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RP シェドヴィル ソナタ「忠実な羊飼い」第6番ト短調
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★冊子
・スコア冊子(曲目解説、アルトリコーダー運指表つき) 16ページ
・別冊リコーダーパート譜 8ページ
★付属CD 内容
(1)各楽章の伴奏
(2)伴奏にリコーダー演奏を合わせた演奏例
(3)各楽章につき(1)と異なるテンポによる伴奏をいくつか収録
(4)「バロックピッチ(A=415Hz)」による伴奏
※チェンバロ伴奏演奏はすべて石田誠司(デジタルサンプリング音源使用)
★収録曲の難易度(指回り難度)
第1楽章 B3
第2楽章 C1
第3楽章 B1
第4楽章 C3
★解題★
イタリアの人気作曲家・アントニオ・ヴィヴァルディーの名声は、ルイ15世治下のパリにまで轟いていました。しかし、ヴィヴァルディーの出版作品は1729年の「作品12」の協奏曲集を最後にとだえたままでした。これは印刷して出版するより署名入り自筆を売るほうが収入が多かったからではないかとみられています。
ところが1737年になって、「ヴィヴァルディーの作品13」と銘打った作品がパリで出版されました。しかしそれは協奏曲集ではなく、ミュゼットなどの独奏楽器と通奏低音のための6曲から成るソナタ集でした。これがすなわち「忠実な羊飼い」とよばれる曲集で、実はこれは、パリ・オペラ座のミュゼット(一種のバグパイプ)奏者にしてミュゼット教師としてもパリの貴婦人たちに大人気だった、ニコラ・シェドヴィルという人が、ヴィヴァルディーの名をかたって出版したものだったのです。むろん高名なヴィヴァルディーの作品であると偽ることによって、よく売れるようにと願ってのことだったのでしょう。シェドヴィルの手口は周到にして巧妙で、真作らしく見せるために、ヴィヴァルディーの協奏曲を改作した楽章を混ぜたりしてありました。
こうして世に出た「忠実な羊飼い」は、以来、怪しまれながらもいちおうヴィヴァルディーの作品として伝えられてきました。とくに2番・ハ長調や6番・ト短調はよく親しまれており、多くの演奏家が演奏会でも録音でも取り上げてきました。近年の研究で、ようやくここでご紹介したような事情が明らかになり、「忠実な羊飼い」はシェドヴィルの作品とみられるようになったのです。
むろん、シェドヴィルがこの作品を世に出すときにやったことは感心しませんが、曲のほうはさわやかな田園情緒をたたえた佳品がそろっています。リコーダー用の曲だとは言われていませんが、作曲者の指定は「ミュゼット、ヴィエール※、フルート、オーボエ、またはヴァイオリンと通奏低音」で、これだけたくさんの個性の異なる管楽器・弦楽器の名を並べているのですから、要するに独奏楽器であれば何で演奏したっていいということです。その上、音域的には「4番・イ長調」に「低いミ」が出てくるのだけが例外で、ほかはすべてアルトリコーダーの音域にジャストフィット。これをリコーダーで楽しまない手はありません。
※ 当初「ヴィオール」とあったのは誤りでした。きこりさん、ご指摘ありがとうございました。(2005.12.31.)
※ 「シェドヴィーユ」でなく「シェドヴィル」と表記するのが正しいことがわかりましたので、従来の表記を改めました。(2006.06.10)
★解説★
6番・ト短調のソナタはプロ奏者もよく取り上げてきた人気の作品です。しかし演奏は「6曲中、突出して難しい」(堀川智也さん)。ことに第4楽章は難しいのですが、これは偽作者・シェドヴィーユが真作を装うためにヴィヴァルディーのヴァイオリン協奏曲(作品4-6)を下敷きに書き直したものだそうで、さすがに音楽としては魅力があります。
曲は4楽章から成っています。
第1楽章はVivace(生き生きと)で、踊りの曲のような感じ。田園ふうの素朴さと洗練が共存し、しかも濃厚な情緒をたたえた、ふしぎな魅力のある名品です。
第2楽章はアラ・ブレーヴェ(2拍子で)のフーガ。第4楽章のモチーフとの関連を感じさせる印象的なテーマ、がっちりした力強い展開で、シェドヴィーユが立派な腕前を持つ作曲家だったことがよくわかります。
第3楽章はラルゴ(幅広く)と指定されたシチリアーノふうの曲で、和声に工夫があって美しい。
第4楽章はアレグロ・マ・ノン・プレスト(快活に、しかし速くないテンポで)と記された爽快な音楽。下敷きにしたというヴィヴァルディーの協奏曲楽章がすでにそうであったのかどうか、「反復進行」による表現が随所にみられるのが特徴で、ちょっとワンパターンか?と思うほどですが、しかしイヤでも耳に残る魅力を持つことは否定できません。音楽は歯切れがよくリズム感も新鮮で多彩、たいへん楽しくできています。
N. シェドヴィル
~~パリの貴婦人のミュゼット教師~~
★パリ・オペラ座のミュゼット奏者★
ニコラ・シェドヴィル(1705年~1782年)は、管楽器奏者としてフランス王宮に仕えた、たいへん人気のあった演奏家・指導者でした。専門はオーボエとミュゼット(当時流行っていたバグパイプに近い楽器)で、兄とともにパリ・オペラ座の管弦楽団や王室室内楽団の奏者として、また貴婦人たちを相手とする音楽教師として大活躍していたといいます。
その彼が、ミュゼットで演奏されることをおもな目的として書いたのが、6曲から成るソナタ集「忠実な羊飼い」でした。題に使われたのはルネサンス時代のイタリアの詩人グリアーニの劇作品の名前で、当時のパリでは、ルイ14世時代の貴族趣味に対する反動として「田園趣味」が広まっていたのです。もともとミュゼットという楽器からして農民が使っていた楽器で、こんな楽器が流行ったこと事体、田園趣味の表れでした。時代の波に乗って成功したシェドヴィルは、晩年は破産したりして不遇だったようですが、まずまず幸福な音楽家だったといえるでしょう。
★「忠実な羊飼い」のほんとうの作曲者★
シェドヴィルは今日ではすっかり忘れられたも同然の人でしたが、ヴィヴァルディーの作品として親しまれてきた「忠実な羊飼い」という6曲から成るソナタ集は、フルートやリコーダー、ミュゼットなどでよく演奏され、愛されてきました。そして、これが実はシェドヴィルの作品であったことがつきとめられたため、シェドヴィルの名はリコーダーファンの間ではよく知られる結果となりました。
収載曲
[1] ソナタ「忠実な羊飼い」第6番ト短調
作曲: シェドヴィル
商品詳細
発売日 |
2020/5/1 |
サイズ |
A4 |
ページ数 |
24 |
JAN |
4571325249154 |
ISBN |
9784862668011 |
楽器 |
リコーダー |
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