1人でギターの練習をしていると、知らぬ間に間違ったやり方をしているなんてことがある。言葉は知っていても、実際にどうやるか分からなくて、「変なクセがついちゃった!」な~んて結果にもなりかねない。方向を間違うことはあっても努力だけは怠らないザセツ君と、ギター奏法の基礎を一緒に学んでいこう!
【プロフィール】
左:ザセツ君 (本名: 財園寺せつ夫)
指がかじかむ季節。そうなってはギターが弾けないということで、手袋やカイロで指の保温に余念がないザセツ君。徹底しすぎてハンドクリームを丹念に塗る姿が、女子に軽く引かれてしまうことも……。
中央:ジョン先生
ザセツ君が通う高校の英語(グラマー)教師で、軽音部の顧問。名前だけで選んだ妻のヨーコには頭が上がらない自称・永遠の40歳。
右:剛田さつき
吹奏楽部で学園のマドンナ。軽音部に顔を出しては、高校生とは思えない超絶サックスソロで周りの度肝を抜く。実家は街の老舗ジャズ喫茶『ビバップ』。
解説/竹内一弘 マンガ/ Dobby.
◉自己流フォームじゃマズイかも
アルペジオを弾くときの右手のフォームはだいたい決まっているんだけど、もしも自己流でとんでもないフォームで弾いていたとしたら、多分それが上手く弾けない原因かもね。自己流でもかまわないんだけど、まずは一般的なフォームもチェックしておこう。
◉親指が弦間隔を知らない
人差指、中指、薬指はそれぞれ3~1弦に固定することが多いんだけど、親指は6~4弦まで動くんだよね。狙った弦を確実にヒットするには、親指が弦の間隔を知っていなけりゃいけない。ずっと右手を見て弾くわけにもいかないからさ。
◉動かそうと思った指が動いていない
アルペジオとは意図した通りの順番で指を動かす必要がある。“人差指を動かそうと思って人差指を動かす”という当たり前に思える動作が、テンポが上がると実は簡単ではない。狙った通りに指を動かすには、各指の独立性を高めなきゃいけないんだ。
右手はボールを軽く握るようなイメージで指を曲げよう。指が伸びきっていたりすると上手く動かせないよ。次に右手の位置だが、完全にフリーにしてボディのどこにも触れていない状態のフォーム(図1)と、手刀部分をブリッジに乗せるフォーム(図2)がある。前者の方が指の動きに自由度があり、ピッキングする位置も自由に変えられるのでオススメだけど、後者は右手が固定されるため安定して指を動かせるメリットがある。両方試して弾きやすいほうを選ぼう。
親指を徹底的に鍛え上げて、狙った弦を確実にヒットできるようにしよう。こういうのは理屈じゃなくて、弾いた回数だけ身になり、弾けば弾くほど上手くなる。人差指=3弦、中指=2弦、薬指=1弦に乗せた状態で固定し、このフォームのまま親指だけで弾く練習だ(図3)。4弦を弾くつもりが5弦を弾いてしまったり、5弦を弾くときに6弦に爪が触れてしまったりと、なかなか難しい。Ex-1を最初はゆっくりなテンポで始めて、徐々にスピードを上げて弾けるように練習しよう。左手は知っているコードを押さえてもOK。
指の独立性を高めるためには、とにかく練習あるのみだけど、ところ構わずギターを弾けるわけではないので、ギターを持たずにできる練習方法を紹介しよう。図4で示した指番号に合わせて、Ex-2の順で指を動かす“エアアルペジオ”という方法だ。数字が縦に2つ並んでいるところは、弦を同時に弾はじく和音のイメージだよ。バリエーションAで慣れたら、音数の多いバリエーションBで練習しよう。
指先は実際に何かを叩くようにする。例えば、太ももに右手を乗せたりね。これなら電車の中でもできる! コツは、実際にギターを弾くイメージでリズミカルに指を動かすことだ。間違わないで動かせるようになるまでトレーニングする。慣れてくると、凄いスピードで動かせるようになるから、頑張って続けよう。
◉ワンパターンを徹底的に
ギターで伴奏をしたいだけなら、簡単なひとつのアルペジオだけでもそれなりに形にはなるので、とにかくワンパターンだけを徹底的に練習しよう。アルペジオには親指、人差指、中指の3本指で弾くスリーフィンガー奏法と、薬指を加えたフォーフィンガー奏法がある。
スリーフィンガーならEx-3のパターンが弾きやすいので、これだけを弾けるように頑張ろう。スリーフィンガーはだいたい16分音符のフレーズになるので、リズミカルに弾くことが目標だ。フォーフィンガーは下から順に上がっていくEx-4のパターンがもっとも簡単。親指さえ間違わなければどんなコード進行でもこのパターンで弾けてしまうよ。
(Go!Go! GUITAR 2014年1月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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