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作曲をはじめてみよう! 第5回 ~アーティストの作曲術を学ぶ②~

作曲をはじめてみよう! 第5回 ~アーティストの作曲術を学ぶ②~

好きな曲を演奏できるようになったら、次は自分だけのオリジナル曲を作ってみませんか? 本記事では、作曲未経験の方でもすぐに実践できる作曲テクニックをご紹介します。 最終回となる第5回は「アーティストの作曲術を学ぶ ②」。 前回に引き続き、書籍『ポール・マッカートニー作曲術』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)より、今回はポールのコード進行におけるテクニックをご紹介。コードの基礎知識については第3回でも触れていますので、あわせてチェックしてみてください。   ◆ この記事で学べること 01 ポールらしさの決め手!「マッカートニー・コード」とは? 02 使えるポール・ライクなコード進行   【01】ポールらしさの決め手!「マッカートニー・コード」とは? まず、ポールらしさ=ビートルズっぽさを表現できる基本のコードテクニック(マッカートニー・コード)をいくつか紹介します。わかりやすくハ長調で紹介しますが、度数表記という汎用性のあるコード表記も参考として併記します。   ■ 最重要マッカートニー・コード「♭Ⅲ、♭Ⅵ、♭Ⅶ」 「♭Ⅲ、♭Ⅵ、♭Ⅶ」のコードとは、長音階(メジャー・スケール)の主音から数えて、短3度(♭Ⅲ)、短6度(♭Ⅵ)、短7度(♭Ⅶ)……の音を根音にしたメジャー・コードのことです。ハ長調で言えば、E♭、A♭、B♭の各コードとなります。 このコードを使うと、その部分のサウンドが突然、ビートルズっぽく、ポールっぽく薫るのです。本書では、「マッカートニーのフラットⅢⅥⅦ(367)」と呼ぶことにします。   譜例1 ハ長調のマッカートニー・コード   譜例1の上段は、通常のハ長調長音階(「ドレミファソラシド」)の上に3度ずつ音を重ねたダイアトニック・コードです。ドから数えた音程(完全1度、長2度……)と度数表記(ディグリーネーム=Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ……)が書き込んであります。 ポイントは譜例下段。ミのフラット(短3度=♭Ⅲ)、ラのフラット(短6度=♭Ⅵ)、シのフラット(短7度=♭Ⅶ)の上にあるコードE♭、A♭、B♭がポールのサウンド・スパイス(マッカートニー・コード)なのです。楽器をお持ちの方は、「C-Am-F-A♭」や「F-G-A♭-B♭-C」を弾いてみてください。その響きのポールっぽい感じがわかると思います。   ■ ポールなサブドミナント・マイナー「Ⅳm」 譜例1のⅣはメジャー・コードですね。このコードは、理論的にはサブドミナント(下属和音)と呼ばれています。これをマイナー・コードにしたものがサブドミナント・マイナー(Ⅳm)です。メジャーの曲の途中にマイナー色の強いⅣmを響かせることで、曲想をガラッと変えることができるのです。 ポールはこの響きが大好きです。ニュアンスとしては、明るい曲想の中に、瞬間の寂しさや切なさ、儚さなどを挿入する感覚です。具体的には、ピーター&ゴードンに書いた「A World...

作曲をはじめてみよう! 第4回 ~アーティストの作曲術を学ぶ①~

作曲をはじめてみよう! 第4回 ~アーティストの作曲術を学ぶ①~

好きな曲を演奏できるようになったら、次は自分だけのオリジナル曲を作ってみませんか? 本記事では、作曲未経験の方でもすぐに実践できる作曲テクニックをご紹介します。 第4回は「アーティストの作曲術を学ぶ ①」。好きなアーティストの楽曲を分析してみることで、作曲の幅がもっと広がるかもしれませんよ! 今回は、世界的バンドであるザ・ビートルズのメンバー、ポール・マッカートニーが作るメロディーに秘められたテクニックを、書籍『ポール・マッカートニー作曲術』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)より抜粋してお届けします。少しマニアックな内容もありますが、ぜひ楽曲も聴きながら読んでみてください。   ◆ この記事で学べること 01 音域で考えるメロディーの作り方 02 基本に忠実なシンプル美メロディー 03 3回リピートの法則で光るメロディー 04 ワン・アイデアで光るメロディー   【01】音域で考えるメロディーの作り方 歌ものの作曲をする場合、メロディーの音域(メロディーの最高音から最低音までの度数)は非常に重要なポイントとなります。メロディーの音域と歌う人の声域が合っていないと、せっかくのメロディーも活きてきません。 一般の人にも楽に歌えるようにメロディーの音域を調整することが、実はとても重要なのです。ポールはそのあたりをとても大切に考えて、プロの作曲家として音域を計算(意識)したメロディー作りをしています。   ■ 音域を狭くする たとえば、童謡風の楽曲なら子供にも歌えるように、音域を狭めに作曲しています。だから「Yellow Submarine」の音域は1オクターブ(8度)に抑えて書いているのです。同様に、「All Together Now(オール・トゥゲザー・ナウ)」は7度、「Mary Had A Little Lamb(メアリーの子羊)」のAメロは6度と、狭く作られています。 声域の狭いリンゴ・スターがぎりぎり出せるもっとも高い音(ミ)を使うことで、パワフルな楽曲にしよう。そんな計算で、「With a Little...

作曲をはじめてみよう! 第3回 ~コードをつけてメロディを彩る~

作曲をはじめてみよう! 第3回 ~コードをつけてメロディを彩る~

好きな曲を演奏できるようになったら、次は自分だけのオリジナル曲を作ってみませんか? 本記事では、作曲未経験の方でもすぐに実践できる作曲テクニックをご紹介します。 第3回は「コードをつけてメロディを彩る」。メロディを彩る伴奏をつけるためのコードの基礎をお教えします。また、ヒット曲定番のコード進行もご紹介します。 今回もヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスから発売中の書籍『ゼロからの作曲入門~プロ直伝のメロディの作り方~』より抜粋してお届けしますので、もっと作曲のことを知りたくなった方はぜひこちらも手に取ってみてください。   ◆ この記事で学べること 01 コードの基礎知識 02 メジャーコードとマイナーコード 03 最重要のダイアトニックコード 04 コード進行からメロディを作ろう   【01】コードの基礎知識 メロディのバックには伴奏がつきもの。その伴奏のもととなるのが「コード(和音)」であり、コードの流れを示す「コード進行」です。コードの勉強にあたっては、鍵盤やギターなどの和音が出せる楽器を用意し、誌面の楽譜を鳴らしながら読み進めるといいでしょう。   ■ 高さの異なるふたつ以上の音が重なった状態が「コード」 音楽において、ひとつの音のことを「単音」と呼びます。そして高さの異なるふたつ以上の音が重なった状態を「コード(和音)」といいます。ピアノやギターのような楽器で、複数の音を同時に鳴らす演奏のことを「コード演奏」などと呼びます。 作曲時に主に使うコードは、3 つの音の重なり「3 和音」と、4 つの音の重なり「4 和音」です。代表的な3 和音は、「ド・ミ・ソ」から構成されるコード「C」です。4 和音の例は「ド・ミ・ソ・シ」から構成されるコード「Cmaj7」(シーメジャーセブンと読みます)などです。     ■ 度数について 度数の基本は、「全音階上で、もとの音を1...

作曲をはじめてみよう! 第2回 ~1コーラス作ってみよう~

作曲をはじめてみよう! 第2回 ~1コーラス作ってみよう~

好きな曲を演奏できるようになったら、次は自分だけのオリジナル曲を作ってみませんか? 本記事では、作曲未経験の方でもすぐに実践できる作曲テクニックをご紹介します。 第2回は「1コーラス作ってみよう」。前回学んだ短いメロディの作り方を応用して、一般的なJ-POP楽曲でよくある1コーラスの展開を作ってみましょう。 今回もヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスから発売中の書籍『ゼロからの作曲入門~プロ直伝のメロディの作り方~』より抜粋してお届けしますので、もっと作曲のことを知りたくなった方はぜひこちらも手に取ってみてください。   ◆ この記事で学べること 01 コーラスでの感情の動きを知る(Aメロ編) 02 コーラスでの感情の動きを知る(Bメロ編) 03 コーラスでの感情の動きを知る(サビ編)   【01】コーラスでの感情の動きを知る(Aメロ編) 現在のJ-POPでは、以下のような構成が多くあります。  [イントロ]―[A]―[B]―[C(サビ)] 1コーラスの中で、「歌詞の中の感情」がどのように動き、メロディにどのような影響を受けるか考えてみましょう。   ■ Aメロは状況説明! [1]感情の方向 → 比較的淡々と Aメロは[状況説明、日常]を担います。暑いのか、寒いのか、楽しいのか、悲しいのか、主人公や中心となる人物が置かれている立場を説明するパートです。感情表現はそれほど激しくないパートですが、曲によっては例外もあります。 [2]音域と言葉のリズム → 日常会話のリズム 読み聞かせに近いため、日常会話するような速度になる音符をチョイスし、会話のリズムに近づけると、歌詞がはっきり聴き取れて耳に残りやすくなります。 [3]音程の意識 → 会話のイントネーションに近く Aメロは先述の通り日常会話に近い音程で歌う「読み聞かせ」に近いパートです。音符同士の音程が大きいと不自然な話し方になりますね。...

作曲をはじめてみよう! 第1回 ~短いメロディを作ろう~

作曲をはじめてみよう! 第1回 ~短いメロディを作ろう~

好きな曲を演奏できるようになったら、次は自分だけのオリジナル曲を作ってみませんか?本記事では、作曲未経験の方でもすぐに実践できる作曲テクニックをご紹介します。第1回は「短いメロディを作ろう」。誰でも鼻歌で簡単にできるメロディの作り方を伝授します。ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスから発売中の書籍『ゼロからの作曲入門~プロ直伝のメロディの作り方~』より抜粋してお届けしますので、もっと作曲のことを知りたくなった方はぜひこちらも手に取ってみてください。   ◆ この記事で学べること 01 音が2種類のメロディを歌う 02 ピッチ(音の高さ)を一部だけ変える 03 ピッチを全部変える   【01】音が2種類のメロディを歌う 作曲の第一歩としては、2 音や3 音といった「短いメロディ」を鼻歌か口で歌ってみるのが一番です。歌うのが嫌な人は、頭に浮かんだメロディをアプリや楽器で鳴らせばオーケーでしょう。■音が2種類のメロディを歌う 実際に、お題に沿って口で歌ってみましょう。まずは2 種類の音の高さのメロディから歌ってみます。   ■ 2 音を行き来するパターン   ■ 同じ音を連打するパターン   これらは、レとミだけのメロディです。「ミとレを行き来する」ようなメロディや、「どちらかの音を連打する(ミ・ミ・ミー♪など)」ようなメロディが作れます。「次の音はどんな高さにしたいか」を考えて歌ってみましょう。    【02】ピッチ(音の高さ)を一部だけ変える ピッチの一部だけ変えてみましょう。ピッチとは「音の高さ」のことです。音(音符と休符)は、「音の長さ(リズム)」と「音の高さ(ピッチ)」で表されます。ここでは前ページで紹介した「繰り返しの例」のメロディを使い、ピッチの一部を変えてみます。   ■ ピッチの一部を変更した例  ...

低音の魅力に触れよう!ちいぱんの楽しく弾けるエレキベース入門  #12(最終回)[実践編]これまでの奏法を活用したまとめフレーズ 【produced by Go! Go! GUITAR】

低音の魅力に触れよう!ちいぱんの楽しく弾けるエレキベース入門  #12(最終回)[実践編]これまでの奏法を活用したまとめフレーズ 【produced by Go! Go! GUITAR】

こんにちは!ちいぱんです。 長く書かせていただいたちいぱんのベース講座ですが、今回は今までのまとめ編になります! 今までいろいろな奏法をご紹介させていただきましたが、その中から複数取り入れてひとつの譜面を作ってみました。 ぜひ今までの記事も思い返しながら弾いてみてくださいね! 解説・演奏・動画制作/ちいぱん   ◆この記事で学べること ・まとめの譜面     ■ まとめの譜面     今回こちらの譜面をご用意させていただきました! テクニックは盛りだくさんで取り入れてみました。 こちらは同じ進行パターンを繰り返していますが、いろいろなバリエーションを考えられるので、ご自身で「このフレーズやテクニックはどうだろう?」と新しく考えてみるのも良いかもしれません。 ぜひいろいろ試しながら弾いてみてくださいね!       Point1 まずは8ビートのフレーズからスタートします。 最初に出てくるテクニックは5小節目の休符で、はじめのころにご紹介した内容かと思います。 ここでは左右の手のバランスを意識しながら、しっかりと音を切りましょう。     Point2 次に9小節目のハンマリング/プリングですが、連続で取り入れてみました。 このフレーズはスムーズに流れるように移動して音を鳴らしていくのがポイントなので、音を途切れさせないように、左手をしっかり押さえられたら良いかと思います。 プリングの音は慣れないと小さくなりがちなので、しっかりと弦に指をひっかけて鳴らしてみてくださいね。...

【3分で読める!サクッと伝記#09】 ルロイ・アンダーソン

【3分で読める!サクッと伝記#09】 ルロイ・アンダーソン

クラシック音楽の名作を生み出した作曲家たちを、3分程度で読み切れる短い伝記としてご紹介します。しかし、どの人物もその人生を3分で語り尽くすことはできません。今回は代表的な9つの視点に絞ってご紹介しますが、より深く知ることで演奏にも大きな違いが生まれる瞬間があるでしょう。もしこの記事に物足りなさを感じたり、さらなる背景が知りたいと感じた場合、それは「学びの扉が開いた瞬間」とも言えます。ぜひご自身でさらに深く追求してみてください。 本シリーズでは、選曲や演奏に役立つ小さな手掛かりとなるように、そしてご自身の深い学びのきっかけとなるようご紹介していきます。第9回目で取り上げる作曲家は「ルロイ・アンダーソン」です。     1.ハーバード大卒の秀才音楽家 ルロイ・アンダーソン (1908-75)は、マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。ハーバード大学で、楽理や作曲等を学び、1929年に学士号、翌年には修士号を取得。ニューイングランド音楽院にも通っており、そこではピアノ・コントラバスを学びました。   2.ユーモアと描写の天才 アンダーソンの作品は、その軽やかで親しみやすい曲調、大衆音楽やジャズの影響を受けたリズム、日常生活の音や情景を巧みに音楽で表現する描写力が特徴です。タイプライターやサンドペーパーなど、普通は楽器として使わないものを積極的に取り入れ、聴衆を驚かせ楽しませました。   3.異色のキャリア 音楽家の道を進むと決意するまで、1931~35年までハーバード大学で言語学の研究員となり、1935年にはゲルマン語とスカンジナビア諸語の研究により博士号を授与されています。その後、第二次世界大戦中は米軍に入隊し、スカンジナビア語担当の情報将校としてペンタゴンで働きました。   4.ボストン・ポップスとの出会い 「音楽にも詳しい言語学者」だったアンダーソンの転機は、ボストン・ポップス・オーケストラとの出会いです。ボストン交響楽団のマネージャーから学生歌の編曲を依頼され、提出した楽譜が、当時絶大な人気を誇った指揮者アーサー・フィードラーの目にとまり、才能を激賞されました。   5.代表作「そりすべり」 冬の情景を鮮やかに描き出した「そりすべり」は、代表作の1つです。馬のいななきやそりの鈴の音など、聴いているだけで目の前に情景が浮かんでくるような描写力は、アンダーソンの真骨頂。いまでもクリスマスの定番曲として世界中で愛されています。   6.タイプライターが楽器に? 代表作「タイプライター」では、本物のタイプライターを打つ音を楽器として使っています。タイプする音、改行する音、ベルの音など、オフィスでの日常的な音をリズミカルな音楽に仕立て上げました。これらは、聴き手に意外な驚きと楽しさを与えています。   7.サンドペーパーが奏でる音楽 「サンドペーパー・バレエ」では、サンドペーパー(紙やすり)をこすり合わせる音を楽器として取り入れました。ユニークな発想が光るこの曲は、彼のユーモアあふれる作曲スタイルをよく示しています。楽器として使えるものは、彼の創造力次第で無限大でした。   8.「トランペット吹きの休日」 この曲は、3人のトランペット奏者がそれぞれのパートを交互に演奏し、まるで会話をしているかのようにユーモラスに展開します。演奏会でも人気の高い一曲で、日本では運動会のBGMとしても知られています。   9.世界中で愛されるメロディ...

音楽未経験でも大丈夫!! 歌とギターどっちも学んで 100日後に夢のギタボデビュー。 <レベルUP編>vol.11〈最終回〉「歌詞と声色のチグハグ卒業!声のトーンと音程それぞれを活かそう」【produced by Go! Go! GUITAR】 

音楽未経験でも大丈夫!! 歌とギターどっちも学んで 100日後に夢のギタボデビュー。 <レベルUP編>vol.11〈最終回〉「歌詞と声色のチグハグ卒業!声のトーンと音程それぞれを活かそう」【produced by Go! Go! GUITAR】 

  皆さんこんにちは! 橋村姫です! 今日でついにギタボ講座レベルアップ編が最終回。 基本から応用までコツコツ積み重ねてきたから挑戦できるラストテーマをお届けします♪ 音程・リズム・発声をクリアしたら最後は聴いている人にとって心地の良い表現力のある歌声を目指すだけです! ボーカルのみの特権である『歌詞』『言葉』、これを大切に届けるべく今日も一緒に勉強していきましょう♪     ◆この記事で学べること ・声のトーンと音程の関係性 ・声にも表情がある ・曲中の歌詞表現方法 ■ 声のトーンと音程の関係性 皆さんはここまでのレッスンでメロディの音程に気を付けながら歌うスキルはしっかりできていると思います。 今回からは過去のコラム本編で登場した“笑顔声(※声の質が暗くなく『ハリのある声』”の応用で《声のトーン》を意識してみましょう! 音が高いから声のトーンが明るい、低いからトーンが暗いと決まっているわけではなく、 《トーンと音程は必ずしも比例しない》! 高音でも落ち着いたトーンや、低音でも明るい音色というのは作れるんです♪ 詳しくは動画内で音の質感をチェックしてくださいね♪ ■ 声にも表情がある 音程と声のトーンを勉強できたので、次は声の表情を勉強していきましょう! 声のテンションや喋り方で相手への伝わり方が変わるのは皆さんきっと体験したことがあると思います。 歌も同じで声の強さ、言い切り方、発声的な呼吸と共鳴、口腔の使い方でいろいろな声色を作ることができます! ■ 発声の種類 (例) ● 明るいトーン (元気、キュート、ハツラツ) ● 深いトーン (息多め、lowの響き、母音が太い) ●...

【3分で読める!サクッと伝記#08】 ルチアーノ・ベリオ

【3分で読める!サクッと伝記#08】 ルチアーノ・ベリオ

クラシック音楽の名作を生み出した作曲家たちを、3分程度で読み切れる短い伝記としてご紹介します。しかし、どの人物もその人生を3分で語り尽くすことはできません。今回は代表的な9つの視点に絞ってご紹介しますが、より深く知ることで演奏にも大きな違いが生まれる瞬間があるでしょう。もしこの記事に物足りなさを感じたり、さらなる背景が知りたいと感じた場合、それは「学びの扉が開いた瞬間」とも言えます。ぜひご自身でさらに深く追求してみてください。 本シリーズでは、選曲や演奏に役立つ小さな手掛かりとなるように、そしてご自身の深い学びのきっかけとなるようご紹介していきます。第8回目で取り上げる作曲家は「ルチアーノ・ベリオ」です。     1.音楽家の家系に生まれる ルチアーノ・ベリオ(1925-2003)はイタリアの作曲家。オネリアの音楽家の家系に生まれ、祖父と父(ともに作曲家・オルガニスト)から幼い頃に音楽教育の手ほどきを受けました。   2.ピアニストの道を断念 ベリオは若いころピアニストを志していましたが、第二次世界大戦中に徴兵され、銃の暴発により右手を負傷。この出来事をきっかけにピアニストの道を断念し、作曲の道へと大きく舵を切ることとなりました。   3.イタリア電子音楽の先駆者 1952年、渡航先のアメリカで電子音楽に触発され、《テーマ ジョイス賛》などの電子音楽史に残る画期的な作品を発表。1955年には、ミラノのイタリア国立放送局(RAI)に電子音楽のスタジオを設立に携わり、初代所長も務めました。   4.新たな表現 1950年、声楽家のキャシー・バーベリアンと結婚。彼女の協力も得て、言葉や声による新たな表現を開拓しました。《作品番号第獣番》(1951)、《室内楽》(1953)、《フォークソングズ》(1964)など声のための傑作も生み出しています。   5.代表作「シンフォニア」 1960年代に発表した《シンフォニア》は、マーラーの交響曲第2番「復活」の第3楽章をベースにしたコラージュ技法が用いられ、大きな注目を浴びました。この作品で彼の国際的な評価は確固たるものになりました。   6.「セクエンツァ」シリーズ 《セクエンツィア》シリーズも代表作の1つです。14曲からなる連作で、1958年から2002年までベリオの半生を通じて作曲されました。(女声を含む)種々の楽器において意図的に超絶技巧を追求しており、ベリオらしさが詰まった作品です。   7.「注釈技法」を提唱 ベリオは、作曲を「過去の作品に対する注釈」と捉え、自作や他者の作品に彼自らの解釈を加えて新たな作品を生み出す「注釈技法 Commentary Technic」を提唱しました。これは創造性の概念を問い直すものでした。   8.伝統と前衛の融合 ベリオは、80年代後半から編曲や補作の仕事によっても世に知られていきます。それまでにもいくつかの作品を手掛けていましたが、シューベルトの未完成交響曲を補筆した「レンダリング」の成功など、過去の作品を現代に蘇らせる編曲が高く評価されました。...

【3分で読める!サクッと伝記#07】 フリッツ・クライスラー

【3分で読める!サクッと伝記#07】 フリッツ・クライスラー

クラシック音楽の名作を生み出した作曲家たちを、3分程度で読み切れる短い伝記としてご紹介します。しかし、どの人物もその人生を3分で語り尽くすことはできません。今回は代表的な9つの視点に絞ってご紹介しますが、より深く知ることで演奏にも大きな違いが生まれる瞬間があるでしょう。もしこの記事に物足りなさを感じたり、さらなる背景が知りたいと感じた場合、それは「学びの扉が開いた瞬間」とも言えます。ぜひご自身でさらに深く追求してみてください。 本シリーズでは、選曲や演奏に役立つ小さな手掛かりとなるように、そしてご自身の深い学びのきっかけとなるようご紹介していきます。第7回目で取り上げる作曲家は「フリッツ・クライスラー」です。     1.20世紀を代表する作曲家 フリッツ・クライスラー(1875-1962)は、オーストリア・ウィーン生まれの作曲家です。父は町の開業医でしたが、音楽愛好家でアマチュアの弦楽器奏者でもありました。クライスラーは20世紀を代表するバイオリニストであり、優れた作曲家としても知られています。   2.神童としての輝かしい出発 クライスラーは幼い頃から才能を発揮し、わずか7歳でウィーン音楽院に入学、10歳にして首席で卒業しました。その後、名門パリ音楽院へ留学し、こちらも12歳で首席で卒業しています。13歳の頃には、ウィーン・フィルと共演。その類まれな演奏技術と表現力で「神童」として注目を集めました。   3.揺れた青春時代 クライスラーは1895年、オーストリア帝国陸軍に入隊しました。一時はバイオリンを捨て、軍人になろうと決心したこともありましたが、再び音楽の世界へと復帰します。その後、演奏活動を再開し、少しずつ作曲活動も始めていきました。   4.偽作 クライスラーは、自身が作曲した作品を、主にバロック期の作曲家(特にヴィヴァルディやバッハなど)の作品として発表する「偽作」を数多く行いました。これらは長年発覚せず、後に彼自身が真実を明かした際に大きな話題となりました。   5.豊かな感情表現 「愛の喜び」「愛の悲しみ」は、クライスラーのバイオリニストとしての表現力と、メロディメーカーとしての才能が存分に発揮された代表作です。彼の音楽は、単なる技巧だけでなく、感情の豊かさで現在の聴衆をも魅了しています。   6.敏腕マネージャーの存在 クライスラーはアメリカ人女性ハリエット・リースと結婚しました。彼女は彼の才能を最大限に引き出すべく、音楽に関すること以外はさせず、音楽家として大成する大きな支えとなった敏腕マネージャーでもありました。彼の歌曲の多くは、この妻への深い愛情から書かれたと言われています。   7.アメリカで築いた名声 クライスラーは20世紀初頭からアメリカを拠点に活動し、名門カーネギーホールなどで演奏を重ね、聴衆から熱狂的な絶賛を受けました。その豊かな表現力と超絶技巧でアメリカ音楽界に大きな足跡を残し、以降、世界的な名バイオリニストとしても活躍しました。   8.楽器への深い愛情と名器との出会い クライスラーはバイオリニストとして、ストラディバリウスやグァルネリといった伝説的な名器を愛用し、その響きを最大限に引き出しました。楽器を単なる道具ではなく、共に音楽を創るパートナーとして深く愛し、その演奏は名器の魂をも宿しているかのようでした。   9.慈善活動と晩年 クライスラーは富や名声を必要以上に求めず、慈善活動も積極的に行っていました。貧しい後輩バイオリニストに名器を贈与するなど、その人間性も高く評価されています。晩年には交通事故で重傷を負うなど苦難もありましたが、86歳で亡くなるまで音楽に貢献し続けました。...

低音の魅力に触れよう!ちいぱんの楽しく弾けるエレキベース入門  #11 [実践編]ベースを彩る音作り! エフェクター第二弾【produced by Go! Go! GUITAR】

低音の魅力に触れよう!ちいぱんの楽しく弾けるエレキベース入門  #11 [実践編]ベースを彩る音作り! エフェクター第二弾【produced by Go! Go! GUITAR】

みなさんこんにちは! ちいぱんです。 前回の記事ではエフェクターとは何か、どういったときに使用するのか、種類は何があるのか…など、エフェクターの基本的な部分をご紹介させていただきました。 そして今回は音作りを詳しく深掘り! 主にエフェクターのセッティングについてお話できたらと思います。 解説・演奏・動画制作/ちいぱん   ◆この記事で学べること ・エフェクターをセッティングする前に ・エフェクターセッティング例 ・セッティングで弾いてみよう     ■ エフェクターをセッティングする前に   エフェクターの音をセッティングしたいけど、つまみがたくさん! どこをどう回したらいいのかわからない! 私もはじめはそんな感じでしたので、まずはつまみの種類をご紹介できたらと思います。 代表的なものとして、サンズアンプのつまみを例として上げさせていただきます。   ◎LEVEL(レベル)・・・ボリュームの調整 ◎BLEND(ブレンド)・・・エフェクト音と原音の混ぜ具合の調整 ◎TREBLE (トレブル)・・・高音域の調整/音の輪郭を作る ◎DRIVE(ドライブ)・・・歪みの量の調整/歪みのある音になる ◎BASS (ベース)・・・低音域の調整/太いサウンドになる ◎PRESENCE (プレゼンス)・・・TREBLEよりさらに高音域の調整/サウンドにエッジを効かせる 上記写真のものにはありませんが、新バージョンのサンズアンプにはこちらも追加されています! ◎MID...

【3分で読める!サクッと伝記#06】 エリック・サティ

【3分で読める!サクッと伝記#06】 エリック・サティ

クラシック音楽の名作を生み出した作曲家たちを、3分程度で読み切れる短い伝記としてご紹介します。しかし、どの人物もその人生を3分で語り尽くすことはできません。今回は代表的な9つの視点に絞ってご紹介しますが、より深く知ることで演奏にも大きな違いが生まれる瞬間があるでしょう。もしこの記事に物足りなさを感じたり、さらなる背景が知りたいと感じた場合、それは「学びの扉が開いた瞬間」とも言えます。ぜひご自身でさらに深く追求してみてください。 本シリーズでは、選曲や演奏に役立つ小さな手掛かりとなるように、そしてご自身の深い学びのきっかけとなるようご紹介していきます。第6回目で取り上げる作曲家は「エリック・サティ」です。     1.ノルマンディ地方の港町生まれ エリック・サティ(1866-1925)は、20世紀のフランスの作曲家。1866年ノルマンディー地方の港町オンフルールで生まれ、1870年にはサティの父が海運業を辞め、一家でパリに移住。後に「音楽界の異端児」「音楽界の変わり者」の異名で知られこととなる。   2.パリ音楽院 サティは幼少期から音楽の才能を見せ、1879年 13歳でパリ音楽院に入学。しかし保守的なアカデミズムとは反りが合わず、才能がないと評価されたこともあり、反アカデミズム・反ロマン主義を貫いて退学した。   3.ピアノ曲「4つのオジーブ」 1886年には軍隊志願し、砲兵隊に入隊したが気管支炎にかかり除隊。その後はモンマルトルに移りカフェでピアノを弾いて生計をたてていた。この間、サティは読書に没頭し、アンデルセン童話を愛読し、ゴシック建築を研究してピアノ曲「4つのオジーブ(尖弓形)」を作曲した。   4.3つのジムノペディ サティは19世紀のロマンティシズムに訣別し、1888年には調号と小節線を廃止したピアノ曲「3つのジムノペディ」を作曲。ドビュッシーやラヴェルに大きな影響を与えた。   5.作曲法を学び直す サティは1905年から3年間、作曲法を学び直すためにスコラ・カントルムでダンディに師事。その頃からピアノ曲「犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲」「乾からびた胎児」「スポーツと気晴らし」などを作曲。1916年にはジャン・コクトーの台本で、ピカソの装置と衣装によるバレエ音楽「パラード」を作曲した。   6.バレエ音楽「パラード」 バレエ音楽「パラード」のオーケストラにはサイレン・飛行機の爆音・タイプライター・ピストル・ダイナモの音などが入っており、これは前人未踏であった。また、ピカソがデザインした衣装も奇抜なものであった。第一次世界大戦中の1917年パリ・シャトレ座における初演では大センセーションを巻き起こした。   7.フランス6人組 50代のサティは、彼とコクトーを賛美する "6人組" のミヨー、オネゲル、オーリック、プーランク、デュレ、タイユフェールら若き作曲家にも大きな示唆を与えた。6人組は常に新しい音楽を提案するグループで。全音階(ドレミファソラシド)に最後の可能性を求めた音楽家集団でもあった。   8.気まぐれな性格とユーモラスな言動 サティはしばしば奇妙な行動を取り、周囲を驚かせた。生涯で同じ服を何着も持っていたり、毎日同じ時間に食事をとったりと、独自のルーティンがあった。また言葉には機知とユーモアが溢れており、「私は音楽家である。私の音楽は、私のように単純だ」という言葉からもそれが伺える。...