1人でギターの練習をしていると、知らぬ間に間違ったやり方をしているなんてことがある。言葉は知っていても、実際にどうやるか分からなくて、「変なクセがついちゃった!」な~んて結果にもなりかねない。方向を間違うことはあっても努力だけは怠らないザセツ君と、ギター奏法の基礎を一緒に学んでいこう!
【プロフィール】
左:ザセツ君 (本名: 財園寺せつ夫)
音色作りにすっかりハマり、お母さんからも「アンタ上手くなったんじゃない?」と褒められた! 喜んだのもつかの間、町内の奥さまカラオケサークルの音響係にさせられちゃったよ( ゚´ Д`゚)
右:ジミ先生
物理の先生で科学部の顧問。エフェクター作りが趣味で、エレキのことはこの人に訊け!と評判。老けてみられるが実は27歳。日サロ通いが欠かせない。
解説/竹内一弘 マンガ/ Dobby.
エフェクターはその効果によってカテゴリーわけされている。空間系とは、残響音にかかわるエフェクターのことで、普通はディレイとリバーブを指す。これらを使うと音に距離感や臨場感を与えることができる。
ディレイとは音が遅れて反射すること。山で「ヤッホー!」と叫べば、少し遅れて「ヤッホー!」と返ってくるよね。これは、声が遠くにある山に反射している状態だ。これがディレイの基本。やっぱり、空間を表現していることがわかるよね。ディレイといえば昔は山びこディレイしかなかったが、現在のディレイはものすごく多機能だ。これらはギターアレンジそのものが激変するほどのパワーを秘めている。
リバーブは音の反響をシミュレートするもの。リビングルームやお風呂場、トンネルなど、場所が違えば音の反響が違うように、音が響く場所の広さを表現するエフェクターだ。ギタリストにとってのリバーブは、ギターアンプに内蔵されているスプリングリバーブがお馴染みだけど、エフェクターとしてはデジタルリバーブが主流で、ルーム、ホールなど様々な空間を設定することができる(図1)。
ディレイには通常3つのパラメーターが備わっている。各ツマミの役割は図2のとおりで、これは実際にエフェクターを触ればアッという間に理解できるほどシンプルだ。それぞれのツマミの効果を簡単に説明しよう。
エフェクトレベルは大きくするほど反射音がはっきり聴こえるようになる。エフェクトレベルを下げれば隠し味的な効果になり、上げれば原音との絡みによって反射音をフレーズの一部として組み込むことも可能。フィードバックは山びこの回数を指定するもので、上げるほどに空間の広さが表現できる。ディレイタイムは設定のキモになる部分だ。数値を下げれば原音に対しわずかな空間を与えることになり、音に厚みが増す。これはショートディレイと呼ばれる設定。ギターソロではディレイタイムを大きくして、広い空間を表現することもあるよ。
ディレイタイムは曲のテンポに合わせることが多い。例えば、8分音符、16分音符、付点8分音符の長さに設定するなど。曲のテンポに対する正確なディレイタイムを割り出す計算式はあるが、通常はそんな面倒なことはせず、タップテンポという機能を使う(図3)。これは、リズムに合わせて2回ペダルを踏めば自動的にディレイタイムが設定される機能だ(最近の多機能なデジタルディレイには搭載されていることが多い)。
●ギターソロ
ロングディレイ(8分音符以上の長さ)にするとギターソロに厚みが出て、かつ幻想的な空間の広がりが表現でき、少し奥に引っ込んだ音像になる。
●ディレイをフレーズの一部にする
昔はアナログディレイしかなく、そのタイプは数値でディレイタイムを設定できなかったし、値もせいぜい4分音符程度が限界だった。しかし、現在はデジタルディレイが主流で、なかには40秒ものディレイタイムをもつ機種もある。緻密な設定が可能になったことでディレイ音をフレーズの一部として使う方法が一般的になったのだ。色々なディレイタイムで試行錯誤してほしいが、オススメはズバリ、付点8分音符。この設定にするとリズム的に面白いフレーズが生まれるぞ(譜例)。
リバーブは自然に存在するものだよね。無響室(まったく音が反射しない特殊な部屋)でない限り、音を発したらどんな場所でも必ず残響音が鳴る。そして、その残響音は環境によって響きが違うんだ。壁が木かコンクリートかで部屋では響きが違うことは想像できるだろう。その性質をエフェクターで設定する部分が図4のモードだ。SPRINGはギターアンプに入っているスプリングリバーブ、PLATEはプロ用のレコーディングスタジオにある鉄板を使った大きなリバーブ装置、HALLはコンサートホールの残響、ROOMは部屋の残響をシミュレートしている。エフェクト音やリバーブ音に包み込まれる感じがそれぞれ違うので、色々試してみよう。
お風呂で歌うと気持ちいいように、リバーブの響きはなかなか心地よいものだ。だからといって、いつもリバーブをONにするのはNG。リバーブは音の輪郭をぼやけさせるので、バラードなどは深めにして柔らかいギタートーンを出してもよいが、タイトでリズミカルな曲でリバーブをたっぷりかけると曲に馴染まないからね。例えば、イントロはリバーブを深めにかけて、AメロになったらOFFなんて使い方がメリハリがあってよいかも。
ディレイとリバーブの接続順は、ディレイ→リバーブが一般的だ。でも、逆に接続しても面白いぞ。こういったことは頭で考えてもしょうがないので、まず実行! エフェクターの接続順に決まりはないので、あらゆる組み合わせを試してみよう(図5)。そうやって実験していると、思いがけずユニークなサウンドができることもあるからね。
(Go!Go! GUITAR 2015年4月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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