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RP シックハルト アルトリコーダーソナタイ短調 作品17-3
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★冊子
・スコア冊子(曲目解説、アルトリコーダー運指表つき) 16ページ
・別冊リコーダーパート譜 8ページ
★付属CD 内容
(1)各楽章の伴奏
(2)伴奏にリコーダー演奏を合わせた演奏例
(3)各楽章につき(1)と異なるテンポによる伴奏をいくつか収録
(4)上級者向け「バロックピッチ(A=415Hz)」による伴奏
※チェンバロ伴奏演奏はすべて石田誠司(デジタルサンプリング音源使用)
★収録曲の難易度(指回り難度)
第1楽章 C1
第2楽章 C1
第3楽章 C1
第4楽章 C1
★解題★
J.C.シックハルトの「12のソナタ 作品17」は、1712年から15年までの間に、アムステルダムのLogerから出版され、のちにロンドンのWalshから少なくとも2版にわたって再刊されました。若々しいエネルギーと大家の風格とを兼ね備えた、充実した力作ぞろいの作品集です。
★解説★
4つの楽章から成り、第1楽章の「グラウンド」ふうの趣向、第3・第4楽章での、1オクターブ跳躍をまじえながら主音(ラの音)を連打するモチーフの共通使用など工夫があり、傑作のひとつだと言えるでしょう。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子です。「グラウンド」のような音楽のつくりを取り入れて作られています。まず、通奏低音が半音階的下降を中心とする2小節の低音主題を奏すると、その低音に乗せてリコーダーが旋律主題を変奏しながら3度ほど演奏します。続いて推移部分でホ短調を経てニ短調に入り、ニ短調「グラウンド」の音楽をしばらく演奏。途中、リコーダーが「低音主題」を担当する場面もあります。やがてまた短い推移を挟んで元のイ短調でのグラウンドふう音楽になり、そのまま終結に向かいます。たった2小節のテーマをかなりの回数繰り返す音楽でありながら、ドラマ性の豊かな、みごとな音楽になっています。
第2楽章は4分の4拍子のアルマンドで、アレグロ(快活に)と指定されています。シックハルトが得意とした、16分音符の常動的な動きで織り成す快速なアルマンドですが、途中、付点16分音符で跳ねるリズムや32分音符を含む動きも出てきて、音楽にいっそうの生気を与えています。なお、後半部の開始小節となる不完全小節の拍数が合っていないのですが、たぶん作曲者も版元も「わかっていて」このように記譜したものと思われますので、弊社版でもそのまま踏襲しています。
第3楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)、4分の3拍子です。ふつうなら少し遅いテンポの曲が来てもいいところなのですが、このソナタでは快速楽章を持ってきました。まさに生き生きとした爽快な音楽で、とくに演奏しにくい箇所もなく、とても気持ちよく演奏できます。
第4楽章は8分の6拍子のジーグです。最初の不完全小節が、8分音符2つ分なのはかなり珍しい例でしょう。冒頭だけでなく、後半の開始も同じように「八分音符2つ」のアウフタクトを持っており、変則的な面白さがあります。32分音符の動きや「付点八分」の動きも含む音楽で、速さは「そこそこ」で生き生きした音楽になると思います。
J. C. シックハルト
~~快活で気持ちのいい音楽性~~
★群小作曲家の一人?★
ヨハン・クリスティアン・シックハルトはバッハやヘンデルとだいたい同年代の作曲家で、スウェーデン国王に仕えたかと思うとハンブルグに足跡を残しており、さらにバッハも一時期仕えたことで知られるケーテンの宮廷に抱えられたりと、北ヨーロッパ各地を転々としながら作曲活動を続け、最後はオランダに腰を落ち着け、そこで1762年に没したといいます。
このように転々とせざるを得なかったのは、しっかりした定職を持つことができるほどの才能のない、群小作曲家の一人だからだ・・・などと見下すようなことを言われたりもする人です。が、果たしてそう言ってしまっていいものでしょうか。
★アマチュア奏者たちに大人気だったシックハルト★
シックハルトには、両手でリコーダーを持って、今にも吹こうとしている(あるいは今演奏が終わったばかりといった感じの)様子をとらえた肖像画があります。
実際、彼はリコーダー・フルート・オーボエなどの演奏を行ったといわれています。だからこそ、シックハルトは、こうした楽器の特性と魅力をよく知っていて、これらの楽器にぴったりと合う音楽をつくる職人(当時、作曲家はすべて職人でした)として、非常に冴えた腕前を持っていたのです。バロック時代には、リコーダーやフルートを演奏して楽しむアマチュア奏者たちがたくさんいました。そして、シックハルトはそうした奏者たちにとても人気のある作曲家だったのです。生前、その作品が30冊以上も出版され、ヨーロッパ中で売られていたというのは驚くべきことです。
シックハルトが職を求めて転々としなければならなかったのは事実なのでしょう。しかし、その作品は人々から熱烈に支持されていたのです。今のように音楽著作権が保護されていない時代であったために、その作品の人気ぶりに見合うだけの収入を得ることができなかっただけだったのではないでしょうか。
もっとも、シックハルトは一度は忘れ去られた作曲家です。18世紀後半以後今日に至る時代は、音楽が「公開演奏会」やCD録音によって「お金を払って鑑賞する」という形で楽しむものになっていますから、そうした場面では、19世紀作品や、バロックでもバッハやビバルディーに比べて、ずっと地味で素朴なシックハルトの作品は、ほとんど愛されていないのは事実です。しかし、楽器演奏を楽しむアマチュア奏者たちは、親しみやすくてしかも爽快な、シックハルトの音楽の魅力をよく知っていました。
つまり、「演奏して楽しもう」と思っている私たちにとって、シックハルトはけっしてつまらない作曲家ではないのです。むしろ、ルイエなどと並んで、とてもたくさんのすてきな曲を作っておいてくれた、大切な作曲家だと言えるのではないでしょうか。
収載曲
[1] シックハルト アルトリコーダーソナタ イ短調 作品17-3
作曲: シックハルト
商品詳細
発売日 |
2020/1/1 |
JAN |
4571325248508 |
ISBN |
9784862668554 |
楽器 |
リコーダー |
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