポール使用)

クリーントーン(17)

音がモコモコしないようBASSは下げ目に設定。リアしか使わない人は音が薄くなりがちなので、その場合はBASSを上げよう。

ギター側のボリューム操作でクリーントーンを作る場合​​​​​​​

クリーントーン(18)

GAINを上げてアンプ側をやや歪ませて、ギター本体のボリュームを絞ることでクリーントーンを出すセッティング。

​​​​▼ワンポイントMEMO▼
マーシャルはVOLUMEとGAINの設定が肝! GAINを低めにしてピュアなクリーンを作るのか、GAINを上げて太いクリーンにするのか。ハムバッカーはGAINを上げすぎるとブーミーな音になるので注意が必要。

PRESENCEはどうする?
マーシャルアンプは、GAINでクリーンのキャラを決めてEQで音を整えよう。EQは12時方向を基準に、シャキシャキしすぎるようならTREBLEを下げたりと微調整。ビギナーを惑わせるのPRESENCEツマミだ。これは“ 超高域の調整” で、TREBLEを上げると耳に痛い部分が出るけど、PRESENCEは音のハリや輪郭が強調されるイメージ。まずはTREBLEを抑えて、耳に痛い音にならないようなサウンドメイクを心がけよう。
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クリーントーン(28)

①手元でクリーントーンを作り隊
ギター本体のボリュームを絞る(下げる)と、音量だけでなく歪み量も調節することができる。これを利用すれば、アンプで歪ませておいて右手だけでクリーンを作ることが可能。

ボリュームを絞ると…

クリーントーン(19)

矢印.png

歪み量が下がる

クリーントーン(20)

演奏中にボリュームを操作するときは写真のように小指で行おう。弱くピッキングすることでクリーンにするという方法も。


②クリーントーンで使えるペダルを知り隊
クリーントーン自体をより素晴らしいサウンドにするためのエフェクターも多数存在。すぐに必要なものではないけど、クリーントーンを多用する人は購入を検討しよう!

コンプレッサー

クリーントーン(21)

▲​​​​​​​サステインに欠けるクリーンでも、音の粒が揃い弾きやすくなり、バンドでの音馴染みも良くなる。​​​​​​​


ブースター

クリーントーン(22)

▲​​​​​​​ブースターを使うことで、音にハリやコシが出て存在感のあるトーンに。ここぞというときに踏む以外にも、プリアンプ的にかけっぱなしにするのも有効だ。​​​​​​​
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クリーントーン(27)

西川進

クリーントーン(23)

クリーンはいかに料理してその場の雰囲気に合う音にするかが大事

■クリーントーンを作る上での考え方
クリーンを作る上で、何もしないでいい音ならそれに越したことはないんですけど、アンプだけだとあまりに生々しくて、そのままじゃ使えないっていうクリーンが多い。だから、アンプのクリーンをいかに料理してその場の雰囲気に合う音にするかが大事。エフェクターでちょっと味付けすると。その手段のひとつがコンプレッサーですよね。これは前から使われる手だと思うんですけど、音を圧縮して小さい音を立たせる、アタックも良くなるのでカッティングにもよく使われると思います。
次にリバーブ。これがすごく大事で、アンプについている場合はそれを使ってもいいと思います。ずっとリバーブが効いててもヘンじゃないと思うので。僕は曲の一部分だけリバーブをオンにしたい場合が多いので、足元でできるようにしますね。アンプのツマミは迷ったらとりあえず12時方向にして、気に入らなかったらコンプレッサーやリバーブ。さらに、モジュレーションとかディレイがかかっていたほうがクリーントーンの良さがより引き立つのでそれもやってみる。この3段階がクリーン作りの基本かと思います。

■バンドに馴染むクリーントーンとは
バンドで演奏するなら、いわゆるまったく歪んでいない音よりも、ほんの気持ち歪んでいる(ゲインを上げる)ほうがよりクリーントーンだと感じる場合が多いんです。そのほうがバンドアンサンブルに馴染む場合が多い。キレイなクリーントーンって、やっぱりちょっと歪んでいる音なのかな。バンドだったらゲインを大きめにしないとドラムに負けてしまうんです。じゃあそれはクランチじゃないの?っていう人もいるかもしれないけど、自分的にはそれもクリーントーンかなという気がします。
バンドや形態によってもクリーントーンの作り方は変えます。まったく歪んでいないクリーントーンと、ほんの少し歪ませているクリーントーンはかなり使い分けていて、バンドで合わせてみた印象で決めますね。まったくのクリーンで物足りない場合はちょっと歪み(ゲイン)を上げたり。余談ですが、ジャズマスターを使うときはギター側でトーンを絞ります。ジャキジャキな音だけど、下げることで耳障りが良くなるので。あと、心地良いクリーンにしたいときピックアップポジションはセンターにします。

■西川進流!クリーントーンの作り方
昔はツマミを全部最大(フルテン)にするのが一番音がいいんだって思ってて、実際にメインで使っているハイワットもそれで音が良かったので、10年間くらいはフルテンでした。05年あたりから考え方が変わって、ツマミの真ん中(フラットな位置)がアンプの製作者にとって一番いい音になるようにセッティングされていることに気づいて、今はアンプ製作者の意志を信じようと真ん中に設定しています(笑)。ベースとの兼ね合いで“ ボンボンいってるよね” ってときはベースを下げる。耳が痛い、こもってて聴こえないときはトレブルを調整する。これは基本中の基本です。僕の場合、ミドルはほとんど動かしません。
基本はそうやって攻めて、それでもいい音がしない場合はとことん全部変える。最初から全部のツマミをグワっといじると、元のいい音がわからなくなるのでとりあえず12時方向から始めるのが正解かなと。プレゼンスが一番のクセ者なんですよね。アンプによって個体差があるので、どこが変化しているのか上下させてみる。好みの音があればそこに設定して、そうじゃないなら12時方向にしておくといいと思います。

 

クリーントーン(24)

フェンダーのジャズマスターを使った場合のマーシャルJCM2000の設定。ゲインとボリュームはほぼ12時方向を向いている。

■理想のクリーントーンに近づくエフェクター活用術

クリーントーン(25)

①コンプレッサー(BBE/ベンチプレス)
「音を圧縮して粒立ちをよく聴こえさせます。そのぶんサステインが伸びてアタック感も出るので、カッティングでより音の粒立ちを強くします。クリーントーンで一番重要なアイテムかと思いますね」(西川)

②ディストーション(MXR/ディストーションII) 
「これも自分的には絶対に欠かせないアイテム。さっきも話したように、何にも歪ませない音よりもちょっと歪んでいたほうがクリーントーンとしての存在感があり、バンドアンサンブルにも溶けてクリーントーンらしい音がします。DRIVEはゼロです」(西川)

③オーバードライブ
(ワンコントロール/Sonic Blue Twanger) 
「フェンダーのクリーントーンは最高だと思っていて、これはフェンダーアンプを再現するオーバードライブ。これを見つけたときは飛び上がりましたね(笑)。マーシャルを使っても、ジャリン!っていうワイドレンジなクリーントーンを出せます」(西川)

④モジュレーション系マルチ(ストライモン/メビウス)
「ひとつひとつの音が素晴らしくて使っています。本当はヴィンテージのモジュレーションをたくさんつなげたいんだけど、それも大変なので(笑)。トレモロはクリーントーンを表現しやすいですよね。これとSonic Blue Twangerをオンにすると、よりクリアに表現できます」(西川)

⑤ディレイ系マルチ(ストライモン/タイムライン)
「メビウスと同じ条件で、設定をパソコン上で保存できるのですごく利便性が高い。残響ものをかけるとクリーントーンが映えます。雰囲気が出ますよね」(西川)

⑥リバーブ(エレクトロ・ハーモニックス/ホーリーグレイル)
「僕が一番大事だと思っているのがリバーブ。これはスプリングリバーブのシミュレーションなんですけど、クリーントーンの雰囲気を出してくれる。PAでかけるリバーブとは違った質感ですごくいい。バンドでもリバーブ感が合う場合って多いですよね」(西川)

 


 

【Information】

クリーントーン(26)

西川進、KAB.、コバヤシヒロシによる音楽工房ユニット“イツカノオト”が、『ハローキティ トゥインクル☆ムーンライト 〜CUTErium with SANRIO characters〜』テーマ曲を担当! 人気のサンリオキャラクターズとともに旅する、誰もが待ち望んでいたプラネタリウムファンタジー!

 


(Go!Go! GUITAR 2017年9月号に掲載した内容を再編集したものです)​​​​​​​

  

Edit:溝口元海

 

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