前2曲からの直接的な引用はありませんが、前2曲の色合いや香りをほのかに映し出し、組曲としての対比と統一感のバランスを探りました。例えば、『シシリアン』の最後の響き(C dur 1度のG音)から『金木犀』の最初の音(3オクターブ下のG音)へふわりと引き継ぎ、爽やかで透明感ある C durから、ふと日が陰るような平行調 a mollの憂いあるイントロへと繋がりを持たせました。また、【A】や【E】(特にピアノパート)では『ボブ』的な半音の使い方、レトロな色合いを混ぜ込み、『シシリアン』で多用されるツーファイブ進行を『金木犀』の“ここぞ”という高まりの部分(63小節・緑の充実を~)で用いる、など。テンポ感や色調は『シシリアン』と離すことを意識して。 そして、私なりのバトンをお渡しした後の終曲では、拙作を含む3曲のモチーフが彩り豊かに引用・活用され、新鮮な喜びを感じました!