音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。
本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。
今回は、音の強弱の変化を表す音楽用語「クレッシェンド」「デクレッシェンド」「ディミヌエンド」について説明します。
クレッシェンド (crescendo)
クレッシェンドはイタリア語で「成長する」を意味する「crescere」の進行形で、音が徐々に大きくなることを示します。楽譜上では「cresc.」と省略されることもありますが、多くの場合は次のようなくさび形の記号で表されます。
クレッシェンドは、楽曲に緊張感や期待感を与えるために使用されることが多く、例えば次のような場面で見られます。
- フィナーレに向けて盛り上がる部分
- ドラマティックなクライマックスを迎える直前
- 次のフレーズにスムーズに移行するための準備段階
音を次第に強くする必要があるので、記号の始まり時点ではピアノ(p)くらいの弱さから演奏し、「だんだんと」「徐々に」音を強く・大きくしていきます。
デクレッシェンド (decrescendo) 、 ディミヌエンド (diminuendo)
デクレッシェンド
デクレッシェンドは、音が徐々に小さくなることを示します。楽譜上では「decresc.」と省略されることがありますが、記号としては次のように表されます。
デクレッシェンドは、音楽の流れを落ち着かせたり、エンディングに向けて静かに終息させるために使用されることが多く、例えば次のような場面で見られます。
- 感情が静まる部分
- フレーズの終わりを締めくくるため
- 次の静かな部分への橋渡し
音を次第に弱くする必要があるので、記号の始まり時点ではフォルテ(f)くらいの強さから演奏し、「だんだんと」「徐々に」音を弱く・小さくしていきます。
ディミヌエンド
ディミヌエンドもイタリア語で「徐々に小さくなる」を意味し、だんだんと音を弱くすることを示します。楽譜上では「dim.」または「dimin.」と省略して表記されることが多いです。
デクレッシェンドとディミヌエンドは、厳密にはディミヌエンドのほうが「ギリギリまで小さく」「消え入るような」というニュアンスとなりますが、作曲家によっても記号の使い分け方、意図する演奏イメージが異なるため、まずはどちらの用語とも「だんだん弱く」で覚えましょう。演奏に自信がある方は、ぜひ作曲家ごとの特性をつかんで演奏してみてください!
まとめ
音楽用語 | 読み | 意味 |
crescendo(cresc.) | クレッシェンド | だんだん強く |
decrescendo(decresc.) | デクレッシェンド | だんだん弱く |
diminuendo(dim.) | ディミヌエンド | だんだん弱く |
強弱記号は音の大きさ・強弱を指示するだけでなく、音楽の感情や物語性を表現するために非常に重要です。同じメロディーでも、強弱の付け方によって全く異なる雰囲気や印象を与えることができますので、楽譜を読む際には、音符だけでなく強弱記号にも注目してより豊かな音楽表現を目指しましょう!
次回は「オッターヴァ(8va)」について解説します。
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