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【楽譜の読み方#15】プラルトリラーとモルデント

【楽譜の読み方#15】プラルトリラーとモルデント

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 前回は音を華やかに彩る「トリル」の説明をしましたが、今回はよりシンプルな装飾記号の「プラルトリラー、モルデント」について説明します。 プラルトリラー(pralltriller) プラルトリラーとは? 「短いトリル」とも呼ばれ、記号のついた音(元の音)と1つ上の音を素早く1度だけ往復する奏法です。トリルが元の音と上の音をすばやく繰り返すのに対し、プラルトリラーは短く、シンプルに装飾し楽曲に軽やかなアクセントを加えます。プラルトリラーの記号は、音符の上に短い波線で記されます。   プラルトリラーの演奏方法 譜例を使って、一般的な演奏方法をご紹介します   譜例1  ↓↓ ↓↓ ↓↓ 【演奏方法】 プラルトリラー記号のついた「レ」と1つ上の「ミ」を1度だけ往復し、素早く「レミレ」と演奏します。 プラルトリラーもトリル同様に、作曲された時代や作曲者の意図、演奏者の解釈によって開始音や往復回数の違いによる他の演奏方法があります。     モルデント(mordent) モルデントとは? プラルトリラーと反対に、記号のついた音(元の音)と1つ下の音を素早く1度だけ往復する奏法で、音に短いアクセントを加えます。モルデントの記号は、波線に縦の短い線で記されます。   モルデントの演奏方法 譜例を使って、一般的な演奏方法についてご紹介します。   譜例2 ↓↓ ↓↓ ↓↓ 【演奏方法】モルデント記号のついた「レ」と1つ下の「ド」を1度だけ往復し、素早く「レドレ」と演奏します。   モルデントも、作曲された時代や作曲者の意図、演奏者の解釈によって他にも演奏方法があります。  ...

【楽譜の読み方#14】トリル

【楽譜の読み方#14】トリル

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回は、演奏に華やかさや動きを加える装飾記号「トリル」について説明します。 トリル(trill) バッハを代表するバロック音楽では頻繁に装飾記号が使われています。 譜面には単純に1音書かれているにも関わらず実際は細かく音を刻むこともあり、演奏者の解釈などで音使いが変わってしまう難物です。   トリルとは? 装飾記号で最も代表的なものが「トリル」です。トリルは「tr」と波線で記され、記号のついた音(元の音)と2度上の音(つまり1つ上の音)とを素早く繰り返し弾く演奏法です。 例えば、ドの音でトリルが指示されている場合、ドとレを交互に演奏します。   時代によるトリルの違い 古典の音楽を演奏するときと現代の音楽を弾くときでは音使いが変わります。 古典派やバロック時代のトリルは「1つ上の音」から演奏することが一般的でしたが、近現代では「元の音」から始めることが一般的です。また、開始の音は作曲者の指示や演奏者の解釈により異なることもありますが、いずれの場合も終わりは「元の音」です。   トリルの演奏方法 トリルの速さや長さについて明確な指示がない場合、演奏者は自由にそれらを調整することができます。そのため、同じ曲でも演奏者ごとに異なる表現が生まれることとなり、演奏者の個性や解釈が強く反映される要素となります。 譜例を使って、いくつかの代表的なトリルの演奏方法についてご紹介します。   譜例1 もっともベーシックな譜例です。  ↓↓ ↓↓ ↓↓ 【演奏方法】 トリル記号のついた「ミ」と1つ上の音「ファ」をすばやく交互に繰り返します。                OR 開始の音は「ミ」または「ファ」で、終わりの音は「元の音」の「ミ」です。     譜例2 トリルに前打音や後打音が付く場合です。この譜例ではトリルの終わりの音に前打音が付いています。...

【楽譜の読み方#13】アルペジオとグリッサンド

【楽譜の読み方#13】アルペジオとグリッサンド

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回は、ギターを弾いている方にはおなじみの「アルペジオ」と「グリッサンド」とついて説明します。 アルペジオ(Arpeggio) アルペジオは和音の各音を同時ではなく順番に弾く奏法で、ピアノやギター、ハープなどの楽器でメロディに対する伴奏や装飾として効果的に使用されます。 アルペジオの記号は、和音の左側に縦の波線で記されます。 この縦波線がついた場合、音を同時に弾かずに下から上、または上から下へ順に演奏します。ギターでは和音をゆっくりとストロークし、ピアノでは指を滑らかに鍵盤に置いて音が流れるように美しく響かせます。 グリッサンド(Glissando) グリッサンドは高さの異なる二つの音の間を連続的に滑らせるように演奏する技法です。バンドマンの間では略して「グリス」と呼ぶことが多いですね。 「アルペジオ」が一音一音聞き取れるのに対して、グリッサンドは二音の間の音を一気に弾くので、音が一気に高く、または低くなるように聞こえます。ピアノや管楽器、弦楽器などさまざまな楽器で使われ、特にジャズや現代音楽で目立つ奏法です。 グリッサンドの記号は、始点から終点の音を結ぶ直線または波線で示されます。 ピアノでは、指を鍵盤の上で滑らせて一気に複数の音を鳴らします。管楽器や弦楽器でも、指やスライドを使って音程を滑らかに変化させます。 ディストーションで歪ませたギターのグリッサンドはすごくエキサイティングですね!グリッサンドを効果的に使って、演奏を盛り上げましょう。 アルペジオは滑らかな音の流れを、グリッサンドは急激な音の移動を演出し、曲に動きや深みを加えます。どちらも習得には練習が必要ですが、その分演奏の幅が大きく広がりますので、楽器の特性に合わせて練習し技術をマスターしてください! 次回は「トリル」について解説します。 ▼ギターの演奏テクニックはこちらもチェック! 〜ギターの壁を超える10のエピソード〜 ザセツ君が行く! EPISODE 7 フィンガーアルペジオができない 指が引っ掛かって地味に難しい? スライド & グリッサンドをマスターして、指板上を縦横無尽に滑り回ろう!   【楽譜の読み方】をもっと見る→   楽譜の読み方を基礎から学習したい方に すぐわかる!!...

【楽譜の読み方#12】ビス(bis)、テル(ter)、クァテル(quater)

【楽譜の読み方#12】ビス(bis)、テル(ter)、クァテル(quater)

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回は、少しマニアックな反復記号「ビス(bis)」「テル(ter)」「クァテル(quater)」について説明します。 ビス(bis)、テル(ter)、クァテル(quater) 曲の繰り返しに一番よく使うのは「リピート記号」や「1番カッコ」などですが、バンドスコアやオーケストラでは「bis」や「ter」、「quater」といった表記をすることがあります。 いずれもラテン語で「bis」は「2回」、「ter」は「3回」、「quater」は「4回」を意味し、記号で囲われた範囲を繰り返して演奏することを指示します。 【譜例】 bisは2回なので、演奏順はA→B→C→D→C→D→E terは3回なので、演奏順はA→B→C→D→C→D→C→D→E quaterは4回なので、演奏順はA→B→C→D→C→D→C→D→C→D→E   なじみのないラテン語で慣れてないと見落としてしまいますので、ぜひ覚えておいてくださいね。 次回は「アルペジオとグリッサンド」について解説します。 ▼その他の反復記号については以下の記事をチェック! 【楽譜の読み方#06】リピート記号、1番カッコ、2番カッコ 【楽譜の読み方#07】ダ・カーポ、ダル・セーニョとフィーネ 【楽譜の読み方#08】コーダ、トゥ・コーダ   【楽譜の読み方】をもっと見る→   楽譜の読み方を基礎から学習したい方に すぐわかる!! 楽譜の読み方入門 できる ゼロからはじめる楽譜&リズムの読み方超入門 読む・聴く・書くで楽しくおぼえられる! 楽譜がスラスラ読める本 書いて覚える徹底!!譜読/導入編 楽譜の読み方を体系的に学習したい方に 先生のための楽典入門 これだけは知っておきたい楽譜のしくみ 音楽力を伸ばす「譜読み」の基本~楽譜攻略13のステップ~ 音楽の基礎-音楽理解はじめの一歩...

【楽譜の読み方#11】オッターヴァ(8va)

【楽譜の読み方#11】オッターヴァ(8va)

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回は、音域の広い曲を楽譜上で表すのに便利な「オクターブ記号」について説明します。 オッターヴァ(ottava / 8va) オッターヴァとは オッターヴァはイタリア語で「オクターブ(8度)」を意味し、楽譜において音符の高さを1オクターブ上または下で演奏することを指示するオクターブ記号です。省略して「8va」と記されます。 オッターヴァを示す記号が音符やフレーズの上に記される場合は1オクターブ上げて演奏し、音符やフレーズの下に記される場合は1オクターブ下げて演奏します。(記号の種類は後述) オッターヴァを使う理由 ピアノのように音域の広い楽器では、あっという間に音符が五線を超過して何重もの加線が必要となることがあります。このように非常に楽譜が読みにくくなったときに「オッターヴァ」は登場します。 例えば、このような楽譜が… ↓↓↓↓↓ オッターヴァ(8va)を使うことで、楽譜が簡潔になり読みやすくなります。 オッターヴァ・アルタとオッターヴァ・バッサ オッターヴァ・アルタ(8va alta / ottava alta) アルタはイタリア語で「高い」を意味し、オッターヴァ・アルタは、1オクターブ上で演奏することを示します。音符の上に「8va」と記され、適用範囲が破線カッコで囲まれています。「8va alta」や「8」と記載されることもあります。 なお、2オクターブ上げて演奏する場合は、「15ma(クィンディチェジマ・アルタ)」と記されます。(慣例的に16ma / 15va/ 16vaと表記されることもある) オッターヴァ・バッサ(8vb / 8va bassa...

【楽譜の読み方#10】クレッシェンド、デクレッシェンド、ディミヌエンド

【楽譜の読み方#10】クレッシェンド、デクレッシェンド、ディミヌエンド

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回は、音の強弱の変化を表す音楽用語「クレッシェンド」「デクレッシェンド」「ディミヌエンド」について説明します。 クレッシェンド (crescendo) クレッシェンドはイタリア語で「成長する」を意味する「crescere」の進行形で、音が徐々に大きくなることを示します。楽譜上では「cresc.」と省略されることもありますが、多くの場合は次のようなくさび形の記号で表されます。 クレッシェンドは、楽曲に緊張感や期待感を与えるために使用されることが多く、例えば次のような場面で見られます。 フィナーレに向けて盛り上がる部分 ドラマティックなクライマックスを迎える直前 次のフレーズにスムーズに移行するための準備段階 音を次第に強くする必要があるので、記号の始まり時点ではピアノ(p)くらいの弱さから演奏し、「だんだんと」「徐々に」音を強く・大きくしていきます。 デクレッシェンド (decrescendo) 、 ディミヌエンド (diminuendo) デクレッシェンド デクレッシェンドは、音が徐々に小さくなることを示します。楽譜上では「decresc.」と省略されることがありますが、記号としては次のように表されます。 デクレッシェンドは、音楽の流れを落ち着かせたり、エンディングに向けて静かに終息させるために使用されることが多く、例えば次のような場面で見られます。 感情が静まる部分 フレーズの終わりを締めくくるため 次の静かな部分への橋渡し 音を次第に弱くする必要があるので、記号の始まり時点ではフォルテ(f)くらいの強さから演奏し、「だんだんと」「徐々に」音を弱く・小さくしていきます。 ディミヌエンド ディミヌエンドもイタリア語で「徐々に小さくなる」を意味し、だんだんと音を弱くすることを示します。楽譜上では「dim.」または「dimin.」と省略して表記されることが多いです。 デクレッシェンドとディミヌエンドは、厳密にはディミヌエンドのほうが「ギリギリまで小さく」「消え入るような」というニュアンスとなりますが、作曲家によっても記号の使い分け方、意図する演奏イメージが異なるため、まずはどちらの用語とも「だんだん弱く」で覚えましょう。演奏に自信がある方は、ぜひ作曲家ごとの特性をつかんで演奏してみてください! まとめ 音楽用語 読み 意味...

【楽譜の読み方#09】ピアノ、フォルテほか

【楽譜の読み方#09】ピアノ、フォルテほか

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回から2回にわたり、音楽表現に欠かせない要素である「強弱記号」について説明します。 ピアノ(piano)、フォルテ(forte) 楽器演奏を行う上で重要なことのひとつに、音の抑揚(強弱)があります。 今は当たり前に強弱をつけられますが、鍵盤楽器といえばチェンバロが主流だった18世紀ごろまでは強弱をつけるのは非常に大変でした。 18世紀始めにチェンバロを改造して今のピアノの原型ができていくのですが指のタッチで音の強弱をつけられることから、「ピアニッシモからフォルテッシモまで演奏できるチェンバロ」という意味で「ピアノフォルテ」と名づけられました。これを略して今の「ピアノ」という呼び名になっています。 楽器の名前の元になるように音の強弱は音楽にとって非常に重要なことですのでしっかり身につけましょう! 強弱に関わる記号は色々ありますが、まずは「Piano」(ピアノ)と「Forte」(フォルテ)について説明します。 ピアノ   弱くという意味の「Piano」(ピアノ)です。 この「p」を何個も重ねて強調することにより、さらに弱くしてという意味を持たせます。また「半分の」という意味の「mezzo」が付いて「mp」と表示されている場合は「p」の半分の弱さでということになりますので「p」よりもやや強く弾きます。   「mp」メゾピアノ ・・・ やや弱く 「pp」ピアニッシモ ・・・ ごく弱く 「ppp」ピアニッシッシモ ・・・ できるだけ弱く この「p」が増えるとどの位、弱く弾けばいいか?という疑問が出てくるかと思いますが、残念ながら基準はありません。多くは作曲者の意思が込められているので、曲調を考え「弱く」を意識して弾きましょう。   フォルテ    強くという意味の「Forte」(フォルテ)です。 「p」と同様に「f」を重ねるとさらに強くということになり、「mezzo」をつけると半分という意味になります。    「mf」メゾフォルテ・・・やや強く 「ff」フォルティッシモ・・・ごく強く 「fff」フォルティッシッシモ・・・できるだけ強く イタリア語では「・・イッシモ」が最上級の表現なのですが、「fff」はそれよりも強くということで「フォルティッシッシモ」と不思議な読みになっています。 ともあれ、この標記は「ff」は「f」よりも強く、「fff」は「ff」よりも強く、という相対的なものですので、強弱記号がある場合はその箇所だけを見るのではなく楽譜全体をみて強弱を考えましょう。   ここまでのまとめ ...

【楽譜の読み方#08】コーダ、トゥ・コーダ

【楽譜の読み方#08】コーダ、トゥ・コーダ

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回は反復記号の3回目、Coda(コーダ)とTo Coda(トゥ・コーダ)について説明します。 Coda(コーダ)、To Coda(トゥ・コーダ) Coda(コーダ) Codaは、イタリア語で「尾」を意味し楽曲のエンディング部分を指します。曲の締めくくりとして通常の形式から少し離れた特別なセクションで、劇的なクライマックスや落ち着いた終わり方など、メインテーマや展開部とは異なる旋律や和声が使用されることが多いです。 楽譜上での記号は、縦長の楕円に十字を重ねたマーク「」です。 To Coda(トゥ・コーダ) To Codaは「コーダに行く」という指示で、通常はD.C.(ダ・カーポ)やD.S.(ダル・セーニョ)と併用されます。D.C.やD.S.で指定された場所に戻った後、「To Coda」の指示がある場合は「Coda」へジャンプし、曲の終わりまでを演奏します。楽曲の特定の部分を飛ばしてエンディングへ進むことで、音楽の流れを意図的に変えることができます。 【前回の復習】 D.C.(ダ・カーポ)  :曲の最初へ戻る D.S.(ダル・セーニョ):セーニョの印()まで戻る まとめ(演奏の流れ) D.C.やD.S.で指定された場所に戻る To Codaまで演奏したら、それ以降をスキップしCodaへ進む Codaから曲の終わりまで演奏する 楽譜の読み方チェック それでは、実際に譜面で小節の流れを確認してみましょう! 【例題】Coda、To Coda 【答え】 小節の最後に「D.S.」があるのでセーニョ()まで一度戻り、To Codaの位置から離れたセクションのCodaへ。 ★譜面の流れ:「A→B→C→D→E→B→C→F→G」...

【楽譜の読み方#07】ダ・カーポ、ダル・セーニョとフィーネ

【楽譜の読み方#07】ダ・カーポ、ダル・セーニョとフィーネ

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回のテーマは、演奏するときに意外と戸惑う「反復記号」のD.C.(ダ・カーポ)とD.S.(ダルセーニョ)そしてFine(フィーネ)。D.C.、D.S.は一文字違うだけですが、戻る場所が全く異なるため注意が必要です。 D.C.(ダ・カーポ)、D.S.(ダルセーニョ) 読みからもわかるとおり、D.C.・D.S.ともに省略して表記されています。 D.C. -「da capo」(ダ・カーポ) D.S. -「dal segno」(ダルセーニョ) 「da」「dal」はともに英語のfromのような「~から」という意味でその次の言葉が戻る場所を指し、「capo」は「先頭」、「segno」は「サイン、印」という意味なので、それぞれ以下を示します。 D.C. - D.C.まで来たら曲の最初へ戻る D.S. -「印」まで戻る 「印」…?楽譜にはたくさん「記号」がありますが、いったいどれでしょう? 昔は記号を書かずにそのままずばり「segno」と表記していましたが、近年では頭文字の「S」を図案化した「」(読みは当然セーニョ)と標記するのが一般的です。 従って、D.S.まで来たら「」まで戻りましょう。 Fine(フィーネ) 演奏終了を示すFine、読み方は"ファイン"ではなく"フィーネ"です。D.C.やD.S.で曲のはじめや途中に戻ったあと、「Fine」と表記されているところで演奏が終了となります。複縦線のうえにフェルマータ()がついている場合は省略されることもあります。「Fine」はイタリア語でendの意味。イタリア映画のラストにfineと出てくるのはそのためです。 楽譜の読み方チェック それでは、実際に譜面で小節の流れを確認してみましょう! 【例題1】D.C. 【答え1】小節の最後に「D.C.」があるので譜面の最初に戻り、終わりの意味の「Fine」で終わります。 ★譜面の流れ:「A→B→C→D→E→A→B→C」 【例題2】D.S. 【答え2】小節の最後に「D.S.」があるので「印」の「」まで戻り、終わりの意味の「Fine」で終わります。★譜面の流れ:「A→B→C→D→E→B→C」 楽譜には様々な音楽記号がありますので、積極的に覚えていくことで演奏がよりスムーズになります。ぜひ一緒に学んでいきましょう!次回は、反復記号の3回目「コーダ、トゥ・コーダ」を解説します。  ...

【楽譜の読み方#06】リピート記号、1番カッコ、2番カッコ

【楽譜の読み方#06】リピート記号、1番カッコ、2番カッコ

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 第6回は、反復に関する記号「リピート記号」「1番カッコ」「2番カッコ」について説明します。 リピート記号 楽譜の同じ内容をくり返し反復して演奏することを指示する記号。終止線のように細い線と太い線の二重線の内側に、2つの点がついています。 下図のようなリピート記号(2つの点が二重線より右にある場合)は、ここよりうしろにあるリピート記号から、ここまで戻ってくることを意味します。なお、戻る場所が曲の始めのときは省略される場合もあります。     下図のようなリピート記号(2つの点が二重線より左にある場合)は、直前のリピート記号に戻ることを意味します(直前にリピート記号がない場合は曲の始めに戻る)。特別な指定がなければ1回だけ繰り返します。 この基本ルールを踏まえて譜例を見てみましょう!   【例題1】 【ヒント】 Dの後ろにあるリピート記号から→ 直前のリピート記号に戻る! 【答え】 A→B→C→D→C→D【例題2】   【ヒント】 直前にリピート記号がない場合は曲の始めに戻る! 【答え】 A→B→A→B→C→D【例題3】   【ヒント】 リピート記号が連続する場合は、細い線は省略されることがある!【答え】A→B→A→B→C→D→C→D 3つの譜例の演奏順、頭のなかで連想できましたか? 慣れないうちは、演奏する前にA-B-C-D-C-Dという風に書き出してみるといいでしょう。 1番カッコ、2番カッコ リピートでくり返して演奏するときに、最後の部分(1~数小節のことが多い)だけ内容が異なる場合に、この記号を使います。 1番カッコ くり返しの際に、1回目のみ演奏します。リピート記号で一度戻ったあとの2回目は演奏しません。...

【楽譜の読み方#05】タイとスラー、スタッカートとテヌート

【楽譜の読み方#05】タイとスラー、スタッカートとテヌート

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 第5回は、音符のつながりや演奏方法を示す音楽記号「タイ」と「スラー」、「スタッカート」と「テヌート」について説明します。   タイ(tie)、スラー(slur) どちらも音符を線で結び付けている音楽記号。でも意味は全然違います。見分け方は【同じ高さの音をつないでいるかどうか】を見てみましょう。 同じ音をつないでいる場合は(タイ)、違う音をつないでいる場合は(スラー)となります。 タイ (タイ)は弧線でつながれた音符をひとつの音として演奏します。したがって下図のような譜面があったとすると8分音符ではなく4分音符として演奏してくださいという意味になります。 それならば、初めから演奏する音符の長さで書けばいいのではないか?と思うかもしれません。 しかし、(タイ)をすべて通常の長さの音符で表記されると、リズムがわかりにくい譜面になってしまうのです。 下の譜面は、両方とも同じ音符を現しています。 左の楽譜は(タイ)を使わず通常の長さの音符で表記し、右の楽譜は(タイ)を使って表記しています。ぱっと見たときに、右の譜面のほうがリズムがわかりやすくなっていますね! また、それ以外にも、(タイ)を使うことによって通常の音符では表現できない長さの音符を作ることができます。音符で一番長い音符は全音符ですが、2小節ぐらい同じ音を鳴らし続けたい場合、全音符では表記することができません。そこで(タイ)を使って音をつなげてあげることにより2小節の音符を作ることができます。 スラー (スラー)は高さの違う複数の音符にある弧線で、「この記号のつけられた範囲の音符は音と音の間を滑らかに演奏する」という演奏方法です。   このように演奏方法になりますので、滑らかに演奏するということだけでなく、フレーズのひとくくりや、メロディの区切りとしても表記されることがあります。 したがって、(タイ)が書かれた場所にさらに(スラー)が表記されるという事も当然ありえます。 ▼まとめ (音の長さは「タイ」、演奏方法は「スラー」と覚えておきましょう! 同じ音をつないでいるのは(タイ)  ・・・ 音の長さ 違う音をつないでいるのは(スラー) ・・・ 演奏方法 スタッカート(staccato、stacc.)、テヌート(tenuto、ten.) 音符の上または下についている小さな印で、どちらも音符の特定の部分を強調したり、その演奏方法を指示する音楽記号。 音符の上または下に点がついている場合は(スタッカート)、線がついている場合は(テヌート)です。 スタッカート (スタッカート)は、音を短く切って演奏します。  イメージとしては、楽譜には書かれていない休符が、記号のついた音符の後に入る感じです。記号のついた元の音符の長さの半分くらいに短く切って演奏するのが定番ですが、曲のテンポや雰囲気によって自由に解釈できます。...

【楽譜の読み方#04】臨時記号と調号 

【楽譜の読み方#04】臨時記号と調号 

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 第4回は、音の変化を示す「臨時記号」と「調号」について。「臨時記号」は楽譜上で一時的に音を変化させ、「調号」は楽曲を通して特定の音を変化させます。 (曲の途中で転調した場合調号が変わることもあります。) 臨時記号 臨時記号とは 曲の途中である音の高さを一時的に変化させる記号で、主にシャープ(♯)、フラット(♭)、ナチュラル(♮)の3つが使われます。それぞれ、記号の右側に書かれた音符の音を半音高くする(シャープ)、半音低くする(フラット)、または自然な音高に戻す(ナチュラル)効果を持ちます。 例えば、ハ長調の楽曲でハの音(ド)を半音上げる場合は、その音符の直前に♯を記述するとドがド♯に変化します。 記号 読み方 意味 # シャープ 半音高くします。 ♭ フラット 半音低くします。 X ダブル・シャープ 変化記号(#)によってすでに半音高められている音をさらに半音高くします。 ♭♭ ダブル・フラット 変化記号(♭)によってすでに半音低められている音をさらに半音低くします。 ♮ ナチュラル 上記の変化記号を無効にして元の音に戻します。 臨時記号のルール 臨時記号の効果範囲には以下のルールがあります。 ・記号のすぐ右の音符からその小節内に限り有効で、次の小節からは無効 ・ただし、記号付きの音符とタイでつながれた音符は小節をまたいでも有効(「タイ」は次回解説します。) ・1オクターヴ以上離れた音については無効...