音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。
本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。
今回は、音域の広い曲を楽譜上で表すのに便利な「オクターブ記号」について説明します。
オッターヴァ(ottava / 8va)
オッターヴァとは
オッターヴァはイタリア語で「オクターブ(8度)」を意味し、楽譜において音符の高さを1オクターブ上または下で演奏することを指示するオクターブ記号です。省略して「8va」と記されます。
オッターヴァを示す記号が音符やフレーズの上に記される場合は1オクターブ上げて演奏し、音符やフレーズの下に記される場合は1オクターブ下げて演奏します。(記号の種類は後述)
オッターヴァを使う理由
ピアノのように音域の広い楽器では、あっという間に音符が五線を超過して何重もの加線が必要となることがあります。このように非常に楽譜が読みにくくなったときに「オッターヴァ」は登場します。
例えば、このような楽譜が…
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オッターヴァ(8va)を使うことで、楽譜が簡潔になり読みやすくなります。
オッターヴァ・アルタとオッターヴァ・バッサ
オッターヴァ・アルタ(8va alta / ottava alta)
アルタはイタリア語で「高い」を意味し、オッターヴァ・アルタは、1オクターブ上で演奏することを示します。音符の上に「8va」と記され、適用範囲が破線カッコで囲まれています。「8va alta」や「8」と記載されることもあります。
なお、2オクターブ上げて演奏する場合は、「15ma(クィンディチェジマ・アルタ)」と記されます。(慣例的に16ma / 15va/ 16vaと表記されることもある)
オッターヴァ・バッサ(8vb / 8va bassa / ottava bassa)
バッサはイタリア語で「低い」を意味し、オッターヴァ・バッサは、1オクターブ下で演奏することを示します。音符の下に「8vb」と記され、適用範囲が破線カッコで囲まれています。 「8va bassa」「8va」「8」と記載されることもあります。
なお、2オクターブ下げて演奏する場合は、「15mb(クィンディチェジマ・バッサ)」と記されます。(慣例的に16mb / 15vb/ 16vbと表記されることもある)
【譜例】
音符の下に「8vb(8va bassa / 8va / 8)」の指示があるときは
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1オクターブ下の音階で演奏します。
まとめ
- オッターヴァは、1オクターブ上または下で演奏することを指示するオクターブ記号。主に8va/8vbと表記される。
- 記号が五線譜の上に書かれている場合は1オクターブ上げる、下に書かれている場合は1オクターブ下げる
- 2オクターブ上下させるオクターブ記号は15(または16)、3オクターブは22(または24)と、オクターブが増えるごとに数字が7(または8)づつ増える。
このように記号が五線譜の上にあるか下にあるかと、その数字によって演奏指示が判別できるので、楽譜を読むうえでは序数詞にあたる「va/vb/ma/mb」の使い分け方は覚えなくとも大丈夫です。
次回は反復記号の「ビス(bis)、テル(ter)、クァテル(quater)」について解説します。
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