1人でギターの練習をしていると、知らぬ間に間違ったやり方をしているなんてことがある。言葉は知っていても、実際にどうやるか分からなくて、「変なクセが付いちゃった!」な~んて結果にもなりかねない。方向を間違うことはあっても努力だけは怠らないザセツ君と、ギター奏法の基礎を一緒に学んでいこう!
【プロフィール】
左:ザセツ君 (本名: 財園寺せつ夫)
15歳、高校1年生。高校入学と同時にギターを始め、日々練習に明け暮れる。学園祭でのステージ・デビューを夢見ているが、ちょっとだけ視野が狭く、思い込みの激しい性格が災いすることがしばしば……。
右:ジョン先生
ザセツ君が通う高校の英語(グラマー)教師で、軽音部の顧問。名前だけで選んだ妻のヨーコには頭が上がらない自称・永遠の40歳。
解説/竹内一弘 マンガ/ Dobby.
◉押弦位置がフレットから離れてる
音がビビったり、弦をはじいてもポコっという音しか出ないのは、弦とフレットがきちんと密着していないからだ。多くの場合、ビビりは力の問題じゃなく弦を押さえる位置に原因がある。そう、フレットと指との距離だ。
◉人差指の位置に無頓着じゃない?
確かにきっちりセーハできているし、力いっぱい押さえているんだけど、どうも2、3弦の音が綺麗に出ない。そんなときは慌てず騒がず、セーハしている人差指の状態をよ〜く観察してみよう。少し斜めにしたり位置をズラすだけで状況は一変するぞ。
◉そのナット、高くない?
「ええ高いですよ、だって1年もお小遣いを貯めて買ったんですから」。いやそうではなく……Highのこと、ナットのた・か・さ。ナットとは、ヘッドと指板の境目にある弦の支点となる、弦の間隔や高さを決めたりする重要なパーツなんだ。
弦の振動をしっかり受け止めるためには、弦とフレットが密着していなければならない。できるだけラクにその状態にするには、フレットに近い位置(キワ)を押弦するんだ。特にフレットの間隔が広いローポジションでは押弦する位置がかなり重要になる。
指は一直線ではないし皮膚は柔らかいので、弦がちょうど関節の窪みにはまっていたり、柔らかい部分で押弦していたりで、実は弦を上からしっかり押さえられていないことがある。ローコードのFの2弦やFm の3弦がきっちり鳴らない原因の多くはコレだ。そんなときは人差指を1弦側⇔6弦側へ少しずらして関節がはまらない位置を探ってみよう。
もう1つのポイントは指の腹で押さえないこと。指の側面で押弦すれば力がロスなく弦に伝わるので、軽い力でもきっちりセーハできるようになる。これらを踏まえてEx-1を弾いてみよう。
Fm、B♭7タイプは中指を人差指の上に乗せる2階建てフォームを試してみよう。こうすれば、人差指1本よりも握力が増すぞ。ただし、[ポイント1、2]ができていないと効果は期待できないので、これでもセーハが上手くできないならもう一度基本から見直してみよう。そしてEx-2にチャレンジ!
◉セーハしない
「セーハができないならやめちゃえ」という何とも物ぐさな発想だが、実は多くのギタリストがこれを実行している。Fタイプはシェイクハンド・スタイルの方が断然ラクだ!(図5)。B♭やB♭mタイプは1弦を省略すれば楽勝だし、実は響き的にも問題はないのだ(図6)。これでEx-3はラクラク!
◉常時カポ作戦
エレキならここまでの練習でほぼセーハは克服できたと思う。しかし、アコギではまだセーハができないという人がいるかもしれない。恐らく、それはナットが高すぎることが原因なので、最終手段として1フレットにカポタストを付けてみよう。これによりナットの高さがなくなるので、セーハがラクになるぞ! この常時カポ作戦は、カポをした状態で通常のチューニングをして(ギター自体は半音下げチューニングとなる)、1フレットを開放弦と認識してプレイするわけだ。さらにカポが必要な曲ではカポ・オン・カポな状態になり、これはこれで見た目にも楽しい。
(Go!Go! GUITAR 2013年7月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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