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【楽譜の読み方#09】強弱記号1

【楽譜の読み方#09】強弱記号1

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回から2回にわたり、音楽表現に欠かせない要素である「強弱記号」について説明します。 ピアノ(piano)、フォルテ(forte) 楽器演奏を行う上で重要なことのひとつに、音の抑揚(強弱)があります。 今は当たり前に強弱をつけられますが、鍵盤楽器といえばチェンバロが主流だった18世紀ごろまでは強弱をつけるのは非常に大変でした。 18世紀始めにチェンバロを改造して今のピアノの原型ができていくのですが指のタッチで音の強弱をつけられることから、「ピアニッシモからフォルテッシモまで演奏できるチェンバロ」という意味で「ピアノフォルテ」と名づけられました。これを略して今の「ピアノ」という呼び名になっています。 楽器の名前の元になるように音の強弱は音楽にとって非常に重要なことですのでしっかり身につけましょう! 強弱に関わる記号は色々ありますが、まずは「Piano」(ピアノ)と「Forte」(フォルテ)について説明します。 ピアノ   弱くという意味の「Piano」(ピアノ)です。 この「p」を何個も重ねて強調することにより、さらに弱くしてという意味を持たせます。また「半分の」という意味の「mezzo」が付いて「mp」と表示されている場合は「p」の半分の弱さでということになりますので「p」よりもやや強く弾きます。   「mp」メゾピアノ ・・・ やや弱く 「pp」ピアニッシモ ・・・ ごく弱く 「ppp」ピアニッシッシモ ・・・ できるだけ弱く この「p」が増えるとどの位、弱く弾けばいいか?という疑問が出てくるかと思いますが、残念ながら基準はありません。多くは作曲者の意思が込められているので、曲調を考え「弱く」を意識して弾きましょう。   フォルテ    強くという意味の「Forte」(フォルテ)です。 「p」と同様に「f」を重ねるとさらに強くということになり、「mezzo」をつけると半分という意味になります。    「mf」メゾフォルテ・・・やや強く 「ff」フォルティッシモ・・・ごく強く 「fff」フォルティッシッシモ・・・できるだけ強く イタリア語では「・・イッシモ」が最上級の表現なのですが、「fff」はそれよりも強くということで「フォルティッシッシモ」と不思議な読みになっています。 ともあれ、この標記は「ff」は「f」よりも強く、「fff」は「ff」よりも強く、という相対的なものですので、強弱記号がある場合はその箇所だけを見るのではなく楽譜全体をみて強弱を考えましょう。   ここまでのまとめ ...

【楽譜の読み方#08】コーダ、トゥ・コーダ

【楽譜の読み方#08】コーダ、トゥ・コーダ

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回は反復記号の3回目、Coda(コーダ)とTo Coda(トゥ・コーダ)について説明します。 Coda(コーダ)、To Coda(トゥ・コーダ) Coda(コーダ) Codaは、イタリア語で「尾」を意味し楽曲のエンディング部分を指します。曲の締めくくりとして通常の形式から少し離れた特別なセクションで、劇的なクライマックスや落ち着いた終わり方など、メインテーマや展開部とは異なる旋律や和声が使用されることが多いです。 楽譜上での記号は、縦長の楕円に十字を重ねたマーク「」です。 To Coda(トゥ・コーダ) To Codaは「コーダに行く」という指示で、通常はD.C.(ダ・カーポ)やD.S.(ダル・セーニョ)と併用されます。D.C.やD.S.で指定された場所に戻った後、「To Coda」の指示がある場合は「Coda」へジャンプし、曲の終わりまでを演奏します。楽曲の特定の部分を飛ばしてエンディングへ進むことで、音楽の流れを意図的に変えることができます。 【前回の復習】 D.C.(ダ・カーポ)  :曲の最初へ戻る D.S.(ダル・セーニョ):セーニョの印()まで戻る まとめ(演奏の流れ) D.C.やD.S.で指定された場所に戻る To Codaまで演奏したら、それ以降をスキップしCodaへ進む Codaから曲の終わりまで演奏する 楽譜の読み方チェック それでは、実際に譜面で小節の流れを確認してみましょう! 【例題】Coda、To Coda 【答え】 小節の最後に「D.S.」があるのでセーニョ()まで一度戻り、To Codaの位置から離れたセクションのCodaへ。 ★譜面の流れ:「A→B→C→D→E→B→C→F→G」...

【楽譜の読み方#07】ダ・カーポ、ダル・セーニョとフィーネ

【楽譜の読み方#07】ダ・カーポ、ダル・セーニョとフィーネ

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 今回のテーマは、演奏するときに意外と戸惑う「反復記号」のD.C.(ダ・カーポ)とD.S.(ダルセーニョ)そしてFine(フィーネ)。D.C.、D.S.は一文字違うだけですが、戻る場所が全く異なるため注意が必要です。 D.C.(ダ・カーポ)、D.S.(ダルセーニョ) 読みからもわかるとおり、D.C.・D.S.ともに省略して表記されています。 D.C. -「da capo」(ダ・カーポ) D.S. -「dal segno」(ダルセーニョ) 「da」「dal」はともに英語のfromのような「~から」という意味でその次の言葉が戻る場所を指し、「capo」は「先頭」、「segno」は「サイン、印」という意味なので、それぞれ以下を示します。 D.C. - D.C.まで来たら曲の最初へ戻る D.S. -「印」まで戻る 「印」…?楽譜にはたくさん「記号」がありますが、いったいどれでしょう? 昔は記号を書かずにそのままずばり「segno」と表記していましたが、近年では頭文字の「S」を図案化した「」(読みは当然セーニョ)と標記するのが一般的です。 従って、D.S.まで来たら「」まで戻りましょう。 Fine(フィーネ) 演奏終了を示すFine、読み方は"ファイン"ではなく"フィーネ"です。D.C.やD.S.で曲のはじめや途中に戻ったあと、「Fine」と表記されているところで演奏が終了となります。複縦線のうえにフェルマータ()がついている場合は省略されることもあります。「Fine」はイタリア語でendの意味。イタリア映画のラストにfineと出てくるのはそのためです。 楽譜の読み方チェック それでは、実際に譜面で小節の流れを確認してみましょう! 【例題1】D.C. 【答え1】小節の最後に「D.C.」があるので譜面の最初に戻り、終わりの意味の「Fine」で終わります。 ★譜面の流れ:「A→B→C→D→E→A→B→C」 【例題2】D.S. 【答え2】小節の最後に「D.S.」があるので「印」の「」まで戻り、終わりの意味の「Fine」で終わります。★譜面の流れ:「A→B→C→D→E→B→C」 楽譜には様々な音楽記号がありますので、積極的に覚えていくことで演奏がよりスムーズになります。ぜひ一緒に学んでいきましょう!次回は、反復記号の3回目「コーダ、トゥ・コーダ」を解説します。  ...

【楽譜の読み方#06】リピート記号、1番カッコ、2番カッコ

【楽譜の読み方#06】リピート記号、1番カッコ、2番カッコ

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 第6回は、反復に関する記号「リピート記号」「1番カッコ」「2番カッコ」について説明します。 リピート記号 楽譜の同じ内容をくり返し反復して演奏することを指示する記号。終止線のように細い線と太い線の二重線の内側に、2つの点がついています。 下図のようなリピート記号(2つの点が二重線より右にある場合)は、ここよりうしろにあるリピート記号から、ここまで戻ってくることを意味します。なお、戻る場所が曲の始めのときは省略される場合もあります。     下図のようなリピート記号(2つの点が二重線より左にある場合)は、直前のリピート記号に戻ることを意味します(直前にリピート記号がない場合は曲の始めに戻る)。特別な指定がなければ1回だけ繰り返します。 この基本ルールを踏まえて譜例を見てみましょう!   【例題1】 【ヒント】 Dの後ろにあるリピート記号から→ 直前のリピート記号に戻る! 【答え】 A→B→C→D→C→D【例題2】   【ヒント】 直前にリピート記号がない場合は曲の始めに戻る! 【答え】 A→B→A→B→C→D【例題3】   【ヒント】 リピート記号が連続する場合は、細い線は省略されることがある!【答え】A→B→A→B→C→D→C→D 3つの譜例の演奏順、頭のなかで連想できましたか? 慣れないうちは、演奏する前にA-B-C-D-C-Dという風に書き出してみるといいでしょう。 1番カッコ、2番カッコ リピートでくり返して演奏するときに、最後の部分(1~数小節のことが多い)だけ内容が異なる場合に、この記号を使います。 1番カッコ くり返しの際に、1回目のみ演奏します。リピート記号で一度戻ったあとの2回目は演奏しません。...

【楽譜の読み方#05】タイとスラー、スタッカートとテヌート

【楽譜の読み方#05】タイとスラー、スタッカートとテヌート

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。 本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 第5回は、音符のつながりや演奏方法を示す音楽記号「タイ」と「スラー」、「スタッカート」と「テヌート」について説明します。   タイ(tie)、スラー(slur) どちらも音符を線で結び付けている音楽記号。でも意味は全然違います。見分け方は【同じ高さの音をつないでいるかどうか】を見てみましょう。 同じ音をつないでいる場合は(タイ)、違う音をつないでいる場合は(スラー)となります。 タイ (タイ)は弧線でつながれた音符をひとつの音として演奏します。したがって下図のような譜面があったとすると8分音符ではなく4分音符として演奏してくださいという意味になります。 それならば、初めから演奏する音符の長さで書けばいいのではないか?と思うかもしれません。 しかし、(タイ)をすべて通常の長さの音符で表記されると、リズムがわかりにくい譜面になってしまうのです。 下の譜面は、両方とも同じ音符を現しています。 左の楽譜は(タイ)を使わず通常の長さの音符で表記し、右の楽譜は(タイ)を使って表記しています。ぱっと見たときに、右の譜面のほうがリズムがわかりやすくなっていますね! また、それ以外にも、(タイ)を使うことによって通常の音符では表現できない長さの音符を作ることができます。音符で一番長い音符は全音符ですが、2小節ぐらい同じ音を鳴らし続けたい場合、全音符では表記することができません。そこで(タイ)を使って音をつなげてあげることにより2小節の音符を作ることができます。 スラー (スラー)は高さの違う複数の音符にある弧線で、「この記号のつけられた範囲の音符は音と音の間を滑らかに演奏する」という演奏方法です。   このように演奏方法になりますので、滑らかに演奏するということだけでなく、フレーズのひとくくりや、メロディの区切りとしても表記されることがあります。 したがって、(タイ)が書かれた場所にさらに(スラー)が表記されるという事も当然ありえます。 ▼まとめ (音の長さは「タイ」、演奏方法は「スラー」と覚えておきましょう! 同じ音をつないでいるのは(タイ)  ・・・ 音の長さ 違う音をつないでいるのは(スラー) ・・・ 演奏方法 スタッカート(staccato、stacc.)、テヌート(tenuto、ten.) 音符の上または下についている小さな印で、どちらも音符の特定の部分を強調したり、その演奏方法を指示する音楽記号。 音符の上または下に点がついている場合は(スタッカート)、線がついている場合は(テヌート)です。 スタッカート (スタッカート)は、音を短く切って演奏します。  イメージとしては、楽譜には書かれていない休符が、記号のついた音符の後に入る感じです。記号のついた元の音符の長さの半分くらいに短く切って演奏するのが定番ですが、曲のテンポや雰囲気によって自由に解釈できます。...

【楽譜の読み方#04】臨時記号と調号 

【楽譜の読み方#04】臨時記号と調号 

音楽の世界に足を踏み入れるにあたり、最初のステップは楽譜の読み方を理解することです。楽譜は音楽の言語であり、その記号や表現は演奏者が楽曲を理解し、表現をする手助けをしてくれます。本シリーズでは、初めて楽譜に触れる方にも、既に演奏経験のある方にもわかりやすいよう、音符やリズム、様々な記号や用語に焦点を当て楽譜の読み方を解説していきます。 第4回は、音の変化を示す「臨時記号」と「調号」について。「臨時記号」は楽譜上で一時的に音を変化させ、「調号」は楽曲を通して特定の音を変化させます。 (曲の途中で転調した場合調号が変わることもあります。) 臨時記号 臨時記号とは 曲の途中である音の高さを一時的に変化させる記号で、主にシャープ(♯)、フラット(♭)、ナチュラル(♮)の3つが使われます。それぞれ、記号の右側に書かれた音符の音を半音高くする(シャープ)、半音低くする(フラット)、または自然な音高に戻す(ナチュラル)効果を持ちます。 例えば、ハ長調の楽曲でハの音(ド)を半音上げる場合は、その音符の直前に♯を記述するとドがド♯に変化します。 記号 読み方 意味 # シャープ 半音高くします。 ♭ フラット 半音低くします。 X ダブル・シャープ 変化記号(#)によってすでに半音高められている音をさらに半音高くします。 ♭♭ ダブル・フラット 変化記号(♭)によってすでに半音低められている音をさらに半音低くします。 ♮ ナチュラル 上記の変化記号を無効にして元の音に戻します。 臨時記号のルール 臨時記号の効果範囲には以下のルールがあります。 ・記号のすぐ右の音符からその小節内に限り有効で、次の小節からは無効 ・ただし、記号付きの音符とタイでつながれた音符は小節をまたいでも有効(「タイ」は次回解説します。) ・1オクターヴ以上離れた音については無効...