アコギの初心者にとって最大の壁が「F」に代表されるセーハコード。そんなセーハを省略したフォームにアレンジすれば、ビギナーでもラクに押さえられるぞ!かんたんフォームを最大限に活用して、思う存分弾き語ろう!
解説/トライアド
セーハコードをかんたんにする方法
Fに代表されるセーハコードは、右側の「かんたんフォーム」のように、人差指のセーハ(バレー)を省略すると、ビギナーでも比較的ラクに押さえることができる。
このようなセーハコードの省略形には、どの弦を省略するかによって、ひとつのコードに対して数種類のバリエーションがあり、それぞれ押さえやすさやサウンドが微妙に異なっている。そのときの自分の上達度や前後のコードとの関係性などに応じて、ベストな押さえ方をチョイスすることも、こういったフォームを使いこなすためのポイントのひとつだ。
セーハコードには、4種類の基本形がある。まずはその中でももっともよく知られている「F」のかんたんフォームと、そのバリエーションを覚えよう。
★1〜4弦を押さえるかんたんフォーム
何種類かあるFのかんたんフォームの中でも最初に覚えたい、もっともベーシックなフォームだ。1〜2弦を押さえる人差指は、フレットと完全に平行ではなく、指先が自分の顔のほうを向くぐらいに角度をつけて、第一関節より先で2 本弦をまとめて押さえよう。人差指と中指の押さえ方は、Dm7コードと同じ。6弦はできるだけ親指を触れさせてミュートしよう。
5弦は開放を弾くときと弾かないときとがある。開放を弾けばミュートの手間が入らず豊かな音量が得られるが、弾かないほうが落ち着きのある響きが得られる。そのときの状況に応じて、5弦を弾くかどうか判断しよう。
▲C→ Fのコードチェンジは、2弦を押さえていた人差指をその場で倒すようにして1弦も押さえながら、中指と薬指の形を保ったまま移動させるのがコツだ。
★1〜5弦のフォームとバリエーション
このタイプのバリエーションとしてもっともよく使われるのが、右の(a) のように5 弦も押さえる形だ。人差指以外の指の押さえ方はセーハフォームと同じ。1〜4弦のフォームよりミュートしやすく、実用性はこちらのほうが高い。
(b) は押さえる位置を変えたバリエーション。バレーコードもかんたんフォームも開放を含まない押さえ方は、このように別の場所に移動させることで違うコードとして使うことができる。(b) をさらに1フレット上げるとG、2フレット上げればG♯(またはA♭)というコードになる。5弦まで押さえるフォームも同様に移動させて使用することが可能だ。
Fm コードのかんたんフォームは、人差指で1 〜3弦を押さえることが特徴だ。他のフォームよりも若干難しいが、じっくり取り組んでコツをつかんでおきたい。
★1 〜4弦を押さえるFmのかんたんフォーム
人差指は第一関節より先をフィンガーボード上に寝かせる感じにして、1〜3弦をまとめて押さえる。ネックを強く握るようにして、しっかりと弦を押さえよう。4弦を押さえた薬指の先端で5弦、親指で6弦をミュートできれば理想的だ。
▲CとFmのコードチェンジの練習。Fmの1〜3弦をしっかり押さえよう。
★Fmのかんたんフォームのバリエーション
(a) は5弦も押さえるフォーム例。(b) はFmコードを1フレット高くしたバリエーションだ。さらに1フレット上げるとGm、2 フレット上げるとG♯m(A♭m)というコードになる。(a) のフォームも同様に移動が可能だ。
Bmコードは、Fと並んで実際の演奏で使われる機会が多いコードのひとつだ。代表的なかんたんフォームとそのバリエーションを覚えよう。
★1 〜4弦を押さえるBmのかんたんフォーム
Bmのかんたんフォームは、人差指で1弦だけ押さえ、他の指はセーハコードと同じ場所を押さえる。F、Fmに比べると押さえるのはラクな反面、5〜6弦を鳴らさないように注意が必要。できれば薬指で5弦、親指で6弦をミュートしながら押さえよう。
▲Bmへのコードチェンジは、左手を1フレット分右へ移動させながら押さえ替える。直前の16分音符のアップストロークにタイミングを合わせて、左手を移動させよう。
★Bmのかんたんフォームのバリエーション
(a) は4弦を開放にした、超かんたんタイプだ。押さえるのはラクだが、こちらも5弦開放が鳴ってしまわないように要注意。(b) は1〜4弦を押さえるBmを1フレット低くしたコード。逆にBmを1フレット高くするとCmコードになる。
F以上に押さえ方が難しいとされるB♭コードも、かんたんフォームならそれほど苦労せずに押さえられるはずだ。その代表的なフォームとバリエーションを覚えよう。
★1〜4弦を押さえるB♭コード
B♭のかんたんフォームは、人差指で1弦だけ押さえて、それ以外の指で2〜4弦3フレットを押さえる。中指はどうしてもフレットから離れた位置を押さえることになるので、音がビビったりしないように、3本指をぴったりつけて、しっかりと弦を押さえよう。
▲C、Fとのコードチェンジの練習。B♭とFの各コードは、できるだけ1〜4弦をねらってストロークしよう。
★“超かんたんフォーム”と別ポジションのコード
(a) は4弦を開放にした“ 超” かんたんフォーム。3弦以外はDmコードと同じ場所を押さえる。4弦まで押さえるフォームでも難しいときは、この押さえ方で対処できるはずだ。(b) は4弦も押さえるB♭コードを1フレット高くしたフォーム例だ。
最後に、これまでに紹介したコード以外で、実際の曲で使われることが多いコードのかんたんフォームをまとめておこう。最後のE♭コードは3弦開放を利用したちょっと特殊なフォームだが、覚えておくとけっこう役に立つハズ。難しいセーハコードが出てくる曲を弾きこなすためのヒントとして役立ててほしい。
★セブンスコードのかんたんフォーム
★メジャーセブンスコードのかんたんフォーム
★マイナーセブンスコードのかんたんフォーム
★E♭コードのかんたんフォーム
(Go!Go! GUITAR 2019年2月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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