作曲をはじめてみよう! 第5回 ~アーティストの作曲術を学ぶ②~
好きな曲を演奏できるようになったら、次は自分だけのオリジナル曲を作ってみませんか? 本記事では、作曲未経験の方でもすぐに実践できる作曲テクニックをご紹介します。 最終回となる第5回は「アーティストの作曲術を学ぶ ②」。 前回に引き続き、書籍『ポール・マッカートニー作曲術』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)より、今回はポールのコード進行におけるテクニックをご紹介。コードの基礎知識については第3回でも触れていますので、あわせてチェックしてみてください。 ◆ この記事で学べること 01 ポールらしさの決め手!「マッカートニー・コード」とは? 02 使えるポール・ライクなコード進行 【01】ポールらしさの決め手!「マッカートニー・コード」とは? まず、ポールらしさ=ビートルズっぽさを表現できる基本のコードテクニック(マッカートニー・コード)をいくつか紹介します。わかりやすくハ長調で紹介しますが、度数表記という汎用性のあるコード表記も参考として併記します。 ■ 最重要マッカートニー・コード「♭Ⅲ、♭Ⅵ、♭Ⅶ」 「♭Ⅲ、♭Ⅵ、♭Ⅶ」のコードとは、長音階(メジャー・スケール)の主音から数えて、短3度(♭Ⅲ)、短6度(♭Ⅵ)、短7度(♭Ⅶ)……の音を根音にしたメジャー・コードのことです。ハ長調で言えば、E♭、A♭、B♭の各コードとなります。 このコードを使うと、その部分のサウンドが突然、ビートルズっぽく、ポールっぽく薫るのです。本書では、「マッカートニーのフラットⅢⅥⅦ(367)」と呼ぶことにします。 譜例1 ハ長調のマッカートニー・コード 譜例1の上段は、通常のハ長調長音階(「ドレミファソラシド」)の上に3度ずつ音を重ねたダイアトニック・コードです。ドから数えた音程(完全1度、長2度……)と度数表記(ディグリーネーム=Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ……)が書き込んであります。 ポイントは譜例下段。ミのフラット(短3度=♭Ⅲ)、ラのフラット(短6度=♭Ⅵ)、シのフラット(短7度=♭Ⅶ)の上にあるコードE♭、A♭、B♭がポールのサウンド・スパイス(マッカートニー・コード)なのです。楽器をお持ちの方は、「C-Am-F-A♭」や「F-G-A♭-B♭-C」を弾いてみてください。その響きのポールっぽい感じがわかると思います。 ■ ポールなサブドミナント・マイナー「Ⅳm」 譜例1のⅣはメジャー・コードですね。このコードは、理論的にはサブドミナント(下属和音)と呼ばれています。これをマイナー・コードにしたものがサブドミナント・マイナー(Ⅳm)です。メジャーの曲の途中にマイナー色の強いⅣmを響かせることで、曲想をガラッと変えることができるのです。 ポールはこの響きが大好きです。ニュアンスとしては、明るい曲想の中に、瞬間の寂しさや切なさ、儚さなどを挿入する感覚です。具体的には、ピーター&ゴードンに書いた「A World...