1人でギターの練習をしていると、知らぬ間に間違ったやり方をしているなんてことがある。言葉は知っていても、実際にどうやるか分からなくて、「変なクセが付いちゃった!」な~んて結果にもなりかねない。方向を間違うことはあっても努力だけは怠らないザセツ君と、ギター奏法の基礎を一緒に学んでいこう!
【プロフィール】
左:ザセツ君 (本名: 財園寺せつ夫)
夏休み真っ只中のザセツ君。父に家族旅行のリクエストを聞かれ、ナッシュビルのある「テネシー」と答えるも、行った先はなんと東京西部の「田無(たなし)」……。勘違いは父譲りか。
右:ジョン先生
ザセツ君が通う高校の英語(グラマー)教師で、軽音部の顧問。名前だけで選んだ妻のヨーコには頭が上がらない自称・永遠の40歳。
解説/竹内一弘 マンガ/ Dobby.
◉コードフォームを憶えていない
コードC といって即座に押さえられるかな? 「えーっと」と考えているようではスムーズなコードチェンジは難しいよね。コードブックに載っている基本的なコードフォームと、これから弾こうとする曲のコードは完璧に憶えておこう。
◉目の前しか見ていないの?
コード譜を見ながら弾くことが多いと思うけど、今弾いている小節が弾き終わってから「次の小節のコードは何かな?」なんて悠長なことをやってたらスムーズなコードチェンジは夢のまた夢。常に先を見ながら弾くことを心がけよう。
◉物理的な時間を考えよ
“素早いコードチェンジ”なんて言葉に騙されちゃダメ。コードチェンジは左手を押さえ替えるわけだからどう頑張ったって“ 隙間” ができるわけ。その隙間を“ なくす” のではなく“ 埋める” という発想にすると、いろんなことが一気に解決する。
「このコードはどうやって押さえるんだっけ?」と考えていてはスムーズなコードチェンジはできないので、その曲で使われるコードフォームは事前に完全暗記しておこう。まだコードをあまり知らないのなら、まずはその曲で使われているコードを集中的に頭に叩き込む。そうすれば使用頻度の高いコードから自然に憶えられるからね。例えば、Ex-1で4つのコードを憶えられるわけだ。
何回か弾いたらタブ譜を見ないで弾いてみよう。ほら、コードネームだけで弾けるようになったでしょ?
次のコードが分かっていればコードチェンジも楽だよね。楽譜を見ながら弾くときは常にコードを先読みしよう。具体的には、今弾いている小節の3拍目か4拍目に差し掛かったら次の小節のコードをチラ見する(図1)。歌いながら、弾きながら、次のコードはアレだと分かっているので心の準備ができて余裕を持ったコードチェンジができるようになるんだ。
悪い例は、今弾いていることに精一杯で次の小節のことなど眼中にないというパターン。これでは数秒ごとに現れるコードチェンジに対応できるはずもない。Ex-2で実践してみよう!
コードチェンジは左手を押さえ替える動作なので、どうしても音が一瞬止まる(消える)。これは確かに気になるのだけど、だからといって素早いコードチェンジの訓練をしたところで限界がある。
それではどうやって弾くかというと、コードチェンジ直前の4拍目ウラは“コードを押さえないで弾く”のだ。つまり、開放弦を鳴らしちゃって、この間にコードチェンジを行う(図2)。コードとは無関係な開放弦を鳴らすことに抵抗があるかもしれないが、実際はほとんど気にならないので安心してほしい。開放弦は1〜6弦をガツンと鳴らすのではなく、2〜4弦あたりを軽く引っ掛けるという程度にするとコードチェンジによる音の隙間をいい感じで埋めてくれるよ。Ex-3で試してみよう。
◉パワーコードという奥の手
コードはたくさんの弦をいっぺんに押さえなきゃならないので難しいわけだ。ならばいっそ、たった2本の弦で成り立つパワーコードを使ってみよう。ポジションはコード・ネームの最初のアルファベットの音(ルート)を5弦、6弦で見付けられればOK(図3)。例えば、コードCだったら5弦3フレットを人差指、4弦5フレットを薬指で押さえるだけ。コードDだったらフォームはそのままで人差指の位置を5フレットにずらすだけなのだ。フォームはこの1つだけなので憶えるのも簡単!(ルートが開放弦の場合は人差指1本だけを使う)
コード・ネームとパワーコードの関係を図4で確認し、さらにEx-4でパワーコードの便利さを体感しておこう。コードチェンジ(押さえ替え)が楽になった分、歌に集中できるぞ!
ちなみに、このパワーコードで弾き切るという手法はロックでは当たり前の弾き方なんだ。エレキのディストーションサウンドで弾くとパワーコードはとても攻撃的な響きになり、普通にコードを弾くよりもカッコ良くなる。コードのパワーコード化はできるだけローポジションで、ルートを5、6弦に限定すると弾きやすさと迫力が両立するのでオススメ。
(Go!Go! GUITAR 2013年9月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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