【楽譜の読み方#14】トリル

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。
本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。

今回は、演奏に華やかさや動きを加える装飾記号「トリル」について説明します。

トリル(trill)

バッハを代表するバロック音楽では頻繁に装飾記号が使われています。
譜面には単純に1音書かれているにも関わらず実際は細かく音を刻むこともあり、演奏者の解釈などで音使いが変わってしまう難物です。

 

トリルとは?

装飾記号で最も代表的なものが「トリル」です。トリルは「tr」と波線で記され、記号のついた音(元の音)と2度上の音(つまり1つ上の音)とを素早く繰り返し弾く演奏法です。
例えば、ドの音でトリルが指示されている場合、ドとレを交互に演奏します。

 


時代によるトリルの違い

古典の音楽を演奏するときと現代の音楽を弾くときでは音使いが変わります。

古典派やバロック時代のトリルは「1つ上の音」から演奏することが一般的でしたが、近現代では「元の音」から始めることが一般的です。また、開始の音は作曲者の指示や演奏者の解釈により異なることもありますが、いずれの場合も終わりは「元の音」です。

 

トリルの演奏方法

トリルの速さや長さについて明確な指示がない場合、演奏者は自由にそれらを調整することができます。そのため、同じ曲でも演奏者ごとに異なる表現が生まれることとなり、演奏者の個性や解釈が強く反映される要素となります。


譜例を使って、いくつかの代表的なトリルの演奏方法についてご紹介します。

 

譜例1
もっともベーシックな譜例です。

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【演奏方法】
トリル記号のついた「ミ」と1つ上の音「ファ」をすばやく交互に繰り返します。

               OR

開始の音は「ミ」または「ファ」で、終わりの音は「元の音」の「ミ」です。

 

 

譜例2
トリルに前打音や後打音が付く場合です。この譜例ではトリルの終わりの音に前打音が付いています。

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【演奏方法】
この場合も素早く 「ミファミファ」 もしくは 「ファミファミ」 と演奏して、どちらの場合もトリルの終わりは前打音を含んだ「レミファ」です。

 

 

1)はバロックで多く用いられる古典的奏法、2)は近代的奏法です。

 

最近は作曲者の意図通りに演奏して欲しいということもあり、演奏者判断にゆだねる表記の仕方はあまりしなくなりましたが、クラシック音楽にはよく登場します。 

作曲された時代や作曲者の意図、演奏者の解釈によってたくさんの演奏方法がありますので、レッスンで先生に相談したり、いくつかの参考演奏を聴いて判断してみてください!

 


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