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SR-094 シックハルト ソナタ集 第6巻

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SR-094 シックハルト ソナタ集 第6巻

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★定価・・・3800円+税

★冊子・・・A4サイズ(スコア32ページ、別冊リコーダーパート譜16ページ、別冊バスパート譜16ページ)

★CD・・・2枚
  収録内容=各種伴奏、リコーダー演奏例
   ※チェンバロ伴奏演奏はすべて石田誠司(デジタルサンプリング音源使用)

★有償サポート・・・バロックピッチ伴奏CD(2枚組 1200円+税)
   ※製品に申し込み用紙が付属しています。

ソナタ 第16番 ト短調
(「24のソナタ 作品30」より)

★解題★

 J.C.シックハルトの「24のソナタ 作品30」は、原題は「音楽のアルファベット 24のソナタ」で始まる長いもので、1735年ごろの出版だそうです。1722年に発表された大バッハの「平均率クラヴィーア曲集」と同様に、「すべての調によるソナタ」であることが狙いの一つだったようで、フルート、ヴァイオリン、リコーダーのどれで演奏してもよいことになっていました。(音域が違いますから、その場合は音符記号の読み替えにより、移調して演奏するようになっていました。)

 すべての調、というからには、シャープやフラットの記号が5つも6つもついたような調号になる曲も出てくるわけですが、難しい場合は、やさしい調で演奏することもできるようになっていました。たとえば、「嬰ハ長調」(シャープ7つの調)の曲の楽譜を、「ハ長調」の楽譜として読んでしまえば格段にやさしくなります。そういうことをしてもよいということになっていたのです。

 RJP版では、フランス・ブリュッヘンらが提案している調の選定(全音楽譜出版社刊「24のソナタ」による)と曲配列にもとづいて出版していきます。(ブリュッヘン版では原典と異なる曲配列になっていますが、RJP版でもブリュッヘン版が付した曲番号を踏襲するということです。)
(一部改稿 2011.08.24.)

★解説★

 原典ではト短調または嬰ト短調の「第16番」のソナタで、ブリュッヘン版でも16番です。

 全体は7つの楽章から成り、たいへん大規模で長大なソナタです。全体に躍動感にあふれた秀作です。

 第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子で、テンポは遅いながら、かなり細かな音符で語る箇所もあって、たんねんに作り込まれた楽章になっています。

 第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の4拍子です。16分音符の速い動きを中心に音楽が進みます。後半に出てくる反復進行が美しく、同じ16分音符の音楽といってもいろいろに表情を変えていくのが面白いところです。

 第3楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)、4分の3拍子で、堂々とした形式の大規模な曲です。8分音符の動きが中心ですが、「ミ♭」に絡んで指づかいの難しいところがかなりあって、上級者でも少し注意して演奏したほうがいいでしょう。

 第4楽章はラルゴ(広々と)、2分の3拍子です。付点のリズムと、わりに頻繁なヘミオラが味になっていて、面白く書かれています。

 第5楽章はヴィヴァーチェ、4分の3拍子のコレンテ(クーラント)です。シックハルトはこのような付点リズムを主体とするコレンテが大好きで、よく書きました。この楽章も、よく工夫された佳品です。

 第6楽章はジーガ(ジーク)とタイトルが示されています。一本調子にならない、変化に富んだ内容になっていて、シックハルトの面目が躍如とした秀作。本曲の白眉だと思います。

 第7楽章はアレグロ、4分の4拍子の短い終曲。長大なソナタを、まるで「おまけ」のような短い終曲で軽く締めくくっています。こういうやりかたは、中期バロック末のコレルリなどにも先例があって、イタリアの後期バロック作曲家たちが、ときどき真似ていました。シックハルトにもかなりたくさんの例があります。

★試聴ファイル★

通奏低音(電子楽器): 石田誠司  リコーダー: 石田誠司

※カッコ内の表示は「指回り難度」です。

第1楽章(B-3)
第2楽章(C-1)
第3楽章(C-1)
第4楽章(B-1)
第5楽章(C-1)
第6楽章(C-2)
第7楽章(C-1)

ソナタ 第17番 変イ長調
(「24のソナタ 作品30」より)

★解題★

 J.C.シックハルトの「24のソナタ 作品30」は、原題は「音楽のアルファベット 24のソナタ」で始まる長いもので、1735年ごろの出版だそうです。1722年に発表された大バッハの「平均率クラヴィーア曲集」と同様に、「すべての調によるソナタ」であることが狙いの一つだったようで、フルート、ヴァイオリン、リコーダーのどれで演奏してもよいことになっていました。(音域が違いますから、その場合は音符記号の読み替えにより、移調して演奏するようになっていました。)

 すべての調、というからには、シャープやフラットの記号が5つも6つもついたような調号になる曲も出てくるわけですが、難しい場合は、やさしい調で演奏することもできるようになっていました。たとえば、「嬰ハ長調」(シャープ7つの調)の曲の楽譜を、「ハ長調」の楽譜として読んでしまえば格段にやさしくなります。そういうことをしてもよいということになっていたのです。

 RJP版では、フランス・ブリュッヘンらが提案している調の選定(全音楽譜出版社刊「24のソナタ」による)と曲配列にもとづいて出版していきます。(ブリュッヘン版では原典と異なる曲配列になっていますが、RJP版でもブリュッヘン版が付した曲番号を踏襲するということです。)
(一部改稿 2011.08.24.)

★解説★

 6つの楽章から成るソナタです。変イ長調は演奏の難易度としては中程度の難しさで、多くのかたにとって手ごろな練習材料になるのではないでしょうか。

 第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)4分の4拍子のプレリュードふうの楽章です。細かく動きながら歌っていく音楽です。

 第2楽章は、ヴィヴァーチェ(生き生きと)4分の4拍子です。題は示されていませんが、アルマンドなのではないでしょうか。16分音符の動きには失敗しやすい指づかいが多く含まれており、上級者でもそれなりに練習を要する場合が多いと思います。

 第3楽章は4分の3拍子のコレンテ。このような付点リズムを基調とするコレンテはシックハルトの十八番です。終盤に現れる三連リズムを含むモチーフが新鮮な効果を上げています。

 第4楽章はラルゴ(広々と)と指定された2分の3拍子の楽章で、間奏曲のようなものととらえてもいいでしょう。平易な曲調です。

 第5楽章はアレグロ、8分の12拍子のジークです。16分音符が多く、通常のジークよりはかなり遅いテンポが合うでしょう。

 第6楽章もアレグロで、4分の4拍子の終曲。ガボットなのでしょう。最初の2小節は激しいクロスの連続で、下手をすると始まった途端にコケます。ここを無事に過ぎればあとはそう大したことはありません。


★試聴ファイル★

通奏低音(電子楽器): 石田誠司  リコーダー: 石田誠司

※カッコ内の表示は「指回り難度」です。

第1楽章(C-1)
第2楽章(C-2)
第3楽章(C-2)
第4楽章(B-2)
第5楽章(C-2)
第6楽章(C-2)

ソナタ 第18番 変イ短調
(「24のソナタ 作品30」より)

★解題★

 J.C.シックハルトの「24のソナタ 作品30」は、原題は「音楽のアルファベット 24のソナタ」で始まる長いもので、1735年ごろの出版だそうです。1722年に発表された大バッハの「平均率クラヴィーア曲集」と同様に、「すべての調によるソナタ」であることが狙いの一つだったようで、フルート、ヴァイオリン、リコーダーのどれで演奏してもよいことになっていました。(音域が違いますから、その場合は音符記号の読み替えにより、移調して演奏するようになっていました。)

 すべての調、というからには、シャープやフラットの記号が5つも6つもついたような調号になる曲も出てくるわけですが、難しい場合は、やさしい調で演奏することもできるようになっていました。たとえば、「嬰ハ長調」(シャープ7つの調)の曲の楽譜を、「ハ長調」の楽譜として読んでしまえば格段にやさしくなります。そういうことをしてもよいということになっていたのです。

 RJP版では、フランス・ブリュッヘンらが提案している調の選定(全音楽譜出版社刊「24のソナタ」による)と曲配列にもとづいて出版していきます。(ブリュッヘン版では原典と異なる曲配列になっていますが、RJP版でもブリュッヘン版が付した曲番号を踏襲するということです。)
(一部改稿 2011.08.24.)

★解説★

 6つの楽章から成るソナタです。変イ短調は「フラット7つ」で、ふつうのアマチュア愛好家にとっては「勘弁してよ」と思うような演奏困難な調です。しかし、ひとたびこの洗礼を受れば、もはやフラット4つのヘ短調など天国のようにやさしく感じるようになりますから、じっくり取り組んでみる価値があるでしょう。

第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子です。多彩なリズム型を取り入れてキメ細かく歌っていく音楽で、シックハルトらしい語り口が随所にきかれます。最後に2小節ほどのエピローグがあり、フリギア終止で次の楽章を呼び込みます。

第2楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)と指定されたアルマンド、4分の4拍子です。八分音符の上行分散和音のモチーフで始まり、この音型は後半でも活躍します。ひたひたとよどみなく進む気持ちのいい音楽です。最後は一瞬ですが「変ニ短調」(こんな調は普通には存在しません)を匂わせますので、「ダブルフラット」も登場します。

第3楽章はラルゴ(広々と)、2分の3拍子です。全体としてはゆったりと歌う音楽ですが、少し細かなリズム(八分音符)も用いた勢いのある動きを取り入れたテーマに特徴があります。

第4楽章は再びヴィヴァーチェと指定された、シックハルト得意の付点リズムを基調とするコレンテです。テーマは明らかに第2楽章アルマンドのテーマをふまえたものです。ヘミオラに工夫があって、面白く書かれています。

第5楽章はカンタービレ(歌うように)と指定された4分の3拍子の間奏曲。テンポはいろいろに考えられるところで、メヌエットのようにやや速く演奏してみるのもいいでしょう。

第6楽章はアレグロ(快活に)と指定された、8分の6拍子のジークです。この楽章も2・4楽章と主題の統一がはかられています。目新しさはあまりありませんが、しっかりまとめられた佳品になっています。


★試聴ファイル★

通奏低音(電子楽器): 石田誠司  リコーダー: 長井 舞

※カッコ内の表示は「指回り難度」です。

第1楽章(C-3)
第2楽章(C-3)
第3楽章(C-2)
第4楽章(C-3)
第5楽章(C-2)
第6楽章(C-3)

J. C. シックハルト
~~快活で気持ちのいい音楽性~~

★群小作曲家の一人?★

 ヨハン・クリスティアン・シックハルトはバッハやヘンデルとだいたい同年代の作曲家で、スウェーデン国王に仕えたかと思うとハンブルグに足跡を残しており、さらにバッハも一時期仕えたことで知られるケーテンの宮廷に抱えられたりと、北ヨーロッパ各地を転々としながら作曲活動を続け、最後はオランダに腰を落ち着け、そこで1762年に没したといいます。

 このように転々とせざるを得なかったのは、しっかりした定職を持つことができるほどの才能のない、群小作曲家の一人だからだ・・・などと見下すようなことを言われたりもする人です。が、果たしてそう言ってしまっていいものでしょうか。

★アマチュア奏者たちに大人気だったシックハルト★

 シックハルトには、両手でリコーダーを持って、今にも吹こうとしている(あるいは今演奏が終わったばかりといった感じの)様子をとらえた肖像画があります。

 実際、彼はリコーダー・フルート・オーボエなどの演奏を行ったといわれています。だからこそ、シックハルトは、こうした楽器の特性と魅力をよく知っていて、これらの楽器にぴったりと合う音楽をつくる職人(当時、作曲家はすべて職人でした)として、非常に冴えた腕前を持っていたのです。バロック時代には、リコーダーやフルートを演奏して楽しむアマチュア奏者たちがたくさんいました。そして、シックハルトはそうした奏者たちにとても人気のある作曲家だったのです。生前、その作品が30冊以上も出版され、ヨーロッパ中で売られていたというのは驚くべきことです。

 シックハルトが職を求めて転々としなければならなかったのは事実なのでしょう。しかし、その作品は人々から熱烈に支持されていたのです。今のように音楽著作権が保護されていない時代であったために、その作品の人気ぶりに見合うだけの収入を得ることができなかっただけだったのではないでしょうか。

 もっとも、シックハルトは一度は忘れ去られた作曲家です。18世紀後半以後今日に至る時代は、音楽が「公開演奏会」やCD録音によって「お金を払って鑑賞する」という形で楽しむものになっていますから、そうした場面では、19世紀作品や、バロックでもバッハやビバルディーに比べて、ずっと地味で素朴なシックハルトの作品は、ほとんど愛されていないのは事実です。しかし、楽器演奏を楽しむアマチュア奏者たちは、親しみやすくてしかも爽快な、シックハルトの音楽の魅力をよく知っていました。

 つまり、「演奏して楽しもう」と思っている私たちにとって、シックハルトはけっしてつまらない作曲家ではないのです。むしろ、ルイエなどと並んで、とてもたくさんのすてきな曲を作っておいてくれた、大切な作曲家だと言えるのではないでしょうか。

★シックハルトのリコーダー曲★

 たしかにシックハルトの曲は概して小粒で、劇的な効果や強烈な個性や深い精神性にはとぼしいと言えます。しかしそのかわり、響きがよく流麗で、ときに顔を出す気の利いた和声も新鮮に感じられますし、何より、小気味よい運動性が自然にほとばしり出るようなおもむきが楽しく、演奏していて実に気分のいい音楽なのです。

 実際、このため生前から彼の作品はヨーロッパ中で管楽器奏者たちに親しまれ、イギリスなどでは海賊版の楽譜までが出まわるほどだったといいます。アマチュア奏者たちがいかにシックハルトのソナタを愛していたかがよくわかりますね。

 シックハルトのソナタの速い楽章は、ほぼ楽譜通りに演奏していくことで、スカッとするような小気味よさが味わえます。指使いの都合をよく知っていて書いていますから、速い曲でも意外と演奏しやすいのです。また、ゆっくりな楽章は比較的情緒的にあっさりしているので、むろんいろいろ装飾や変奏は必要でしょうが、楽な気持ちで演奏することで、「気分よく歌う」という楽しさが味わえます。

★きゃっつさんの通奏低音によるシックハルト★

 さて、ここで、ちょっと場ちがいのようですが、リコーダーJPでシックハルト作品の通奏低音の実施を担当してくださっている作曲家・きゃっつさんについて触れるのをお許しください。

 リコーダーJPは、シックハルトのソナタを皆さんにお届けするにあたり、通奏低音実施(つまりチェンバロの右手をどう弾くかを考える、半分作曲のような仕事)をご担当いただくことになったきゃっつさんに、「遠慮なく、表現的な楽しい通奏低音実施をしてください」とお願いしました。そして、きゃっつさんはそれに応えて、存分に腕をふるって楽しい通奏低音を考えてくださっています。

 そう、シックハルトの、素朴といえばごく素朴な内容の音楽。それが、きゃっつさんが書かれた、躍動的で華麗で、現代的センスを存分に盛り込んだ遊び心のあふれる通奏低音実施によって、どんなに面白い音楽になっているか。それはまるで一つひとつの楽章がおとぎ話の1ページででもあるかような、実に楽しい世界をつくりあげているのです。

 ルイエをご担当いただいている森好美さんの、原曲の魅力を余すところなく引き出すような音楽音楽した実施も見事ですが、きゃっつさんの個性的な通奏低音実施もまた、「音を楽しむ」ものである音楽において、本当に真摯な取り組みであり、その成果はすばらしいものです。

 シックハルトという、ある意味では「一度は忘れられていた」作曲家を現代によみがえらせるのに、きっときゃっつさんのお力を得た私たちの提案が役に立てるのではないか、と私たちは期待しています。

★シックハルトの存在価値★

 と言っても、シックハルトのソナタが、プロ奏者のみなさんのステージで取り上げられるようなことは、今後もあまりないでしょう。私たちが目指しているのはそんなことではないし、そもそも、シックハルトのソナタはそんなことのためにある曲ではないのです。これはアマチュア奏者が演奏して楽しむのための音楽です。そして、そこにおいては、本当に楽しく愉快な作品として、俄然、光輝いてきます。

 そう、シックハルトがバッハやヘンデルに匹敵するほど偉いかどうかなど、実は私たちにとってはどうでもよいことなのです。彼の作品もまた、演奏して楽しむ私たちにとっては、バッハやヘンデルの作品と同様に楽しい、存在価値のある作品だということ。それで十分だし、シックハルトもきっと、それを最高の名誉だと感じて心から喜んでくれることでしょう。

収載曲

[1] ソナタ ト短調 作品30-16
  作曲: シックハルト
[2] ソナタ 変イ長調 作品30-17
  作曲: シックハルト
[3] ソナタ 変イ短調 作品30-18
  作曲: シックハルト

商品詳細

発売日 2017/7/1
ページ数 32
JAN 4571325246986
ISBN 9784862665775
楽器 リコーダー
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