【楽譜の読み方#04】臨時記号と調号 

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。
本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。

臨時記号

臨時記号とは

曲の途中である音の高さを一時的に変化させる記号で、主にシャープ(♯)、フラット(♭)、ナチュラル(♮)の3つが使われます。それぞれ、記号の右側に書かれた音符の音を半音高くする(シャープ)、半音低くする(フラット)、または自然な音高に戻す(ナチュラル)効果を持ちます。
例えば、ハ長調の楽曲でハの音(ド)を半音上げる場合は、その音符の直前に♯を記述するとドがド♯に変化します。

記号 読み方 意味
# シャープ 半音高くします。
フラット 半音低くします。
X ダブル・シャープ 変化記号(#)によってすでに半音高められている音をさらに半音高くします。
♭♭ ダブル・フラット 変化記号(♭)によってすでに半音低められている音をさらに半音低くします。
ナチュラル 上記の変化記号を無効にして元の音に戻します。

臨時記号のルール

臨時記号の効果範囲には以下のルールがあります。
・記号のすぐ右の音符からその小節内に限り有効で、次の小節からは無効
・ただし、記号付きの音符とタイでつながれた音符は小節をまたいでも有効(「タイ」は次回解説します。)
・1オクターヴ以上離れた音については無効
・臨時記号は調号よりも優先される(「調号」は次の項で解説します。)


臨時記号の譜例

調号

長調と短調

調には明るく穏やかな印象を与える長調と、暗く悲しい印象を与える短調の2種類があります。長調は長音階、短調は短音階が使われます。その各音階がどの音から始まるかによって、ハ(ド)音から始まる長調はハ長調、イ(ラ)音から始まる短調の場合はイ短調となります。

調号とは

ト音記号やヘ音記号のすぐ右に表記する#(日本語で「嬰」)や♭(日本語で「変」)を調号と呼び、調によりどのように置くかが決まっています。ハ長調とイ短調には調号は付きませんが、その他の調には調の音階の構成を示すために調号が付きます。調号は臨時記号がつかない限り、音の高さに関係なく効力があります。

調号の種類


例えば、ト長調の楽曲では、調号としてファ♯が記されます。これは、楽譜中のファの音符が音の高さに関係なくファ♯として演奏されることを意味します。(ただし、曲の途中で転調した場合は調号が変わることもあります。)
調号によって、楽曲全体での記述が簡潔になり、演奏者が楽譜をより迅速に読むことができます。

調号の譜例

楽譜の読み方チェック

臨時記号と調号に注意して楽譜内の音符を読んでみましょう!

【例題1】

答えはスクロール後










【答え1】



① 同じ小節内で同じ音に臨時記号が付いているので「レ#」
② タイでつながれた前の音に臨時記号が付いているので「ファ#」
③ 同じ小節内の同じ音に臨時記号は付いていないので「ファ♮」
④ 同じ小節内で同じ音に臨時記号が付いているが音の高さが違うので「ソ♮」

 

【例題2】

答えはスクロール後










【答え2】



⑤ 調号は音の高さ関係なく有効なので「ミ♭」
⑥ 調号により「シ♭」
⑦ 同じ小節内で同じ音に臨時記号が付いているので「シ♮」
⑧ 同じ小節内で同じ音に臨時記号が付いているが音の高さが違う、また調号は音の高さに関係なく有効なので「シ♭」

ルールが複雑で少し難しく感じる臨時記号と調号ですが、これらの記号を正しく理解し使いこなすことで、演奏がよりスムーズになります。また、アレンジや作曲においても必要な知識となりますので、ぜひ繰り返し練習してみて下さい!


楽譜の読み方を基礎から学習したい方に

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