音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。
本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。
今回から2回にわたり、音楽表現に欠かせない要素である「強弱記号」について説明します。
ピアノ(piano)、フォルテ(forte)
楽器演奏を行う上で重要なことのひとつに、音の抑揚(強弱)があります。
今は当たり前に強弱をつけられますが、鍵盤楽器といえばチェンバロが主流だった18世紀ごろまでは強弱をつけるのは非常に大変でした。
18世紀始めにチェンバロを改造して今のピアノの原型ができていくのですが指のタッチで音の強弱をつけられることから、「ピアニッシモからフォルテッシモまで演奏できるチェンバロ」という意味で「ピアノフォルテ」と名づけられました。これを略して今の「ピアノ」という呼び名になっています。
楽器の名前の元になるように音の強弱は音楽にとって非常に重要なことですのでしっかり身につけましょう!
強弱に関わる記号は色々ありますが、まずは「Piano」(ピアノ)と「Forte」(フォルテ)について説明します。
ピアノ
弱くという意味の「Piano」(ピアノ)です。
この「p」を何個も重ねて強調することにより、さらに弱くしてという意味を持たせます。また「半分の」という意味の「mezzo」が付いて「mp」と表示されている場合は「p」の半分の弱さでということになりますので「p」よりもやや強く弾きます。
「mp」メゾピアノ ・・・ やや弱く
「pp」ピアニッシモ ・・・ ごく弱く
「ppp」ピアニッシッシモ ・・・ できるだけ弱く
この「p」が増えるとどの位、弱く弾けばいいか?という疑問が出てくるかと思いますが、残念ながら基準はありません。多くは作曲者の意思が込められているので、曲調を考え「弱く」を意識して弾きましょう。
フォルテ
強くという意味の「Forte」(フォルテ)です。
「p」と同様に「f」を重ねるとさらに強くということになり、「mezzo」をつけると半分という意味になります。
「mf」メゾフォルテ・・・やや強く
「ff」フォルティッシモ・・・ごく強く
「fff」フォルティッシッシモ・・・できるだけ強く
イタリア語では「・・イッシモ」が最上級の表現なのですが、「fff」はそれよりも強くということで「フォルティッシッシモ」と不思議な読みになっています。
ともあれ、この標記は「ff」は「f」よりも強く、「fff」は「ff」よりも強く、という相対的なものですので、強弱記号がある場合はその箇所だけを見るのではなく楽譜全体をみて強弱を考えましょう。
ここまでのまとめ
フォルツァンド(forzando)、スフォルツァンド(sforzando)、リンフォルツァンド(rinforzando)
つぎに、曲のアクセントに使う強弱記号を説明します。
楽譜でフォルテの前後に「s」だったり「r」だったり「z」がついた場合は要注意です。作曲者がここは特に強く演奏して欲しい時にこのような表記をしていますので、単なる強弱ではなく曲のアクセントとして注意しましょう。
フォルツァンド
スフォルツァンド
リンフォルツァンド
これらはいずれも、「記号のつけられた音を突然強いアクセントをつけて演奏する」というように説明されます。その中でも「リンフォルツァンド」の「rin」には「反復、強調」の意味があることから、「リンフォルツァンド」がついている場合には、フレーズ全体を強く演奏するという傾向があるようです。
ともあれ、単純に強弱ではなく曲のアクセントになるよう曲調を見つつコントロールするとよいでしょう。
強弱記号を意識して楽譜に忠実に演奏することで、楽曲の魅力を最大限に引き出すことができます。楽譜を読む際には、音符だけでなく強弱記号にも注目し、豊かな音楽表現を目指しましょう!
次回は強弱の変化を表す「クレッシェンド、デクレッシェンド、ディミヌエンド」について解説します。
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