1人でギターの練習をしていると、知らぬ間に間違ったやり方をしているなんてことがある。言葉は知っていても、実際にどうやるか分からなくて、「変なクセがついちゃった!」な~んて結果にもなりかねない。方向を間違うことはあっても努力だけは怠らないザセツ君と、ギター奏法の基礎を一緒に学んでいこう!
【プロフィール】
左:ザセツ君 (本名: 財園寺せつ夫)
雨の日のギター運びは心配(>_<)。というわけで、頑丈なハードケースを買っちゃいました(≧▽≦)。けれどケースにも愛着がわきすぎて、結局外には持って行けずじまい……。
右:ジミ先生
物理の先生で科学部の顧問。エフェクター作りが趣味で、エレキのことはこの人に訊け!と評判。老けてみられるが実は27歳。日サロ通いが欠かせない。
解説/竹内一弘 マンガ/ Dobby.
◉パワーコード=強いコードだと思っている
ネーミングのイメージから、「パワーコードを弾いていればパワフルな音になる」とか「押さえ方は簡単だけど、これだって立派なコードなんだ」とか思っていないかな? パワーコードの本当の意味を知れば、それは勘違いだってことがわかると思うよ。
◉パワーコードの響きがよくない
「コードを押さえるときは指を立てて」なんて習ったことがあると思うけど、まさかパワーコードを弾くときにも指を立ててないよね? パワーコードのサウンドにガッツがない、響きがよくないという初心者は意外にも多いけど、カッコよく響かせるコツを知れば簡単だ。
◉パワーコードの使い方が平凡
Cコードの部分ではCのパワーコードを弾く。間違っちゃいないが、それはパワーコードの使い方のすべてではない。パワーコードの意味を知れば、もっと色々な使い方だってできるし、カッコいいバッキングやリフを自分で作れるようにもなるよ。
まずは基本フォームの確認。図1のように、6弦、5弦共に同じフォームでパワーコードを弾くことができる。次に、パワーコードの概念をここでしっかり理解しておこう。パワーコードとは“単音の補強”だ。単音ではちょっと弱いなというときに5度上のハモリ(ルートがドなら、その5つ上のソ)を加えるというもので、コードの機能はない(図2)。名前に惑わされないように。本来なら“パワーノート(音)”と呼ぶべきものなんだ。
コードだから指を立てて押さえるというのは、ことパワーコードに関しては間違い。パワーコードは2音だけを鳴らすので、不要弦は完全にミュートしよう(図3)。パワーコードのミュートは簡単で、人差指をベタっと寝かせるだけだ。人差指の腹が不要弦に軽く触れた状態がベスト。5弦のパワーコードは、人差指の指先を6弦に触れてミュートしておく。決して指を立てないように。
指使いは、[ポイント1]の図1のように、人差指と中指で押さえよう(人差指+小指ではない)。というのも、図4のように3本の弦を使ったパワーコードのフォームもあるからだ。
コードCでCのパワーコードを弾くというのがもっとも一般的な使い方だ。ディストーションをかければそれだけでロックらしいご機嫌なサウンドになるだろう。全音符や2分音符、8分の刻みで弾くことが多いね(Ex-1)。
パワーコードは単音の補強なので、単音のメロディに5度のハモリを加えるという発想でも使える。ロックのリフの定番パターンはEx-2のように5、6弦の開放弦と組み合わせる方法だ。パワーコードの効果を知る方法として、Ex-2のパワーコードの高い方の音(4弦)を省略して弾いてみよう。単音とパワーコードでは音の迫力が随分違うよね。注意したいのは、パワーコードの部分でコードがD、E、Gと変化しているのではないということ。もうわかっていると思うけど、単に単音を補強してるだけだからね。
パワーコードがどうしても押さえられないという読者はあまりいないと思うけど、一応“愛の救済”を行っておこう。ロックでよく使われる図5aのフォーム。これは3音のパワーコード(図5b)の一番低い音を省略したものだ。これなら指1本でも押さえられるのでカンタン。
さて、ここで雑学を。単音より2音の方がパワーが出るというのは当然だよね。では、なぜ5度音程の2音のみにわざわざパワーコードという名前がついているのか。これは、この5度音程が最高に調和するものだからだ。試しに深くディストーションをかけてパワーコードを弾いてみよう。もはや2音を聴きわけることが難しいほどの一体感があるはずだ。この一体感=パワー、ということ。その他の音の組み合わせ、例えば図5aのパワーコードの転回形ならはっきりと2音が聴き分けられる。つまり、ここで紹介したパワーコードの転回形(図5a)はパワーコードの代役にはならないってことだ。5度音程じゃなくなると(この場合は4度音程)、それはもうパワーコードとは呼べないんだ。もちろん、響きもまったく違うよ。
(Go!Go! GUITAR 2014年8月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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