第4楽章は8分の12拍子で、独奏楽器は3音セットの下降分散和音を連ねることにほとんど終始して進められる音楽です。それとともに、二部形式の前半・後半ともに独奏楽器に最後の終止音がなく、寸前で吹き終えるようになっているのが顕著な特徴です。これについてはバッハのマニフィカトBWV243に類例があるのがわかりましたが、バッハの作は1723年なので、ベリンツァーニのソナタ(1720年出版)の方が先例です。そして、バッハのこの処理については、デイヴィッド・マンロウのCD'The Art of the Recorder'のマンロウ自身によるライナーノートに「富める者は空腹のまま帰らされることを私たちに思い出させます(井上亨訳)」とあり、なるほどバッハの場合はそうだったらしい。しかしベリンツァーニの意図は奈辺にありや、依然として私にはわかりません。ともあれ、独創的で力強いみごとな終曲であることは誰もが認めるのではないでしょうか。