右手を自在に使いこなす9の裏テク【Go!Go! GUITAR プレイバック】


ピックの持ち方やストローク方法、ピッキング角度など、“右手”に焦点を当てた講座をお届け! これを機に改めて自分のスタイルを見つめ直してみよう! アコギ派のキミもエレキ派のアナタも、しっかり右手のテクニックを習得してほしい!

  

右手を自在に使いこなす9の裏テク(1)

 ピックのどの位置を持つかによって演奏性やトーンは変化する。基本的に、ピックを浅く持つと余計な力が抜けてタッチが軽くなり、反対にピックを深く持つと先端の回転がタイトになるので、ピッキング動作が軽くなる。曲調や曲の展開に合わせて、持ち方を変えるのがベストだ。

 

オーソドックスな位置

右手を自在に使いこなす9の裏テク(2)

▲親指からはみ出たピックの面積が、上部/下部とも同じくらいに持つのが一般的な持ち方だ。

 

ピックを浅く持つ

右手を自在に使いこなす9の裏テク(3)

▲浅めに持つことで安定性はやや落ちるが、タッチが軽くなることでブライトなトーンを演出。

 

ピックを深く持つ

右手を自在に使いこなす9の裏テク(4)

▲手首の支点からピック先端までの回転がタイトになるので、単音中心のリードプレイに最適だ。

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(5)

 人差指と親指以外の指を、開くか閉じるかによってアタック感が変化する。ピックを握り込む“グー型”は、アタック感が増すが細かいピッキングに不向きとされ、指を開く“パー型”は、ピックを握る強さの調節やピッキング角度の調整がしやすい。微妙なアタック感の違いを確かめてみよう。

 

指を開く一般的な持ち方

右手を自在に使いこなす9の裏テク(6)

▲指先を自由に動かせるため、ピッキングのニュアンスがつけやすい。万能タイプだ。

 

指を閉じる持ち方

右手を自在に使いこなす9の裏テク(7)

▲コブシのような“塊感”があるため、アタック感も増す。特にアコギで試すと違いがわかる。​​​​​​​

 

 コラム 
弾いているとピックがズレてしまう場合の対処法​​​​​​​​​​​​​​
 まずは持ち方の見直し。力を入れすぎず、かと言って緩すぎない絶妙な力加減を見つけよう。あとは、滑り止め加工が施されたピックを選ぶ。手汗が原因でズレる場合、この対処法が有効。

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(8)

 ピックのどの部分を使って弾くかによっても、音色や演奏性は大きく変化する。図1のように、ピックの鋭角な部分でピッキングするとエッジのあるトーンに。一方、図2のように鈍角なピックの側面を使ってピッキングすると、弦との摩擦が和らぎ、太く温かなトーンになる。偉人、スティーヴィー・レイ・ヴォーンもこの持ち方!

 

音の鋭さが変わる!

右手を自在に使いこなす9の裏テク(9)

▲図1が一般的なピッキング部分。ピッキングのタッチがマイルドになる図2を愛用するギタリストも多い。​​​​​​​

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(10)

 リズム、メロディ、そして感情を表現するストローク。右手の振り方によってトーンが変わるだけでなく、見た目の印象も変わるので、自分に合った方法を見つけたい。これは右手の振り方だけでなく、立って弾いたときのギターの高さも関係してくる。検証してみよう。

 

高めに持った場合

右手を自在に使いこなす9の裏テク(11)

▲肘を支点にした腕の動きと、手首のスナップによって力強くシャープな音色を奏でる。

 

低めに持つと…

右手を自在に使いこなす9の裏テク(12)右手を自在に使いこなす9の裏テク(13)

▲肘ごと動かす大胆なストローク。シャープさはないが、パワー感では有利。

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(14)

 弦に当てるピックの角度もトーンに影響を与える。“順アングル”という当て方が多いが、海外ギタリストに多く見られるのが“逆アングル”だ。ジミ・ヘンドリックスもこれで、順アングルに比べて太くリッチなトーン。弦に対して、ピックを平行に当てるのを基準に試してみよう。

 

順アングル

右手を自在に使いこなす9の裏テク(15)

▲多く見られる当て方。弦にピックが擦れるように当たるので、良い音質は期待できない。

 

弦に対して平行

右手を自在に使いこなす9の裏テク(16)

▲弦に対してピックを平行に当てる弾き方。バランスの取れたトーンが魅力だ。​​​​​​​

 

逆アングル

右手を自在に使いこなす9の裏テク(16)

▲一番トーンが太いとされる弾き方。ギターの位置を高く持つと自然と逆アングルに。

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(20)

 リズムに合わせて、ダウン/アップピッキングを交互に規則正しく行うのがオルタネイトピッキングだ。ピッキングパターンの基礎中の基礎とも言える弾き方なので、この規則性を守ろうとすると多少弾きにくいフレーズも出てくるかもしれないが、オルタネイトをマスターすれば、弾きにくいフレーズもより正しいリズムで弾けるようになるはずだ。まずは1本の弦を、ひたすらオルタネイトピッキングで弾く練習から初めて、慣れてきたら1弦⇔2弦だったり、異なる弦で練習してみよう。ピックを強く持ちすぎたり、手首の動きが固くなりすぎると、スムーズなピッキングができないので、適度な脱力が大事だ。

 

ダウン/アップを交互に繰り返そう!

右手を自在に使いこなす9の裏テク(21)

矢印.png​​​​​​​

右手を自在に使いこなす9の裏テク(22)

▲ダウン/アップピッキングを、一定のテンポを保ちながら繰り返し行う。簡単なフレーズでも、録音して聴き返してみると思った以上にリズムがヨレているはず。メトロノームに合わせて練習しよう。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

 

 特訓フレーズ《初級編》 
8分を中心とした基本のオルタネイト

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(23)

▲8分音符による、基礎的なオルタネイト練習フレーズ。各拍のオモテをダウン、ウラをアップピッキングで弾こう。1〜2小節目は基本のオルタネイトだが、3〜4小節目は空ピッキングとシンコペーションを取り入れた難易度の高いフレーズとなっている。​​​​​​​

 

Eコード

右手を自在に使いこなす9の裏テク(24)

▲人差指で3弦1フレット、中指で5弦2フレット、薬指で4弦2フレットを押弦。​​​​​​​

 

Aadd9コード

右手を自在に使いこなす9の裏テク(25)

▲Eコードから人差指を離し、中指・薬指を1弦ずつ下に移行した押さえ方。​​​​​​​

 

 特訓フレーズ《上級編》 
的確なピッキングが要求される3連符

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(26)

▲1拍がダウン/アップ/ダウンでひとまとまりなので、各拍でピッキングの順番が入れ替わるのがポイント。3小節目の3連はブリッジミュートで弾くことで、アクセントの付け方を練習することができる。休符での音の止め方は、下のミュート方法を参照しよう。​​​​​​​

 

休符は右手を弦に当てて音を止める

右手を自在に使いこなす9の裏テク(27)

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右手を自在に使いこなす9の裏テク(28)

▲写真左は、弦を弾いて音を出したあとの状態。弦を弾いたあと、右手側面を弦に押し当てることで、音をミュートすることができる。カッティングでも用いる方法なので、ぜひ習得してほしい。​​​​​​​

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(29)

 右手の役割はピッキングだけではない! 弦を右手で押さえることで音を消したり、ピッキングしながら弾かない弦を右手で触れることでノイズを抑えたり、特定の弦をピックで触れて余計な音を消したり、多彩なミュート方法が存在するのだ。音を止めるにしても、わずかなタイミングの違いで印象がまったく変わる、実に奥深い世界だ。この“右手ミュート”が日常的に行えるようになれば、演奏の表現力も増し、もうワンランク上のギタリストにステップアップすることができる。ここでは右手ミュートだけを紹介しているが、左手のミュートも併用すれば効果絶大! 「裏テク7」で紹介したミュート方法も併せて練習しよう。

 

右手の側面でミュート

右手を自在に使いこなす9の裏テク(30)

▲たとえば高音弦を弾く際、右手側面を4〜6弦に軽く触れておくことで、低音弦から発せられるノイズを抑えることができる。

 

ピックを当ててミュート

右手を自在に使いこなす9の裏テク(31)

▲特定の弦のみをミュートする場合は、ピックを弦に軽く当てる(写真は3弦)。弦の下側からミュートする方法もある。

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(32)

 ストロークをする際、何の抑揚も付けずに弾いている人もいるのでは? 意識して強弱をつけることでダイナミックが生まれ、演奏にバリエーションが出る。強弱だけでなく、たとえばアクセントを付けたいときに高音弦を狙って弾いたり、アクセントを付ける箇所以外は低音弦を狙って弾くだけでも、音色の響きに違いが生まれて表現力も豊かになる。さらに、ピッキングする場所にもこだわりたい。ヘッド寄りになるほど柔らかく温かな音色、ブリッジ寄りになるほど硬めでシャープな音色が得られる。アコギだとその違いがよくわかるぞはずだ。

 

低音弦を狙って迫力を出す

ダウンピッキングのみで弾く場合、アクセントを付けたい箇所以外は低音弦を狙って弾く。

 

高音弦を狙って鋭さを出す

アクセントを付けたい箇所は、高音弦を狙ってピッキングしてみよう。抑揚が生まれたはず。

 

譜例記号の読み方

右手を自在に使いこなす9の裏テク(33)右手を自在に使いこなす9の裏テク(34)右手を自在に使いこなす9の裏テク(35)
▲左は低音弦を中心に弾き、右は高音弦を中心に弾こう。中央の場合、ピッキングする場所は任意だ。

 

 特訓フレーズ 
強弱をつけることによって印象がまったく違う!

右手を自在に使いこなす9の裏テク(36)

▲1〜2小節目は、1・3拍目を低音弦を狙って弾き、2・4拍目オモテを高音弦を狙って弾いてみよう。4小節目は、徐々にピッキングの力を強くしていきながら、ブリッジミュートを少しずつ弱めていこう。

 

右手を自在に使いこなす9の裏テク(37)

 ここでは、テクニックというよりも弦を跨いで弾く、いわゆる“弦跳び”の練習方法を伝授しよう。弦跳びが苦手な人は多く、特にアルペジオをピックで弾きする場合、誤って違う弦を弾いてしまうのはよくあること。弦跳びのポイントは、右手全体をいかに安定させるかということと、右手首をできるだけ動かさないことだ。あとは、弦と弦の距離感が体に染み込むまで、ひたすら弾き込むこと。右手全体を安定させる方法は、肘をボディに当てて固定したり、小指をピックガードに当てて右手を支えるなど。いずれにせよ、根気よく練習する必要がある。

 

右手がブレないよう安定させて弾こう

右手を自在に使いこなす9の裏テク(38)

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右手を自在に使いこなす9の裏テク(39)

▲右手首を脱力しすぎると、安定感がなくなり、違う弦を弾いてしまうリスクが高まる。ある程度手首を固定させて、無駄な動きを省いたコンパクトな動作でピッキングしよう。

 

 特訓フレーズ 
アルペジオで各弦の距離感を把握する

右手を自在に使いこなす9の裏テク(40)

▲1小節目は、6⇒4弦、5⇒3弦、4⇒2弦、3⇒1弦と弾く。ピッキングはオルタネイトで弾こう。​​​​​​​

 

小指で右手を安定

右手を自在に使いこなす9の裏テク(41)

▲小指をピックガードに当てることで、右手全体のフォームをキープ。アルペジオに有効!​​​​​​​

 

ボディに当てて固定

右手を自在に使いこなす9の裏テク(42)

▲さらに肘をボディに乗せれば、安定感はグッと増す。自分の弾きやすいフォームを探そう。​​​​​​​

 

 

(Go!Go! GUITAR 2014年7月号に掲載した内容を再編集したものです)

 

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