1人でギターの練習をしていると、知らぬ間に間違ったやり方をしているなんてことがある。言葉は知っていても、実際にどうやるか分からなくて、「変なクセが付いちゃった!」な~んて結果にもなりかねない。方向を間違うことはあっても努力だけは怠らないザセツ君と、ギター奏法の基礎を一緒に学んでいこう!
【プロフィール】
左:ザセツ君 (本名: 財園寺せつ夫)
夏休みはギターと一緒だったザセツ君。秋の学園祭デビューを夢見てすでに緊張状態。ギターを左右逆に持ってしまい“シゲルかっ!”とツッこまれるも、“そんなに灼けてないのに……”とまさかのダブルボケ!!
右:ジョン先生
ザセツ君が通う高校の英語(グラマー)教師で、軽音部の顧問。名前だけで選んだ妻のヨーコには頭が上がらない自称・永遠の40歳。
解説/竹内一弘 マンガ/ Dobby.
◉ルートを意識していない
コード進行を文字列として覚えようとしても限界があるよね。元素記号が簡単には覚えられないのと同じだ。しかもコード進行は曲ごとに違うわけだから、記憶の天才でもない限り無理ってもの。ではどうやって覚えるか? 流れを覚えるんだ。
◉キーが鍵(キー)であることを知らない
コード進行を覚えるときにキーを意識しているだろうか? キーとコード進行には密接な関係があるので、キーを知らずにコード進行を覚えようとしても疲れるだけなんだ。キーが分かれば自動的に7つのコードが浮かび上がるって知ってた?
◉頭から最後までガチで覚えようとしている
もしかしてイントロの最初のコードからエンディングのコードまでガチで覚えようとしてる? もしもそれができるなら数学者か物理学者を目指そう! “ 現象には必ず理由がある”じゃなくて…、曲には設計図がありコード進行にもパターンがある。要領よくやんないとね。
コード進行をコードフォームの動きとして覚えるのもひとつの手だが、もう一歩踏み込んでルートの動きとしても把握しておこう。このあとの[ポイント2][ポイント3]とも関係する話だが、基本的にコードのルート音とキーの音階は一致する。つまり、キーの音(7音)がそのままコードのルートとして使われるので、アレコレ悩まずとも簡単に絞り込めるわけ。それから、6弦→5弦(5弦→4弦)の同フレットへルートが動くパターンが多いのにも気づくだろう。これは4度進行といって、音楽全般で好んで使われるコード進行なんだ(図1)。
キーを調べるには楽譜の調号を見る。キーとは“その曲のメロディーやコードで使われる7つの音”を示していて、例えばキーG ならソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファI の7音が使われる。そして、この7音の組み合わせで作った7つのコードをダイアトニックコードといい、基本的にコード進行はダイアトニックコードで作られる(図2)。
つまり、あんなに複雑に見えたコード進行も実は7個の組み合わせ。例外もあるけど、それは特徴的なコードなので逆に覚えやすい。[ポイント1]のルートの動きとダイアトニックコードを組み合わせれば、効率良くコード進行が覚えられるだろう。Ex を弾いてみて! なんとなく覚えやすくなった気がしないかい?
一般的な曲なら、テンポにもよるけど軽く100小節以上はあるよね。だからコード進行を1小節目から順に覚えていくなんてナンセンス。図3のように、曲はAメロ、Bメロ、サビのようにいくつかのセクションからできていて、これらのパーツを並べることで1曲分の長さになる。Aメロ、Bメロは曲中2回は出てくるし、サビが3回あることもある。
つまり、セクションごとのコード進行とセクションの並び、つまり曲の構成を覚えれば1曲分のコード進行だってそんなに苦労せずとも覚えられるのだ(図4)。楽譜には「Intro」「A」「B」といったリハーサルマークが振ってあるから目安にしよう。
◉堂々とカンペを用意する
とはいえ、ライブで演奏する10 曲のコード進行を完璧に覚えるのは大変だし、ステージではアガッてしまい頭が真っ白になることもある。ということで、本番ではカンペを堂々と見よう!
実はプロだってコード進行をすべて覚えているわけじゃないし、1時間30 分のライブをミスなくこなすために譜面台を立てるギタリストも多いんだ。その譜面台に何がセットされているかというと簡単なコード譜ということが多い。メロディーや歌詞まで書くと譜面が長くなってしまい、譜面をめくりながらの演奏になってしまう。演奏しながらだとそれもなかなか大変なので、1枚の紙に収まるようにコード進行だけを書いたコード譜を準備するんだ。
図5に記したように、コード譜は1段4小節、そしてセクションごとにリハーサルマークをつけよう。リピートやダルセーニョといった反復記号も使う。反復記号は慣れるまでが大変かもしれないけど、曲全体がすっきり見えるし構成もス〜っと頭に入ってくるから、読み方を必ずマスターしておこうね。
(Go!Go! GUITAR 2013年10月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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